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第二章
Chapter.5 四人の出会い、ベトナム
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四人の出会い、ベトナム
2021年 2月 ベトナム
周人と智成は、お互い就職先も決まり、二人で1ヵ月間、東南アジアのバックパッキングの旅に出た。ベトナムのハノイから入り、2ヵ月後の帰国の航空券はタイのバンコク。帰国の日程だけは決めておき、あとは予定を立てず、行き当たりばったりで行動するという旅のスタンスを決めていた。
二人は、ハノイの安宿に宿泊し、ハロン湾ツアーに参加した。
「いやー、すごいな野島、この景色。なんてファンタスティックなんだ!」
「ほんと来て良かったよ! しょっぱなからこんな絶景を拝めるなんて」
ハロン湾をめぐるツアーの船のデッキで興奮している智成は、同じ船に乗っていた、日本人二人組の女の子に目を移す。
「なあ野島、ハノイから一緒にツアーに参加してる、あの日本人二人組、可愛くない?」
智成は、ツアーに出発した時に彼女たちに軽く挨拶して、その後も気にしている様子だった。
「声かけて一緒に行動しようよ」
「う~ん、日坂がリードして話してくれるならいいよ。俺、女の子に進んで話すのあんま得意じゃないし」
周人は、そんなに気は進まなかったが、この旅では、来る者は拒まず、をモットーにしようと考えていた。
「よし分かった! そのへんは任せろ」
智成は間をおいて、自分に気合を入れえると、彼女たちの方へ足を進めた。
「すみませーん。こんにちは」
景色を眺めていた二人は振り返り、「はい?」と、美智が返事をする。
「二人で旅行してるんですか?」
「そうです。私たち卒業旅行で来てるんです」
美智が明るく答え、幸来紗は軽く頭を下げる。
「僕たちも二人で旅してるんです。ほら、あそこにいるの僕の友達」
智成が指をさすので、周人は頭を下げる。
「旅行の日程はどんな感じなんですか?」
「えっと、1ヵ月間の旅で、ハノイがスタートでバンコクがゴール。その間は自由にって感じかな」
―おっ! なんて似たシチュエーションなんだ。と智成は思った。
「マジっすか! 偶然ですね。僕達もそんな感じです。バンコクがゴール …もしよければ一緒に行動しませんか?」
美智は目を丸くして、幸来紗の顔を見る。
「ちょっと、この子と相談したいので、少し待っててください」
美智にそう言われると、智成は周人のもとに戻ってきた。
「どうだった?」と周人は訊く。
「んー、俺と話してた子の感触はいいな。ただ、その友達の反応は良くなさそうだった」智成は眉をひそめる。
10分後、美智が二人に近づいてきた。
「分かりました。OKです。ただ、私たち、行きたいところをだいたい決めているんで、合わせえてもらってもいいですか?」
「了解です! 問題ないよな?」智成は嬉しそうに周人に聞く。
「ああ、別にかまわないよ」
「よし、決定!」智成のテンションは上がる。
美智は、幸来紗に手を振って呼ぶ。
「幸来紗! おいでよ」
幸来紗が来ると、四人は、お互いに自己紹介をした。
「俺、日坂智成っていいます。そんでもって、こいつは野島周人。よろしくね!」
「えっと、私は岩崎美智、で、この子は岸部幸来紗」
幸来紗は、あんまり気乗りしていない様子だが、美智は楽しそうに話す。
「それで、私たちが行きたい場所なんだけど、幸来紗が負の歴史に関心があってね、戦争を学べるような場所に行きたいの。資料館とか。ベトナム戦争や、カンボジア内戦関係の。でも、そんな暗い場所ばかりじゃなくて、時間もあるし、いろんなところに行きたいよね。世界遺産とか」
「いいですね! 俺、アンコールワットは行っておきたいな!」日坂はノリで返す。
周人も、悲惨な歴史には関心が強かった。
「僕も、そこらへんの歴史、とても興味があるんですよ。ぜひ行きたいです」
「本当ですか?」幸来紗は、周人の顔を見ると初めて笑顔を見せ、少し驚いた様子で嬉しそうに訊く。
「そういった場所、行ってみたいなーって少し思ってたんです。でも、言葉もろくに話せないし、初めての海外の旅でスムーズにいかないんじゃないかなって思って…」
「そういうことなら問題なし。幸来紗は英語ペラペラだから」美智はが胸を張って推す。
「そんな、大袈裟だって」幸来紗は照れる。
「いいね! 俺、歴史弱いけど学習してみよう! じゃあ、出会いを記念して、記念撮影しよう!」
智成が上機嫌で言うと、四人は、ハロン湾の絶景をバックに写真を撮った。
2021年 2月 ベトナム
周人と智成は、お互い就職先も決まり、二人で1ヵ月間、東南アジアのバックパッキングの旅に出た。ベトナムのハノイから入り、2ヵ月後の帰国の航空券はタイのバンコク。帰国の日程だけは決めておき、あとは予定を立てず、行き当たりばったりで行動するという旅のスタンスを決めていた。
二人は、ハノイの安宿に宿泊し、ハロン湾ツアーに参加した。
「いやー、すごいな野島、この景色。なんてファンタスティックなんだ!」
「ほんと来て良かったよ! しょっぱなからこんな絶景を拝めるなんて」
ハロン湾をめぐるツアーの船のデッキで興奮している智成は、同じ船に乗っていた、日本人二人組の女の子に目を移す。
「なあ野島、ハノイから一緒にツアーに参加してる、あの日本人二人組、可愛くない?」
智成は、ツアーに出発した時に彼女たちに軽く挨拶して、その後も気にしている様子だった。
「声かけて一緒に行動しようよ」
「う~ん、日坂がリードして話してくれるならいいよ。俺、女の子に進んで話すのあんま得意じゃないし」
周人は、そんなに気は進まなかったが、この旅では、来る者は拒まず、をモットーにしようと考えていた。
「よし分かった! そのへんは任せろ」
智成は間をおいて、自分に気合を入れえると、彼女たちの方へ足を進めた。
「すみませーん。こんにちは」
景色を眺めていた二人は振り返り、「はい?」と、美智が返事をする。
「二人で旅行してるんですか?」
「そうです。私たち卒業旅行で来てるんです」
美智が明るく答え、幸来紗は軽く頭を下げる。
「僕たちも二人で旅してるんです。ほら、あそこにいるの僕の友達」
智成が指をさすので、周人は頭を下げる。
「旅行の日程はどんな感じなんですか?」
「えっと、1ヵ月間の旅で、ハノイがスタートでバンコクがゴール。その間は自由にって感じかな」
―おっ! なんて似たシチュエーションなんだ。と智成は思った。
「マジっすか! 偶然ですね。僕達もそんな感じです。バンコクがゴール …もしよければ一緒に行動しませんか?」
美智は目を丸くして、幸来紗の顔を見る。
「ちょっと、この子と相談したいので、少し待っててください」
美智にそう言われると、智成は周人のもとに戻ってきた。
「どうだった?」と周人は訊く。
「んー、俺と話してた子の感触はいいな。ただ、その友達の反応は良くなさそうだった」智成は眉をひそめる。
10分後、美智が二人に近づいてきた。
「分かりました。OKです。ただ、私たち、行きたいところをだいたい決めているんで、合わせえてもらってもいいですか?」
「了解です! 問題ないよな?」智成は嬉しそうに周人に聞く。
「ああ、別にかまわないよ」
「よし、決定!」智成のテンションは上がる。
美智は、幸来紗に手を振って呼ぶ。
「幸来紗! おいでよ」
幸来紗が来ると、四人は、お互いに自己紹介をした。
「俺、日坂智成っていいます。そんでもって、こいつは野島周人。よろしくね!」
「えっと、私は岩崎美智、で、この子は岸部幸来紗」
幸来紗は、あんまり気乗りしていない様子だが、美智は楽しそうに話す。
「それで、私たちが行きたい場所なんだけど、幸来紗が負の歴史に関心があってね、戦争を学べるような場所に行きたいの。資料館とか。ベトナム戦争や、カンボジア内戦関係の。でも、そんな暗い場所ばかりじゃなくて、時間もあるし、いろんなところに行きたいよね。世界遺産とか」
「いいですね! 俺、アンコールワットは行っておきたいな!」日坂はノリで返す。
周人も、悲惨な歴史には関心が強かった。
「僕も、そこらへんの歴史、とても興味があるんですよ。ぜひ行きたいです」
「本当ですか?」幸来紗は、周人の顔を見ると初めて笑顔を見せ、少し驚いた様子で嬉しそうに訊く。
「そういった場所、行ってみたいなーって少し思ってたんです。でも、言葉もろくに話せないし、初めての海外の旅でスムーズにいかないんじゃないかなって思って…」
「そういうことなら問題なし。幸来紗は英語ペラペラだから」美智はが胸を張って推す。
「そんな、大袈裟だって」幸来紗は照れる。
「いいね! 俺、歴史弱いけど学習してみよう! じゃあ、出会いを記念して、記念撮影しよう!」
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