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11話※

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心臓が痛いくらい早く鼓動を打つ。あまり気分のいいものではなかった。夏樹が何か言うのが怖くて、白い首筋に歯を突き立てる。


「い゛ッッ!!」


上手く加減が出来ずに思いっきり噛み付いてしまった。
そのままキツく吸い付いて傷口を舐めると、夏樹が呻く声が聞こえた。強く肩を押されて引き剥がされる。それから夏樹は指先でそうっと、薄く残った僕の歯形をなぞった。


「……おま、これ痕……んんッッ!」


何か言われる前に顎を掴んで口を塞ぐ。
無理に舌を捩じ込んで歯の裏側をなぞって、めちゃくちゃに舌を動かした。

テレビから流れる映画のBGMが遠のく。息が続かなくなるギリギリまで、噛み付くようにキスを続けた。

息を切らしたままで夏樹のパーカーを捲る。薄いインナーの上から突起を探してすりすり撫でて、夏樹の顔を見たくないからまた首筋に顔を埋めて自分で作った歯形に舌を這わせた。
舌を押し付けてゆっくり舐め上げて、なんどか繰り返すとじわりと口の中に鉄の味が滲む。

傷になって目立ってしまうかもしれない。夏樹は色が白いし、余計目に付くだろうな。犬に噛まれたとか言って適当に誤魔化してくれればいいか。


「はぁッ、はーッ、かえで…あ゛ッんぅう゛ッッ!」


硬く勃ち上がった乳首を服の上からぐにぐに押しつぶすと、夏樹が背中をそらしてよがった。僕の指に自分で胸を押し付けているようでかわいい。真っ赤な顔をして必死に息をしているのだって可愛い。

インナーの中に手を突っ込んで乳首をぎゅうっと摘んだ。指を擦り合わせるようにくにゅくにゅ捻って遊ぶ。やめろと言いながら夏樹が僕の手首を掴むけど、まるで力が入っていなくて止める気がないってよく分かった。


「…すごいコリコリしてる。気持ちいい?」

「んん……ふ、ぅう゛……っ!」


硬く勃ち上がった乳首は簡単に摘めるくらいには大きくて、乳輪までふっくらしている。
元々こんなに大きかったかな。…もう銭湯行けないんじゃないのこれ。

腰を押し付けられるたびに夏樹の硬くなった性器が当たった。
下着の中に手を突っ込んで握るとまた腰が浮く。ウエストのゴムに締め付けられて上手く手が動かせなくて、陰嚢ごと優しく握って圧迫したり緩めたりを繰り返した。


顔を上げて夏樹の方を向くと、もうすっかり快感に流された顔をしていて、僕が言ったことなんて頭に無いようだった。ほっとしたような悔しいような悲しいような気持ちになって、頭がごちゃごちゃになる。


「んん…………ぅう、っく」

「腰動いてる。焦ったい?」

「ん……もう脱ぎたい、ちゃんと触ってって…ッ」

「へえ。じゃな脱ぎなよ」


雑にぐにぐに揉んでいると、夏樹がじとりと睨んできた。それから目を逸らしてゆっくり部屋着のズボンも下着も下ろすと、勢いよく性器が飛び出して少し笑ってしまった。


「なんだよぉ…お前が自分で脱げっていったんだろ……ッ!」

「いやだって、すごい勃ってるから…びよんって出た」

「あんな触られたら……ッあ、んぅ、っふ…!!」


脚を限界までぐいっと開かせて、ぐじゅぐじゅと性器を上下に擦る。
それから後ろにも手を伸ばして軽くアナルをつっつくと、くふぅっ、と甘えた犬のような高い声を夏樹が出した。


「わーすご、ちんこずっとぬるぬるしてる」

「ぅうう、んん……んくッっ!」

「もうイけそう?今日前だけでいっか」

「え、んあ…ッ、なんで………ぁぅううッ!」


どぷっとローションを垂らして、ねちゃねちゃねばっこい音を立てて前を擦った。腫れた先端を可愛がるように撫でまわして、くびれている部分に指を引っ掛けてコリコリ扱くと夏樹が泣きそうな声を出す。

必死な声が1番好きだった。いつも余裕そうで自分のペースがあって、のんびりしゃべる夏樹が息を切らして僕に縋るのがたまらない。

くぷくぷ先走りを垂らす尿道を親指で捏ね回すと、いやいやと夏樹が首を振った。


「やだ、やめ…ッ、んんん゛……ッ」

「挿れてほしいの?彼氏に頼みなよ」

「……なんで急に、んん、ぅうう゛ー…………ッッ!!」


竿を握って抑えて、手のひらで亀頭をくるくる擦る。ローションと先走りでぐずぐずになった先端はつるつるよく滑った。
夏樹の腰がぐいぐい持ち上がる。枕をぐしゃぐしゃに握って快感に耐えていた。


「んぐッぅううッ!!バッカそれやめ゛……ッ!!か、えでぇ……ッッ!!」

「…気持ちよさそうじゃん、充分でしょ」

「これやだッこれじゃないんだってぇ!!あ゛ぐッッんんんん゛ーーーーッッ!!!」


暴れる腰を抑えてぬるぬると先端だけを擦り続ける。顔どころか首筋まで真っ赤にした夏樹が、必死に首を振って抵抗していた。
まあこれ辛いよな。わかるけど。

夏樹は汗をぐっしょりかいていて、細い黒髪が額に張り付いていた。腹に力が入って腹筋に薄くラインが浮かんでいる。へー、まだギリ筋肉残ってるんだ。
高校時代は僕も夏樹も部活がハードだったから勝手に筋肉がつき初めて、夏樹はそこそこ綺麗に腹筋も割れて見えていた。急に男らしくなった身体つきも、白い腹に薄く入った溝も色っぽくて、高一の夏頃になんとなく着替えているところを見れなくなったのを思い出す。

ビクビクッと手元の性器が痙攣し始める。一層亀頭が腫れて硬くなっていく。
あーそろそろイくんだなってタイミングで、ぱっと手を離してやった。


「あ゛ッッ、!?、え、あ、なんで…」

「嫌って言うんだもん」

「は……?なんだそれ、…ぅぐ、んんッ!」


裏筋を指でつうっとなぞると、それだけで夏樹が腰を持ち上げる。硬く勃ち上がったまんまの性器が切なそうに震えた。
指一本で先端をつっついて、鈴口をにゅるにゅる擦る。とぷ、とまた先走りが滲んだ。

夏樹がまたくぅんと犬みたいな高い声をあげる。
自分で握ろうと手を伸ばしてきたので、すぐに捕まえて頭の上に固定する。
動けなくなったのを良いことに、何度か前を擦って寸止めを繰り返した。

泣きそうな声で夏樹が喘いでばたばた暴れる。

本当、感心するくらい綺麗に腰が反る。身をよじろうとしたり足をばたつかせたり、必死になって逃げようとしていた。
太ももの付け根がじっとり汗ばんでいて、指でなぞるとそれだけで腰が揺れていた。

別にいじめるのは趣味じゃ無いけど、僕はセフレみたいに都合よく扱われたのが嫌だったのかもしれない。
なんとなく、夏樹の好きなようにはしたくなかった。


「あ…んぁ、イく、イ゛………ッッ!!!んぁああ゛あ゛……ッ!!それやめ゛ろ゛ッッ!!」


しばらく繰り返していると、とうとう夏樹がボロボロ泣き出した。夏樹のそれはもう息を吹きかけたくらいで射精するんじゃないのってくらいガチガチに反り返っていて、ヒクんと時々揺れていた。

泣いている時も寝起きで浮腫んでいる時も、瞼が厚ぼったくなるのが色っぽいなと思う。
薄く膜を張ったように目の縁が涙でつやつや光って見えた。
それが可愛くて目元に優しくキスをすると、それだけでビクッと気の毒なくらい夏樹が震えた。


「………のこと、」

「んん、ぅ……なんだよぉ……」

「僕のこと好きって言ってよ、そしたら夏樹が好きなこと全部してあげる」

「すき」

「は?」


6割くらい本気、4割くらい冗談で言ったつもりだった。
………本当は8割くらい本気だったけど、保身で6割だって自分にも言い聞かせていた。

だからこんな簡単に、欲しい言葉が返ってくるなんて思ってなかった。


「かえでがすき、かえでが一番すき」

「………………」

「……なんだよ、おまえが言えっていったんだろぉ…!!かえで…もう無理、苦しい、しんじゃうから……ッ!!」

「……あー、そういう?」

「ちがうッふつうにおまえが1番だってぇ…ッかえですき、もぉイきたい、かえで……ッ!」


夏樹が僕の腰に脚を回してギュッとしがみついた。グイグイ腰を動かすから、僕の部屋着に夏樹のが擦り付けられていて、ローションやら体液やらでシミになっている。

夏樹がそれを見て、へらっと笑った。


「あは……かえでだって…もう限界じゃん……」


すりすりと夏樹が器用に、僕のを自分の性器で撫でるように腰を動かす。服の下のそれは、夏樹のことを笑えないくらいガチガチに勃起していた。

蕩けた目をしたまま、夏樹がゆるく口角を上げる。
控えめな八重歯が見えた。夏樹の歯並びは綺麗だけど、犬歯だけ目立つ生え方をしている。笑うと尖って見えて、それが大型犬みたいで可愛くて好きだった。

吸い込まれるように顔を近づけてキスをした。舌を突っ込んで歯の裏側をゆっくりなぞる。
抑えていた手を離すと、すぐに抱きついてくる。
あったかかった。夏樹はいつも、僕よりも体温が高い。

薄目を開けると夏樹と目があった。
ほんの少し夏樹が笑った気がした。


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