桜と椿

星野恵

文字の大きさ
上 下
3 / 23
百花繚乱

「椿」三

しおりを挟む
僕は、ためらわずに一本道を進んでいった。

一本道の途中には、大して変わったものは何も無かった。
だけど、奥に進むにつれて、「気」のようなものを強く感じるようになった。その正体が何かはわからないが、奥に何か強い力を持ったものがいるということだけはわかった。
でも、その「気」は、僕に「恐怖」をもたらす類のものではなかった。
強い力を持ちながらも、僕のような侵入者を滅するほどの力はなく、ただそこに存在しているだけのような「気」だった。



奥に辿り着いた僕は、息を呑んだ。



一本道の奥は、行き止まりになっていた。
そこにある大きな岩に、男が、鎖でくくりつけられていた。
しおりを挟む

処理中です...