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突然の求婚
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「ノア、ユウナ嬢とお話ししたいな」
「いや、でも……」
「少しの間だけだよ。ねぇ、ノア、良いよね?」
にっこりと微笑むリオからは問いかけているにもかかわらず有無を言わせぬ圧力を感じた。
ノアはユウナとリオを交互に見てなにやら葛藤を見せていたが、最後には折れた。
「ユウナ、この腹黒になにかされそうになったら大きな声で助けを呼ぶんだよぉぉ」
何度も振り返りながら躊躇いがちに部屋を出ていくノア。
その場にはしばしの沈黙が落ちた。
ノアに視線を向けると、にこりと微笑まれ、つられるようにユウナの顔にも笑みが浮かぶ。
「申し訳ありません。今日の兄様はどこかおかしくて」
「いいんですよ。ノアがあなたのことになるとおかしくなるのはいつものことです」
「そ、そうですか……」
妹として、どう反応して良いのか悩む言葉だ。
「あっ、先程兄様が言っていましたが、婚約解消に向けて協力いただいたとか」
「ええ。認知されたことでアールスの権力を大手を振って使えるようになりましたので、協力できて良かったです」
なるほどとユウナは納得する。
男爵家から情報を仕入れることができたのもアールスの力を使ってのことだったのだろう。
さすが公爵家だ。
「それは、ありがとうございます」
ユウナは深々と頭を下げた。
「礼には及びません。私も早くあなたの婚約を解消させたかったので」
「えっ?」
ユウナは首をかしげる。
リオとユウナの婚約は何も関係がないだろうに。
不思議がるユウナに、リオはニコリと微笑んだかと思うと、席を立ってユウナの前で跪いた。
ぎょっとするユウナに構わず、リオは手を取る。
「ユウナ嬢、突然こんなことを言ってはあなたを困惑させるだけだと思います。けれど、後で後悔したくないので伝えます。婚約が解消されたあかつきには、僕をあなたの婚約者候補の末席に加えていただけないでしょうか?」
驚きのあまりすぐに声が出てこなかったユウナだが、絞り出すように問いかけた。
「どうして……?」
「一目惚れだと言ったら信じていただけますか? ノアに見せてもらった写真のあなたを見て好きになってしまたんです。そして、ノアから聞くあなたの話を聞いてずっとお会いしたいと思っていました」
カッと顔が赤くなるのを感じる。
「か、からかうのはやめてください……そんな……」
「からかってなどいません。あなたが好きです」
ユウナに向ける眼差しはとても真剣で、冗談を言っているようには思えなかった。
だからこそ、余計に動揺する。
「わ、私はこの婚約が解消されたら、祖父の跡を継ぐつもりです。婚約者は祖父が決めることでしょう」
とっさに出てきたのがそんな言葉だった。
すると、リオは嬉しそうにニコリと微笑む。
「分かりました。では、正式な手順を踏んで伯爵家に婚約の打診をしましょう」
待っていてくださいと告げてから、リオはユウナの手の甲にキスを落とした。
「いや、でも……」
「少しの間だけだよ。ねぇ、ノア、良いよね?」
にっこりと微笑むリオからは問いかけているにもかかわらず有無を言わせぬ圧力を感じた。
ノアはユウナとリオを交互に見てなにやら葛藤を見せていたが、最後には折れた。
「ユウナ、この腹黒になにかされそうになったら大きな声で助けを呼ぶんだよぉぉ」
何度も振り返りながら躊躇いがちに部屋を出ていくノア。
その場にはしばしの沈黙が落ちた。
ノアに視線を向けると、にこりと微笑まれ、つられるようにユウナの顔にも笑みが浮かぶ。
「申し訳ありません。今日の兄様はどこかおかしくて」
「いいんですよ。ノアがあなたのことになるとおかしくなるのはいつものことです」
「そ、そうですか……」
妹として、どう反応して良いのか悩む言葉だ。
「あっ、先程兄様が言っていましたが、婚約解消に向けて協力いただいたとか」
「ええ。認知されたことでアールスの権力を大手を振って使えるようになりましたので、協力できて良かったです」
なるほどとユウナは納得する。
男爵家から情報を仕入れることができたのもアールスの力を使ってのことだったのだろう。
さすが公爵家だ。
「それは、ありがとうございます」
ユウナは深々と頭を下げた。
「礼には及びません。私も早くあなたの婚約を解消させたかったので」
「えっ?」
ユウナは首をかしげる。
リオとユウナの婚約は何も関係がないだろうに。
不思議がるユウナに、リオはニコリと微笑んだかと思うと、席を立ってユウナの前で跪いた。
ぎょっとするユウナに構わず、リオは手を取る。
「ユウナ嬢、突然こんなことを言ってはあなたを困惑させるだけだと思います。けれど、後で後悔したくないので伝えます。婚約が解消されたあかつきには、僕をあなたの婚約者候補の末席に加えていただけないでしょうか?」
驚きのあまりすぐに声が出てこなかったユウナだが、絞り出すように問いかけた。
「どうして……?」
「一目惚れだと言ったら信じていただけますか? ノアに見せてもらった写真のあなたを見て好きになってしまたんです。そして、ノアから聞くあなたの話を聞いてずっとお会いしたいと思っていました」
カッと顔が赤くなるのを感じる。
「か、からかうのはやめてください……そんな……」
「からかってなどいません。あなたが好きです」
ユウナに向ける眼差しはとても真剣で、冗談を言っているようには思えなかった。
だからこそ、余計に動揺する。
「わ、私はこの婚約が解消されたら、祖父の跡を継ぐつもりです。婚約者は祖父が決めることでしょう」
とっさに出てきたのがそんな言葉だった。
すると、リオは嬉しそうにニコリと微笑む。
「分かりました。では、正式な手順を踏んで伯爵家に婚約の打診をしましょう」
待っていてくださいと告げてから、リオはユウナの手の甲にキスを落とした。
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