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父の言い分
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「どうして婚約の約束なんてしてきたの?」
「いやあ、実は……」
父親は背後にいるノアに怯えながら真実を吐いた。
「事業をホテル業界にも拡大したくてさ。とっても良い場所を見つけたんだ。王都の一等地。人通りも多い賑やかなところでぇ。でもそこはクエンティン商会の土地らしくてさ。頼んだけど売ってくれなかったから、ユウナの婚約をちらつかせて、もしあっちの有責で婚約破棄になったらそこを慰謝料にもらうって言いくるめたんだよぉ。なんか向こうはユウナと婚約したら伯爵と縁づけるって勘違いしてるっぽかったから、とんとん拍子に話がまとまってさ。後はあっちの有責で婚約破棄になれば、か・ん・ぺ・き」
えへっと笑う父親に殺意が湧いた。
クズがここにいる。
てっきり父親が騙された方かと思えば、こっちが騙していた方だった。
「証文はどこにある? 当然契約を交わしているだろう?」
ノアが後ろから、父親の両こめかみを拳でグリグリしながら問う。
「ぎゃあぁぁ! 机の引き出しの中ですぅぅ!」
父親をポイッと投げ捨てて、父親の机の中を漁る。
すると、それらしき契約書が出てきた。
ざっと目を通したノアが、父親をゴミでも見るかのような目で見る。
「兄様、どう?」
「確かに、あちら有責での婚約破棄の場合は、王都の土地を譲ると書かれている。あちらのサインも一緒に」
「くっ……。父様! 私を利用したわね! このクズ親父!」
「だって、欲しかったんだもん」
「私がジュードとそのまま結婚したらどうするのよ!?」
「ないない。だってジュード君は幼馴染みの子にお熱だし。実際にそういう関係じゃなかったとしても、あれだけべったりで噂もあるから、じゅうぶん向こう有責で婚約破棄できるよ」
勝ち目のない戦はしない主義だ、としたり顔で言う父親に、ノアはドロップキックをおみまいする。
「ぎゃうん!」
「いっそ、土に還すか。馬鹿は死ななきゃ治らないって言うし」
「兄様、さすがにそれはマズいです!」
ノアが父親を見る目は確実に殺る者の目つきだ。
気持ちは分かるが、さすがに止めなければ。
「と、とりあえず、婚約を破棄するのが先かと」
「それもそうだね。ユウナの方が大事だ。……それが終わったら覚えておけよ、クソが」
シクシク泣く父親をその場に放置して、ユウナとノアは部屋から出た。
これから対策会議だ。
「いやあ、実は……」
父親は背後にいるノアに怯えながら真実を吐いた。
「事業をホテル業界にも拡大したくてさ。とっても良い場所を見つけたんだ。王都の一等地。人通りも多い賑やかなところでぇ。でもそこはクエンティン商会の土地らしくてさ。頼んだけど売ってくれなかったから、ユウナの婚約をちらつかせて、もしあっちの有責で婚約破棄になったらそこを慰謝料にもらうって言いくるめたんだよぉ。なんか向こうはユウナと婚約したら伯爵と縁づけるって勘違いしてるっぽかったから、とんとん拍子に話がまとまってさ。後はあっちの有責で婚約破棄になれば、か・ん・ぺ・き」
えへっと笑う父親に殺意が湧いた。
クズがここにいる。
てっきり父親が騙された方かと思えば、こっちが騙していた方だった。
「証文はどこにある? 当然契約を交わしているだろう?」
ノアが後ろから、父親の両こめかみを拳でグリグリしながら問う。
「ぎゃあぁぁ! 机の引き出しの中ですぅぅ!」
父親をポイッと投げ捨てて、父親の机の中を漁る。
すると、それらしき契約書が出てきた。
ざっと目を通したノアが、父親をゴミでも見るかのような目で見る。
「兄様、どう?」
「確かに、あちら有責での婚約破棄の場合は、王都の土地を譲ると書かれている。あちらのサインも一緒に」
「くっ……。父様! 私を利用したわね! このクズ親父!」
「だって、欲しかったんだもん」
「私がジュードとそのまま結婚したらどうするのよ!?」
「ないない。だってジュード君は幼馴染みの子にお熱だし。実際にそういう関係じゃなかったとしても、あれだけべったりで噂もあるから、じゅうぶん向こう有責で婚約破棄できるよ」
勝ち目のない戦はしない主義だ、としたり顔で言う父親に、ノアはドロップキックをおみまいする。
「ぎゃうん!」
「いっそ、土に還すか。馬鹿は死ななきゃ治らないって言うし」
「兄様、さすがにそれはマズいです!」
ノアが父親を見る目は確実に殺る者の目つきだ。
気持ちは分かるが、さすがに止めなければ。
「と、とりあえず、婚約を破棄するのが先かと」
「それもそうだね。ユウナの方が大事だ。……それが終わったら覚えておけよ、クソが」
シクシク泣く父親をその場に放置して、ユウナとノアは部屋から出た。
これから対策会議だ。
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