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百花繚乱
「鬼灯」九
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「…この金棒は特殊な武器でね、君たち幽霊は、僕達は普通の武器では傷ひとつつけれないんだけど、この武器なら君に干渉できる。…知ってるかな?これは、」
「『霊装』って言われる武器の一つだろ、そいつは。…さっさと始めようぜ」
「…でも、それって卑怯じゃないのか」
いつの間にかそんな言葉が、僕の口をついていた。
僕達は、確かに普通なら幽霊と呼ばれる人達に対して干渉出来ない。それは、幽霊と呼ばれる人達も同じで、『取り憑く』という行為以外で、人に干渉することは出来ないはずだ。
…最も、『取り憑く』ことも、そう簡単にできることではないらしい。無理に取り憑こうとして失敗すると、幽霊の側が消滅するということもあるらしい。
つまり、この勝負は、彼が圧倒的に不利だ。
僕の言葉に対して、鬼灯六郎は何か言おうとしたが、その言葉が発せられる前に、椿が口を挟んだ。
「山本よ、戦において卑怯だの邪道だのと異を唱えるのは愚かな行為だ。戦は勝てばいいというものだ、その為ならば何をしようが」
「そうだね、君の言う通りだよ。…始めよう」
鬼灯六郎は、『霊装』の金棒をポンポンと軽く叩き、金棒を構えた。
構えるや否や、鬼灯六郎は、僕の用心棒に対して突進を仕掛け、金棒で殴りかかった。
しかし、彼はその攻撃を全てかわした。
鬼灯兄弟達は、どよめいた。
「てめえゴラクソ鬼が避けてんじゃねえ!!」といった罵声や、「いいよいいよろっくん、その調子!」などといった歓声が混じり合い、場が騒然としていた。
しかし、そんな場の雰囲気をものともせず、彼は、金棒を使った鬼灯六郎の攻撃を全て、かわし続けた。
「ふん、その身のこなし、流石だね、椿誠一郎。…だけど、お前が守らなければならないのは、お前の身だけじゃないっていうのは、わかるかい?」
「何、」
彼が僕の方をよそ見したのを、鬼灯六郎は見逃さなかった。
鬼灯六郎は彼の腹部に金棒で突きを食らわし、彼は大きくのけぞった。
「やった!」
「いいぞ!」
「もう一息だ!!!」
鬼灯兄弟達の歓声が、曇天の空にこだました。
彼は、地に膝をついたまま動かない。
「くたばれ」
鬼灯六郎が、金棒を振りかざした、その時、
椿が、動いた。
彼の一連の動作は、信じ難いほど短時間で行われた。
彼は、金棒の攻撃を避けた後、飛び上がって回転し、
刀を抜刀し、金棒に叩きつけた。
ゴン、という鈍い音が辺りに響き渡り、金棒が鬼灯六郎の手を離れ大地に転がった。
「う…、くそ…、う、うでが、しびれ、」
鬼灯兄弟達は、何が起こっているのかわからず、その場に立ちすくんでいた。
「おい小童共。いいことを教えてやるよ、俺も普通ならお前らに傷ひとつつけられないし干渉も出来ない。だが『霊装』ってのはな、
…霊が身につけることで、人間に攻撃することもできるんだよ」
彼は、金棒の柄を掴み、鬼灯兄弟達を睨みつけた。
「手前らに三途の川を見せてやる」
僕は、これほど「鬼に金棒」という言葉が似合う状況を、この他に見たことがない。
彼は、ものの数分で、
鬼灯兄弟を薙ぎ倒し、地に伏せさせた。
「く…そ…、」
「なぜ…こんな…ことに…、」
「諦めろ、勝負は決した、ケツをまくって帰れ」
明らかに、誰がみても彼の勝ちだ。
だけど、
「…ふざけんなよクソガァッッッ!!!!」
鬼灯四郎が、僕の首筋に飛びつき、ナイフのようなものを突きつけ、咆哮した。
「こいつが、どうなってもええんかッッッ!?」
「『霊装』って言われる武器の一つだろ、そいつは。…さっさと始めようぜ」
「…でも、それって卑怯じゃないのか」
いつの間にかそんな言葉が、僕の口をついていた。
僕達は、確かに普通なら幽霊と呼ばれる人達に対して干渉出来ない。それは、幽霊と呼ばれる人達も同じで、『取り憑く』という行為以外で、人に干渉することは出来ないはずだ。
…最も、『取り憑く』ことも、そう簡単にできることではないらしい。無理に取り憑こうとして失敗すると、幽霊の側が消滅するということもあるらしい。
つまり、この勝負は、彼が圧倒的に不利だ。
僕の言葉に対して、鬼灯六郎は何か言おうとしたが、その言葉が発せられる前に、椿が口を挟んだ。
「山本よ、戦において卑怯だの邪道だのと異を唱えるのは愚かな行為だ。戦は勝てばいいというものだ、その為ならば何をしようが」
「そうだね、君の言う通りだよ。…始めよう」
鬼灯六郎は、『霊装』の金棒をポンポンと軽く叩き、金棒を構えた。
構えるや否や、鬼灯六郎は、僕の用心棒に対して突進を仕掛け、金棒で殴りかかった。
しかし、彼はその攻撃を全てかわした。
鬼灯兄弟達は、どよめいた。
「てめえゴラクソ鬼が避けてんじゃねえ!!」といった罵声や、「いいよいいよろっくん、その調子!」などといった歓声が混じり合い、場が騒然としていた。
しかし、そんな場の雰囲気をものともせず、彼は、金棒を使った鬼灯六郎の攻撃を全て、かわし続けた。
「ふん、その身のこなし、流石だね、椿誠一郎。…だけど、お前が守らなければならないのは、お前の身だけじゃないっていうのは、わかるかい?」
「何、」
彼が僕の方をよそ見したのを、鬼灯六郎は見逃さなかった。
鬼灯六郎は彼の腹部に金棒で突きを食らわし、彼は大きくのけぞった。
「やった!」
「いいぞ!」
「もう一息だ!!!」
鬼灯兄弟達の歓声が、曇天の空にこだました。
彼は、地に膝をついたまま動かない。
「くたばれ」
鬼灯六郎が、金棒を振りかざした、その時、
椿が、動いた。
彼の一連の動作は、信じ難いほど短時間で行われた。
彼は、金棒の攻撃を避けた後、飛び上がって回転し、
刀を抜刀し、金棒に叩きつけた。
ゴン、という鈍い音が辺りに響き渡り、金棒が鬼灯六郎の手を離れ大地に転がった。
「う…、くそ…、う、うでが、しびれ、」
鬼灯兄弟達は、何が起こっているのかわからず、その場に立ちすくんでいた。
「おい小童共。いいことを教えてやるよ、俺も普通ならお前らに傷ひとつつけられないし干渉も出来ない。だが『霊装』ってのはな、
…霊が身につけることで、人間に攻撃することもできるんだよ」
彼は、金棒の柄を掴み、鬼灯兄弟達を睨みつけた。
「手前らに三途の川を見せてやる」
僕は、これほど「鬼に金棒」という言葉が似合う状況を、この他に見たことがない。
彼は、ものの数分で、
鬼灯兄弟を薙ぎ倒し、地に伏せさせた。
「く…そ…、」
「なぜ…こんな…ことに…、」
「諦めろ、勝負は決した、ケツをまくって帰れ」
明らかに、誰がみても彼の勝ちだ。
だけど、
「…ふざけんなよクソガァッッッ!!!!」
鬼灯四郎が、僕の首筋に飛びつき、ナイフのようなものを突きつけ、咆哮した。
「こいつが、どうなってもええんかッッッ!?」
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