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第七章
Chapter.30 坂広の結婚
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坂広の結婚
2030年8月
周人と智成は、居酒屋で飲んでいた。
「核ミサイルが東京に落とされる日は、歴史書によれば12月19日だな」智成はビールをすすりながら言う。
「歴史書と比べると、コンチャウの勢いが実際はだいぶ劣っているように感じるよ。今の状況で日本に核を落とすよ気配はぜんぜん感じられない。きっと大丈夫だよ」
「だといいけどな。……俺ら本当にすごいことしたんだよな。きっと九州だって俺らが救ったんだよ。美智もすごい喜んでた」
「そうだよ。すごいよ。こんな達成感を味わえるなんて、貴重な体験だよ」
「……なんか、不思議な感覚だよ」
「ほんとだよな」
周人と智成は満足気だ。
「あのさあ、12月19日は、一日中、みんな一緒にいないか? 友杏さんも呼んでさ。ていうか、みんなで友杏さんちの方まで行ってさ。坂広父ちゃんの関係で顔を出さなくなったけど、今、富山で隠居生活を送ってるよ」
「富山? なんで富山なの?」
「それがさ、とにかく魚が美味いって」
「相変わらずだね」二人は声をそろえて笑う。
「いいじゃん、みんなで富山旅行に行こうよ」周人が言う。
「じゃあ、幸来紗ちゃんにも伝えておいて。……そうそう、坂広くんといえば」智成は思い出したように話し出す。
「入籍したって」
「マジで! 良かったじゃん! この1年くらい連絡とってなかったけど、日坂は連絡とってたんだ?」
「ああ、連絡とってたよ」
「相手は?」
「バイト先で知り合った子らしい。友杏さんのお母さんになる人だな」
「そうだね。友杏さん生まれるの来年あたりじゃない?」
「そういえば、そろそろかも」
「で、友杏さんには、坂広くんが入籍したこと知らせた?」
「ああ、美智から全部知らせてあるよ。美智は頻繁に友杏さんに連絡してるみたいだ」
「なんか、友杏ベイビーに会うのが楽しみだな」周人は待ち遠しそうに言う。
「ただ、友杏さんの誕生日なんだけどさ、2031年の4月12日なんだよな」
「って言うことは、もう妊娠してるじゃね?」周人は右手で指で数え計算する。
「そうなんだよ。それでさ、この間、坂広くんに電話で何気なく聞いたんだよ。もしかしてもうできちゃってるんじゃないのー? ってな調子でさ。そしたら、できてないですよー、だって」
「大丈夫か? 過去をいじったせいで生まれなくなっちゃうなんてことないよな?」周人は心配する。
「たぶん、大丈夫だと思うんだけどな。というのがさ、そのことで美智が友杏さんに連絡したんだよ。そしたらさ、たぶん、坂広くんの過去をちょっといじっちゃったから、その分タイムロスが出ちゃったんじゃないかって。でもまあ、予定通りの奥さんと結婚してるし、少し遅れているだけだと思うよ。友杏さんも少し心配気味ではあるっぽいけどね」
「ちゃんと生まれてくれるといいな……」
「そうだな…… 早く友杏ベイビーに会ってみたいよ。……それより、幸来紗ちゃんとはどお? うまくいってる?」
「ああ、特にかわりないね。戦争の状況ばっかり気にして、ソワソワしてる様子だけど、うまくいってるよ。そっちは? 美智さんとはうまくやってるの?」
「まあ、ちょこちょこ喧嘩はするけど、楽しいよ。来年の春あたりから同棲しようかなって考えてるよ」
「お、いいじゃん」
「……なあ、周人。このまま九州も無事で東京への核ミサイルも回避できて、終戦したあかつきにさ、一緒にやりたいことがあるんだけど……」
智成はあらたまって話し出す。
2030年8月
周人と智成は、居酒屋で飲んでいた。
「核ミサイルが東京に落とされる日は、歴史書によれば12月19日だな」智成はビールをすすりながら言う。
「歴史書と比べると、コンチャウの勢いが実際はだいぶ劣っているように感じるよ。今の状況で日本に核を落とすよ気配はぜんぜん感じられない。きっと大丈夫だよ」
「だといいけどな。……俺ら本当にすごいことしたんだよな。きっと九州だって俺らが救ったんだよ。美智もすごい喜んでた」
「そうだよ。すごいよ。こんな達成感を味わえるなんて、貴重な体験だよ」
「……なんか、不思議な感覚だよ」
「ほんとだよな」
周人と智成は満足気だ。
「あのさあ、12月19日は、一日中、みんな一緒にいないか? 友杏さんも呼んでさ。ていうか、みんなで友杏さんちの方まで行ってさ。坂広父ちゃんの関係で顔を出さなくなったけど、今、富山で隠居生活を送ってるよ」
「富山? なんで富山なの?」
「それがさ、とにかく魚が美味いって」
「相変わらずだね」二人は声をそろえて笑う。
「いいじゃん、みんなで富山旅行に行こうよ」周人が言う。
「じゃあ、幸来紗ちゃんにも伝えておいて。……そうそう、坂広くんといえば」智成は思い出したように話し出す。
「入籍したって」
「マジで! 良かったじゃん! この1年くらい連絡とってなかったけど、日坂は連絡とってたんだ?」
「ああ、連絡とってたよ」
「相手は?」
「バイト先で知り合った子らしい。友杏さんのお母さんになる人だな」
「そうだね。友杏さん生まれるの来年あたりじゃない?」
「そういえば、そろそろかも」
「で、友杏さんには、坂広くんが入籍したこと知らせた?」
「ああ、美智から全部知らせてあるよ。美智は頻繁に友杏さんに連絡してるみたいだ」
「なんか、友杏ベイビーに会うのが楽しみだな」周人は待ち遠しそうに言う。
「ただ、友杏さんの誕生日なんだけどさ、2031年の4月12日なんだよな」
「って言うことは、もう妊娠してるじゃね?」周人は右手で指で数え計算する。
「そうなんだよ。それでさ、この間、坂広くんに電話で何気なく聞いたんだよ。もしかしてもうできちゃってるんじゃないのー? ってな調子でさ。そしたら、できてないですよー、だって」
「大丈夫か? 過去をいじったせいで生まれなくなっちゃうなんてことないよな?」周人は心配する。
「たぶん、大丈夫だと思うんだけどな。というのがさ、そのことで美智が友杏さんに連絡したんだよ。そしたらさ、たぶん、坂広くんの過去をちょっといじっちゃったから、その分タイムロスが出ちゃったんじゃないかって。でもまあ、予定通りの奥さんと結婚してるし、少し遅れているだけだと思うよ。友杏さんも少し心配気味ではあるっぽいけどね」
「ちゃんと生まれてくれるといいな……」
「そうだな…… 早く友杏ベイビーに会ってみたいよ。……それより、幸来紗ちゃんとはどお? うまくいってる?」
「ああ、特にかわりないね。戦争の状況ばっかり気にして、ソワソワしてる様子だけど、うまくいってるよ。そっちは? 美智さんとはうまくやってるの?」
「まあ、ちょこちょこ喧嘩はするけど、楽しいよ。来年の春あたりから同棲しようかなって考えてるよ」
「お、いいじゃん」
「……なあ、周人。このまま九州も無事で東京への核ミサイルも回避できて、終戦したあかつきにさ、一緒にやりたいことがあるんだけど……」
智成はあらたまって話し出す。
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