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限界
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この日は先日キャンセルされたデートの仕切り直しの日だ。
ユウナは待ち合わせ場所で今度は来るかと疑心暗鬼になりながら待っていると……。
「ユウナ、お待たせ」
六度目にしてようやくちゃんと来たかと安堵したユウナは、振り返って唖然とした。
にこやかに微笑むジュードの隣には、なんとアリアの姿が。
「ど、どうしてアリアさんがここに?」
頬を引き攣らせるユウナに、ジュードは悪びれることなく答えた。
「今日はアリアの体調が良いみたいで一緒に行きたいって言うもんだからさ。ほら、どうせなら人数が多い方が楽しいだろう?」
ユウナは頭が痛くなってきた。
ジュードはここまで馬鹿だったろうか?
いや、もう何も言うまい。
言ったところで、ジュードが逆ギレしていつものパターンになるのがオチだ。
実際にそれで喧嘩しているところをユウナは見ていたはずである。
まさかデートに幼馴染みを連れてくるなど非常識なこと本当にするなんて冗談だと思っていたのだが……。
しかし、連れてくる方も問題だが、行きたいと付いてくる方も問題である。
アリアは交友関係は非常に狭く、箱入りで育ったようなのだが、さすがに婚約者とのデートに行きたいと言うのが常識外れだということが分からないのか。
ジュードの方も無神経である。
これがデートだと分かっているはずなのに。
「そ、そうなの……」
そんな言葉しか出てこないユウナをよそに、ジュードとアリアは楽しそうにしている。
「ジュードとお出掛けするなんて久しぶりね」
「今日はアリアの行きたい所を回ろう。どこが良い?」
「嬉しい。どこにしようかしら」
手を繋いで楽しそうに会話する二人。
これではどちらが婚約者か分かったものではない。
ユウナを無視して行き先を決めていく二人。
一応とばかりにユウナに「そこでいいだろ?」と聞いてくるが、もう決定事項と言わんばかりで、ユウナに拒否権など持たせてもらえなかった。
すでに、ユウナは帰りたくなっていたが、そこに留まった。
そろそろ、考えなければならないところまで来ていると分かっていたからだ。
そのためにも、少し二人を側で観察するのは悪くないと考えた。
決定的な何かをくれる気がして。
いや、まあ、すでに愛想を尽かすにはじゅうぶんすぎるものがそろっているのだが……。
ユウナは口を挟むことなく二人について歩いた。
ユウナは待ち合わせ場所で今度は来るかと疑心暗鬼になりながら待っていると……。
「ユウナ、お待たせ」
六度目にしてようやくちゃんと来たかと安堵したユウナは、振り返って唖然とした。
にこやかに微笑むジュードの隣には、なんとアリアの姿が。
「ど、どうしてアリアさんがここに?」
頬を引き攣らせるユウナに、ジュードは悪びれることなく答えた。
「今日はアリアの体調が良いみたいで一緒に行きたいって言うもんだからさ。ほら、どうせなら人数が多い方が楽しいだろう?」
ユウナは頭が痛くなってきた。
ジュードはここまで馬鹿だったろうか?
いや、もう何も言うまい。
言ったところで、ジュードが逆ギレしていつものパターンになるのがオチだ。
実際にそれで喧嘩しているところをユウナは見ていたはずである。
まさかデートに幼馴染みを連れてくるなど非常識なこと本当にするなんて冗談だと思っていたのだが……。
しかし、連れてくる方も問題だが、行きたいと付いてくる方も問題である。
アリアは交友関係は非常に狭く、箱入りで育ったようなのだが、さすがに婚約者とのデートに行きたいと言うのが常識外れだということが分からないのか。
ジュードの方も無神経である。
これがデートだと分かっているはずなのに。
「そ、そうなの……」
そんな言葉しか出てこないユウナをよそに、ジュードとアリアは楽しそうにしている。
「ジュードとお出掛けするなんて久しぶりね」
「今日はアリアの行きたい所を回ろう。どこが良い?」
「嬉しい。どこにしようかしら」
手を繋いで楽しそうに会話する二人。
これではどちらが婚約者か分かったものではない。
ユウナを無視して行き先を決めていく二人。
一応とばかりにユウナに「そこでいいだろ?」と聞いてくるが、もう決定事項と言わんばかりで、ユウナに拒否権など持たせてもらえなかった。
すでに、ユウナは帰りたくなっていたが、そこに留まった。
そろそろ、考えなければならないところまで来ていると分かっていたからだ。
そのためにも、少し二人を側で観察するのは悪くないと考えた。
決定的な何かをくれる気がして。
いや、まあ、すでに愛想を尽かすにはじゅうぶんすぎるものがそろっているのだが……。
ユウナは口を挟むことなく二人について歩いた。
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