【完結】まつりくんはオメガの自覚が無い

りちょ

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2話 俺と幼馴染の話

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「茉理、今日合コン来るんだっけ」

「行くよ、今フリーだし。…ていうかあんまりこういうのに幼馴染のこと誘うなって、気まずいから」

「人足りないし、まあいっかと思って」

「ひかるが良いならいいけどさ」


2.3限と実習が続いたため同じグループのメンバーと学食で昼食を取っていたところに、たまたま席が近かった幼馴染に声をかけられた。

予定を簡単に確認して、一言二言会話してすぐに離れる。あいつもあいつで、昼食を取るメンバーが決まっていたらしい。

俺たちのやり取りを見ていたメンバーが、少し不思議そうな顔をしていた。



「茉理って、ひかると幼馴染なんだっけ?」

「そうだよ、幼稚園から一緒。実家も隣で、今まさかの同じアパートで部屋隣同士」

「やば、合わせたの?」

「ううん、たまたま。俺も信じられない」

「ひかるくんと私あんまり話したことないや。茉理くんとタイプ違うよね」

「んー、まあ確かにそっか。ひかるは結構人見知りするし。…さやちゃんああいうの好きなの?」

「えー、あはは」


話題に混ざってきたさやちゃんは、黒いボブヘアを揺らしてはにかむ。オレンジ色のリップがついた形のいい唇は笑うと綺麗に三日月になって、可愛らしいと思う。

ひかるに気があるような素振りを見せられて、ほんの少し悔しいなと思った。


篠田ひかると俺は、幼馴染だった。

出会いはお互い覚えていないほど昔。
母親が言うには、幼稚園に入る前の公園デビューの日に出会って、俺たちはすぐに仲良くなったらしい。
だから物心着く頃にはすでに近くにひかるがいつもいた。

小学校も中学校も高校も同じ。
別に合わせてるわけでも無いのにずっと部活も一緒。退部のタイミングも別の部活を始めるタイミングも同じ。
お互い進路の話なんか碌にしなかったのに、同じ大学を受験していて同じ学部に入学した。
一人暮らしを始めた日、粗品を持って隣に挨拶に行ったら、同じ包みを持ったひかるが居た。

ずっとこんな風だったから、俺からすればひかるは近くにいる事が当たり前だし、多分ひかるも同じように思っているんだと思う。

一人暮らしの家まで被った時もお互い文句を言うこともなく、まあこうなるか…と妙に納得してしまった。

性格はそこまで似ていない。むしろ逆。
割と明るくて人とすぐ打ち解けるタイプの俺とは違って、ひかるは人付き合いも慎重な方だ。
打ち解ければ楽しいやつだけど、どこか他人とは一線を引いているような性格。
良いやつなんだけど、悪く言えば根が暗いのだ。

それでもおそらく根本の価値観は同じみたいで、喧嘩はしたことがない。


この話をすると、ウケるか引かれるかのどっちかだった。
試しに学食のラーメンを啜りながらつらつら話して聞かせると、男友達にはウケて、さやちゃんには引かれた。
今日の合コンでこの話をするのはやめとこうと、俺は密かに思った。
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