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4話 幼馴染がおかしい
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その後少しまた席替えがあって、あきちゃんが少し離れて何故かひかるが隣の席になった。
そこから特に、ひかるは酷かった。
酒は強かったはずなのに酔っ払ってしまったのか、ずっとぼんやり女の子の話を聞いていたかと思ったら、もう最後には突っ伏してしまっていた。
流石に見ていられなくて、小声でぼそっと声をかける。
「ひかる?なに、体調悪いの?」
「いや…………てかなんでお前平気なの?」
「匂い?…香水効いてる子いるのはわかったけど、俺苦手な匂いじゃなかったから分かんないよ」
合コンに来てまでなんでこいつの体調気遣ってるんだろとも思ったけど、なんだかんだ気になってしまうのは幼馴染だからなのかもしれない。
それにこいつが酔い潰れたら、どのみち回収しなきゃいけないのは俺だろうし。
「大丈夫なの?一旦席外す?」
「………僕もよく分かんない、しんどい」
「えー……ここで吐いちゃあれだしトイレ行こうよ」
顔を上げないでぼそぼそ小さく話すひかるは、本当にいつもと様子が違う。
やっぱ体調悪い中飲んだから悪酔いしたんじゃないのか、そう思った俺はほとんど無理にひかるを立たせてトイレに引っ張って行った。
ふらつくひかるの腰に腕を回して、無理に肩を組ませて歩いた。
ひかるは俯いたままフラフラ歩いていて、俺は抱えながらどうやってこいつを家まで運ぼうかなあと考えを巡らせる。ちょっとあきちゃん、良かったんだけどな。でもこいつ放って2件目行くのもなあ。
トイレは店の奥の狭まったところにあって、一応男女分かれていた。
ひかるを抱えたまま、どうにか扉を開けて中に入る。まあ2人ギリギリ入れるくらいの広さで、洗面台も一緒についているタイプ。内装もおしゃれで鏡が大きいのが目立った。
「吐くなら全部出しちゃいなよ」
「………………………………」
ひかるは黙ったまま動かなかった。
肩を組んでいるからお互い顔が近い。俺たちはほとんど同じ身長だったから余計に近かった。少しひかるの息が上がっていることに気がつく。
ぎょっとした。流石に幼馴染でもゲロをかけられるのは嫌だから、場合によっては離して逃げたほうがいいかもと覚悟した。
青い顔をしてるもんだと思ってひかるの顔を覗き込む。
だけど俺が思っていたのとは逆で、ひかるはやたら赤い顔をしていた。
「………ひかる?」
ほんの少し目線を上げたひかると目が合う。
見ちゃダメなところを見ちゃったような気持ちになった。
目元も首筋も赤くしたひかるが真っ直ぐに俺を見ていた。なんでか分からないまま、どきっとしてしまう。
「……………お前だったんじゃん」
ぼそっとひかるはそう言った。
何のことか分からなくてぽかんとしてしまったら、突然頬を掴まれてキスをされた。
「……、………?!?!!」
声も出なかった。
ほんの一瞬、唇が触れただけの軽いキスだった。
子供みたいな、事故みたいな軽い、かわいいキス。
やれって言われたら、好きじゃないやつにもこれくらいならまあ出来るかなってくらいの。
「ぁ…………、ぇ……………?」
それなのに、その一瞬で身体が嘘みたいに熱くなった。
全身が痺れる。
触れた部分も熱くなったし、それよりもっと奥の、身体の奥底がぐわっと熱くなった。
熱い。あつい。身体を締め付けるような甘い痺れが指先まで伝って言って、力が抜けそうになった。
わけがわからない。混乱して思考がショートする。
完全に力が抜ける前に、さっきより乱暴にひかるが顎を掴んでまた口付ける。
俺は何が起きたのか分からないまま、ろくに抵抗もできないでいた。
されるがまま何度も角度を変えてキスをされて、経験したことのない熱に侵されるばかりだった。
脳みそが動かない。
何をされてるのかわからない。…いや、キスされてるのは分かるけど、身体が動かないから嫌なのかどうかも分からない。
ひかるが俺の腰をぐいっと引き寄せる。
支えられて身体が密着する。いつのまにか俺の方がくったり力が抜けていると気がついた。
嗅ぎ慣れたはずのひかるの匂いがやたら鼻につく。クローゼットに潜り込んだ時の匂い。
なのにさっきのムスクの何倍も濃くて重い、甘ったるい匂いに感じた。
そこから特に、ひかるは酷かった。
酒は強かったはずなのに酔っ払ってしまったのか、ずっとぼんやり女の子の話を聞いていたかと思ったら、もう最後には突っ伏してしまっていた。
流石に見ていられなくて、小声でぼそっと声をかける。
「ひかる?なに、体調悪いの?」
「いや…………てかなんでお前平気なの?」
「匂い?…香水効いてる子いるのはわかったけど、俺苦手な匂いじゃなかったから分かんないよ」
合コンに来てまでなんでこいつの体調気遣ってるんだろとも思ったけど、なんだかんだ気になってしまうのは幼馴染だからなのかもしれない。
それにこいつが酔い潰れたら、どのみち回収しなきゃいけないのは俺だろうし。
「大丈夫なの?一旦席外す?」
「………僕もよく分かんない、しんどい」
「えー……ここで吐いちゃあれだしトイレ行こうよ」
顔を上げないでぼそぼそ小さく話すひかるは、本当にいつもと様子が違う。
やっぱ体調悪い中飲んだから悪酔いしたんじゃないのか、そう思った俺はほとんど無理にひかるを立たせてトイレに引っ張って行った。
ふらつくひかるの腰に腕を回して、無理に肩を組ませて歩いた。
ひかるは俯いたままフラフラ歩いていて、俺は抱えながらどうやってこいつを家まで運ぼうかなあと考えを巡らせる。ちょっとあきちゃん、良かったんだけどな。でもこいつ放って2件目行くのもなあ。
トイレは店の奥の狭まったところにあって、一応男女分かれていた。
ひかるを抱えたまま、どうにか扉を開けて中に入る。まあ2人ギリギリ入れるくらいの広さで、洗面台も一緒についているタイプ。内装もおしゃれで鏡が大きいのが目立った。
「吐くなら全部出しちゃいなよ」
「………………………………」
ひかるは黙ったまま動かなかった。
肩を組んでいるからお互い顔が近い。俺たちはほとんど同じ身長だったから余計に近かった。少しひかるの息が上がっていることに気がつく。
ぎょっとした。流石に幼馴染でもゲロをかけられるのは嫌だから、場合によっては離して逃げたほうがいいかもと覚悟した。
青い顔をしてるもんだと思ってひかるの顔を覗き込む。
だけど俺が思っていたのとは逆で、ひかるはやたら赤い顔をしていた。
「………ひかる?」
ほんの少し目線を上げたひかると目が合う。
見ちゃダメなところを見ちゃったような気持ちになった。
目元も首筋も赤くしたひかるが真っ直ぐに俺を見ていた。なんでか分からないまま、どきっとしてしまう。
「……………お前だったんじゃん」
ぼそっとひかるはそう言った。
何のことか分からなくてぽかんとしてしまったら、突然頬を掴まれてキスをされた。
「……、………?!?!!」
声も出なかった。
ほんの一瞬、唇が触れただけの軽いキスだった。
子供みたいな、事故みたいな軽い、かわいいキス。
やれって言われたら、好きじゃないやつにもこれくらいならまあ出来るかなってくらいの。
「ぁ…………、ぇ……………?」
それなのに、その一瞬で身体が嘘みたいに熱くなった。
全身が痺れる。
触れた部分も熱くなったし、それよりもっと奥の、身体の奥底がぐわっと熱くなった。
熱い。あつい。身体を締め付けるような甘い痺れが指先まで伝って言って、力が抜けそうになった。
わけがわからない。混乱して思考がショートする。
完全に力が抜ける前に、さっきより乱暴にひかるが顎を掴んでまた口付ける。
俺は何が起きたのか分からないまま、ろくに抵抗もできないでいた。
されるがまま何度も角度を変えてキスをされて、経験したことのない熱に侵されるばかりだった。
脳みそが動かない。
何をされてるのかわからない。…いや、キスされてるのは分かるけど、身体が動かないから嫌なのかどうかも分からない。
ひかるが俺の腰をぐいっと引き寄せる。
支えられて身体が密着する。いつのまにか俺の方がくったり力が抜けていると気がついた。
嗅ぎ慣れたはずのひかるの匂いがやたら鼻につく。クローゼットに潜り込んだ時の匂い。
なのにさっきのムスクの何倍も濃くて重い、甘ったるい匂いに感じた。
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