異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン

文字の大きさ
上 下
53 / 77

共同行動とマルイの発言

しおりを挟む
 俺とシュミートは2人で行動を共にすることにした。共同行動は禁止事項にはないし、俺はともかく、シュミートが1人の時にドラゴンに出くわしたら相当まずい。俺は大切な仲間をこれ以上、失いたくはない。


「ブルーナ君は大丈夫ですかな…」


「なあに言ってんだ。大丈夫に決まってんだろ。あいつは決闘でも優勝してるし、相当優秀な女騎士になるぜ」


「は、はあ…」


 いくら励ましても、シュミートは浮かない顔をしていた。無理もない。いくらブルーナだとて、少なくとも20人以上はクラスメイトを殺しているドラゴンに立ち向かい、タダで済むはずがない。
 シュミートと歩いている前は、オークとスライムと、あとなんだか名前ド忘れしちゃったよくわからない魔物しか出てこなかった。
 俺はシュミートを元気づかせるために、スライム相手に「覚醒アクアソード」を使って見せた。すると、シュミートのツボにハマったみたいだ。


「な! そうだろ! 強すぎて笑えてくるだろ!」


「覚醒アクアソードって、パオロ君。いくらなんでも名前ダサすぎますぞ!」


 そう言ってシュミートはイヒヒと笑い続けた。おいおい、嘘だろ。「覚醒アクアソード」はカッコいいだろうが。


「なんだと!? もういっぺん言ってみろ!」


「イヒヒヒヒ! 笑いすぎて確かに言えません!」


「この野郎!」


 2人でじゃれあっていると、木の影から音が聞こえてきた。


「何かいるぞ!」


「俺だべ」


 出てきたのはなんと、マルイだった。



「先生、どうしているんですか!?」



「今回の魔物サバイバルは中止にするべ」



「えっ、どうしてですか?」



「今、この近くにいるであろうドラゴンからは、魔物ではない何か別の力を感じるんだべ。だから、中止。お前らは俺と一緒にいろ」


「はい!」


 俺達は口を揃えて返事をした。マルイは、今度は俺の顔をじっと見つめて言った。


「あのドラゴンは、パオロ。お前を狙っている」


「え…」


 沈黙が流れる。どういうことだ? 俺がこの世界の主人公だからか? いや、そういう答えに逃げるのはもうやめようと心に誓ったはずだ。


「どうして、どうしてドラゴンはパオロ君を狙っているのですか?」


「わからん」


 マルイはこちらを見ず、周りを警戒しながらぶっきらぼうに言い放った。

 日は落ちてきている。後はとりあえず、俺達はジャングルを出るだけって、あれ? ブルーナは? ブルーナは無事なのか?



「先生、ブルー…」



キャーーーーー!!!


 近くで、女性の甲高い悲鳴が聞こえる。その声は明らかに、ブルーナのものだった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...