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リエッタのあずかり知らぬところでは
しおりを挟むリエッタの言葉からも、このパーティーの采配をしているのがユウナだと思うっているようだ。
だからこそ、ノアが謝ったことがリエッタには不思議でならない様子。
「どうしてって、このパーティーの装飾からなにから手配したのは俺と母様だからね」
「えっ……」
ノアの言葉を聞いた途端に顔を強張らせるリエッタを見て、内心ざまあと叫んだユウナは少々性格が悪いが、これまで絡まれてきたことを思うと仕方ないようにも思う。
「そうか、俺のセンスは貴族では受け入れられないのかな」
色香すら漂わせて落ち込んだように息を吐くノアを見て、リエッタは慌て出す。
「そ、そんなことないわ! よく見たら案外センスがいいかも! すごく私好みだわ」
「あら、別に兄様はリエッタの好みに合わせたわけじゃないわよ」
と、ユウナが微笑んでチクリと刺すように指摘すれば、ギッと睨みつけられた。
あからさますぎる態度の違いに、ユウナはもはやなんとも思わない。
いや、多少呆れはするが、リエッタのこの態度はもう慣れたものである。
やはり同じ年齢の同性というところが、リエッタにいらぬ敵対心を抱かせているのかもしれない。
空気が悪くなる中、ノアが話を変える。
「それはそうと、リエッタは一人? 子爵夫妻はどうしたの?」
それ以上の追及をノアからされないと分かりほっとするリエッタは、笑顔に変わる。
「お父様とお母様なら、人と会う用事があるからって欠席したわ。せっかく親族が主催するパーティーだっていうのにごめんなさいね」
殊勝に謝るリエッタからは、子爵が判断する前に勝手に手紙を読んで出席の返事を出した罪悪感はうかがえなかった。
ノアと母親、そして伯爵である祖父母も、このままならば子爵家とは距離を置こうかと考えている。
子爵家にもその旨をそれとなく伝えているので、これ以上の問題を起こす前にどうにか早くリエッタを子爵家から出そうと考えているのだろう。
子爵もこれまでリエッタには甘い所があったが、さすがに公爵家が絡んでくるとあっては、貴族家の当主として冷酷に決断しなくてはならない。
ちゃんとそれができるだけの判断力があったのは幸いだったのだろうか。
ユウナも別に子爵家まで貶めたいわけではない。
それなりに付き合いもあるのに加え、リエッタの兄と姉はまっとうで真面目な人間なのでなおさらだ。
子爵夫妻が人と会うために欠席するのはユウナ達は承知済みだ。
その相手がリエッタの結婚相手との顔合わせだとは、さすがのリエッタも思うまい。
リエッタの知らぬところでたくさんの物事が裏で動いていた。
それをすべて承知の上であえて聞いているノアも性格が悪い。
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