19 / 23
百花繚乱
「鬼灯」九
しおりを挟む
「…この金棒は特殊な武器でね、君たち幽霊は、僕達は普通の武器では傷ひとつつけれないんだけど、この武器なら君に干渉できる。…知ってるかな?これは、」
「『霊装』って言われる武器の一つだろ、そいつは。…さっさと始めようぜ」
「…でも、それって卑怯じゃないのか」
いつの間にかそんな言葉が、僕の口をついていた。
僕達は、確かに普通なら幽霊と呼ばれる人達に対して干渉出来ない。それは、幽霊と呼ばれる人達も同じで、『取り憑く』という行為以外で、人に干渉することは出来ないはずだ。
…最も、『取り憑く』ことも、そう簡単にできることではないらしい。無理に取り憑こうとして失敗すると、幽霊の側が消滅するということもあるらしい。
つまり、この勝負は、彼が圧倒的に不利だ。
僕の言葉に対して、鬼灯六郎は何か言おうとしたが、その言葉が発せられる前に、椿が口を挟んだ。
「山本よ、戦において卑怯だの邪道だのと異を唱えるのは愚かな行為だ。戦は勝てばいいというものだ、その為ならば何をしようが」
「そうだね、君の言う通りだよ。…始めよう」
鬼灯六郎は、『霊装』の金棒をポンポンと軽く叩き、金棒を構えた。
構えるや否や、鬼灯六郎は、僕の用心棒に対して突進を仕掛け、金棒で殴りかかった。
しかし、彼はその攻撃を全てかわした。
鬼灯兄弟達は、どよめいた。
「てめえゴラクソ鬼が避けてんじゃねえ!!」といった罵声や、「いいよいいよろっくん、その調子!」などといった歓声が混じり合い、場が騒然としていた。
しかし、そんな場の雰囲気をものともせず、彼は、金棒を使った鬼灯六郎の攻撃を全て、かわし続けた。
「ふん、その身のこなし、流石だね、椿誠一郎。…だけど、お前が守らなければならないのは、お前の身だけじゃないっていうのは、わかるかい?」
「何、」
彼が僕の方をよそ見したのを、鬼灯六郎は見逃さなかった。
鬼灯六郎は彼の腹部に金棒で突きを食らわし、彼は大きくのけぞった。
「やった!」
「いいぞ!」
「もう一息だ!!!」
鬼灯兄弟達の歓声が、曇天の空にこだました。
彼は、地に膝をついたまま動かない。
「くたばれ」
鬼灯六郎が、金棒を振りかざした、その時、
椿が、動いた。
彼の一連の動作は、信じ難いほど短時間で行われた。
彼は、金棒の攻撃を避けた後、飛び上がって回転し、
刀を抜刀し、金棒に叩きつけた。
ゴン、という鈍い音が辺りに響き渡り、金棒が鬼灯六郎の手を離れ大地に転がった。
「う…、くそ…、う、うでが、しびれ、」
鬼灯兄弟達は、何が起こっているのかわからず、その場に立ちすくんでいた。
「おい小童共。いいことを教えてやるよ、俺も普通ならお前らに傷ひとつつけられないし干渉も出来ない。だが『霊装』ってのはな、
…霊が身につけることで、人間に攻撃することもできるんだよ」
彼は、金棒の柄を掴み、鬼灯兄弟達を睨みつけた。
「手前らに三途の川を見せてやる」
僕は、これほど「鬼に金棒」という言葉が似合う状況を、この他に見たことがない。
彼は、ものの数分で、
鬼灯兄弟を薙ぎ倒し、地に伏せさせた。
「く…そ…、」
「なぜ…こんな…ことに…、」
「諦めろ、勝負は決した、ケツをまくって帰れ」
明らかに、誰がみても彼の勝ちだ。
だけど、
「…ふざけんなよクソガァッッッ!!!!」
鬼灯四郎が、僕の首筋に飛びつき、ナイフのようなものを突きつけ、咆哮した。
「こいつが、どうなってもええんかッッッ!?」
「『霊装』って言われる武器の一つだろ、そいつは。…さっさと始めようぜ」
「…でも、それって卑怯じゃないのか」
いつの間にかそんな言葉が、僕の口をついていた。
僕達は、確かに普通なら幽霊と呼ばれる人達に対して干渉出来ない。それは、幽霊と呼ばれる人達も同じで、『取り憑く』という行為以外で、人に干渉することは出来ないはずだ。
…最も、『取り憑く』ことも、そう簡単にできることではないらしい。無理に取り憑こうとして失敗すると、幽霊の側が消滅するということもあるらしい。
つまり、この勝負は、彼が圧倒的に不利だ。
僕の言葉に対して、鬼灯六郎は何か言おうとしたが、その言葉が発せられる前に、椿が口を挟んだ。
「山本よ、戦において卑怯だの邪道だのと異を唱えるのは愚かな行為だ。戦は勝てばいいというものだ、その為ならば何をしようが」
「そうだね、君の言う通りだよ。…始めよう」
鬼灯六郎は、『霊装』の金棒をポンポンと軽く叩き、金棒を構えた。
構えるや否や、鬼灯六郎は、僕の用心棒に対して突進を仕掛け、金棒で殴りかかった。
しかし、彼はその攻撃を全てかわした。
鬼灯兄弟達は、どよめいた。
「てめえゴラクソ鬼が避けてんじゃねえ!!」といった罵声や、「いいよいいよろっくん、その調子!」などといった歓声が混じり合い、場が騒然としていた。
しかし、そんな場の雰囲気をものともせず、彼は、金棒を使った鬼灯六郎の攻撃を全て、かわし続けた。
「ふん、その身のこなし、流石だね、椿誠一郎。…だけど、お前が守らなければならないのは、お前の身だけじゃないっていうのは、わかるかい?」
「何、」
彼が僕の方をよそ見したのを、鬼灯六郎は見逃さなかった。
鬼灯六郎は彼の腹部に金棒で突きを食らわし、彼は大きくのけぞった。
「やった!」
「いいぞ!」
「もう一息だ!!!」
鬼灯兄弟達の歓声が、曇天の空にこだました。
彼は、地に膝をついたまま動かない。
「くたばれ」
鬼灯六郎が、金棒を振りかざした、その時、
椿が、動いた。
彼の一連の動作は、信じ難いほど短時間で行われた。
彼は、金棒の攻撃を避けた後、飛び上がって回転し、
刀を抜刀し、金棒に叩きつけた。
ゴン、という鈍い音が辺りに響き渡り、金棒が鬼灯六郎の手を離れ大地に転がった。
「う…、くそ…、う、うでが、しびれ、」
鬼灯兄弟達は、何が起こっているのかわからず、その場に立ちすくんでいた。
「おい小童共。いいことを教えてやるよ、俺も普通ならお前らに傷ひとつつけられないし干渉も出来ない。だが『霊装』ってのはな、
…霊が身につけることで、人間に攻撃することもできるんだよ」
彼は、金棒の柄を掴み、鬼灯兄弟達を睨みつけた。
「手前らに三途の川を見せてやる」
僕は、これほど「鬼に金棒」という言葉が似合う状況を、この他に見たことがない。
彼は、ものの数分で、
鬼灯兄弟を薙ぎ倒し、地に伏せさせた。
「く…そ…、」
「なぜ…こんな…ことに…、」
「諦めろ、勝負は決した、ケツをまくって帰れ」
明らかに、誰がみても彼の勝ちだ。
だけど、
「…ふざけんなよクソガァッッッ!!!!」
鬼灯四郎が、僕の首筋に飛びつき、ナイフのようなものを突きつけ、咆哮した。
「こいつが、どうなってもええんかッッッ!?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。

BlueRose
雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会
しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。
その直紘には色々なウワサがあり…?
アンチ王道気味です。
加筆&修正しました。
話思いついたら追加します。

真冬の痛悔
白鳩 唯斗
BL
闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。
ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。
主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。
むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる