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第二章
第30話
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「お会いできて嬉しいですわ。私、ルーチェ・ド・チュトラリーにございます。」
と、ルーチェも笑顔でリシアール令嬢を見た。
(全くよ。かろうじて侯爵令嬢なのに帝国の社交序列1位のチュトラリー公爵家の者によくそんな態度が取れるわね。でも、リシアール令嬢もフリジア令嬢も、少し頭が足りないみたいね。この作戦は失敗になるわよ。だって…)
「すみません。少し道が混んでいて遅れてしまいました…。はじめまして、セリーナ・デ・ラグチェにございます。」
(セリーナがまだ来ていないことにも気づけないなんて。)
リシアール嬢が凄い形相でセリーナをみた。
(全く皇太妃候補の令嬢が感情のコントロールすらできなくてどうするのよ…。)
「あの…。」
と、声を上げたのはミシェエール侯爵令嬢だった。
「ラグチェ侯爵令嬢は、道が混んでいたことは事実ですので仕方がないにしても、リシアール侯爵令嬢は、なぜチュトラリー公爵令嬢よりも後に来たのですか?!地位の高いものが後に来るというのは社交界での決まりではありませんか?!」
「ですから、私も道が混んでいたせいで…」
と言うリシアール令嬢の言い訳を途中までしか聞かないで
「私は、令嬢が誰よりも早く来ていたこともすぐ近くからこの場の様子を見ていたことも知っております。」
と、ミシェエールが言うと、周りの令嬢がざわついた。
「もう、大丈夫です。」
と、ルーチェが止めに入った。
「…ですが…。」
と言うミシェエールに微笑んで、リシアール令嬢の方を見てこう言った。
「人は誰だって間違った選択をすることがあります。大切なのはその過ちを反省し繰り返さないことです。リシアール令嬢だって今回が初めてですよね?」
リシアール嬢が何度も頷くと、ルーチェは笑顔から、突然冷たい顔になって
「私は、初犯ではそんなに怒りません。ですが、2回目があるようでしたらこちらもそれなりの対処をしなければいけませんがね。」
と、令嬢を脅迫するように言った。すると今度は笑顔になってほかの令嬢の方を見て
「雰囲気を悪くしてしまいましたね。とりあえず、このことは水に流して、楽しみましょう!」
と言った。
「ラスター侯爵令嬢、ありがとうございました。あんな風に言ってくださって嬉しかったです。」
と、ルーチェが笑顔で言い、そのまま違うところに行こうとすると
「チュトラリー公爵令嬢。」
と、ミシェエールに呼び止められた。
「私、公爵令嬢ともっとお話したいです。個人的に交流の機会をいただくことは可能でしょうか…?」
と、ミシェエールは真っ直ぐな瞳でルーチェを見た。
「もちろんです。お時間さえあればいつでも伺いますよ。」
その言葉を聞いたミシェエールは、顔が明るくなって
「ありがとうございます!」
と、言った。
「それにしても、女が剣を持つなんて腕が太くなってドレスが着れなくなってしまうのではありませんか?」
と、フリジア伯爵令嬢が笑いながら言った。
(やっぱり…。)
「女の私でも、剣を握り最前線で帝国を守ることが出来る事は嬉しく思っております。まだ未熟ですが、いつか3つの騎士団の団長のような皆に慕われ、信頼される帝国の守護者の名に相応しい人になりたいと思っております。」
と、ルーチェが言うと
「そんな未熟だなんて…。もう既に帝国の守護者の名に相応しいのでは…?」
と、言ったのはカルチェーダ男爵令嬢だった。
と、ルーチェも笑顔でリシアール令嬢を見た。
(全くよ。かろうじて侯爵令嬢なのに帝国の社交序列1位のチュトラリー公爵家の者によくそんな態度が取れるわね。でも、リシアール令嬢もフリジア令嬢も、少し頭が足りないみたいね。この作戦は失敗になるわよ。だって…)
「すみません。少し道が混んでいて遅れてしまいました…。はじめまして、セリーナ・デ・ラグチェにございます。」
(セリーナがまだ来ていないことにも気づけないなんて。)
リシアール嬢が凄い形相でセリーナをみた。
(全く皇太妃候補の令嬢が感情のコントロールすらできなくてどうするのよ…。)
「あの…。」
と、声を上げたのはミシェエール侯爵令嬢だった。
「ラグチェ侯爵令嬢は、道が混んでいたことは事実ですので仕方がないにしても、リシアール侯爵令嬢は、なぜチュトラリー公爵令嬢よりも後に来たのですか?!地位の高いものが後に来るというのは社交界での決まりではありませんか?!」
「ですから、私も道が混んでいたせいで…」
と言うリシアール令嬢の言い訳を途中までしか聞かないで
「私は、令嬢が誰よりも早く来ていたこともすぐ近くからこの場の様子を見ていたことも知っております。」
と、ミシェエールが言うと、周りの令嬢がざわついた。
「もう、大丈夫です。」
と、ルーチェが止めに入った。
「…ですが…。」
と言うミシェエールに微笑んで、リシアール令嬢の方を見てこう言った。
「人は誰だって間違った選択をすることがあります。大切なのはその過ちを反省し繰り返さないことです。リシアール令嬢だって今回が初めてですよね?」
リシアール嬢が何度も頷くと、ルーチェは笑顔から、突然冷たい顔になって
「私は、初犯ではそんなに怒りません。ですが、2回目があるようでしたらこちらもそれなりの対処をしなければいけませんがね。」
と、令嬢を脅迫するように言った。すると今度は笑顔になってほかの令嬢の方を見て
「雰囲気を悪くしてしまいましたね。とりあえず、このことは水に流して、楽しみましょう!」
と言った。
「ラスター侯爵令嬢、ありがとうございました。あんな風に言ってくださって嬉しかったです。」
と、ルーチェが笑顔で言い、そのまま違うところに行こうとすると
「チュトラリー公爵令嬢。」
と、ミシェエールに呼び止められた。
「私、公爵令嬢ともっとお話したいです。個人的に交流の機会をいただくことは可能でしょうか…?」
と、ミシェエールは真っ直ぐな瞳でルーチェを見た。
「もちろんです。お時間さえあればいつでも伺いますよ。」
その言葉を聞いたミシェエールは、顔が明るくなって
「ありがとうございます!」
と、言った。
「それにしても、女が剣を持つなんて腕が太くなってドレスが着れなくなってしまうのではありませんか?」
と、フリジア伯爵令嬢が笑いながら言った。
(やっぱり…。)
「女の私でも、剣を握り最前線で帝国を守ることが出来る事は嬉しく思っております。まだ未熟ですが、いつか3つの騎士団の団長のような皆に慕われ、信頼される帝国の守護者の名に相応しい人になりたいと思っております。」
と、ルーチェが言うと
「そんな未熟だなんて…。もう既に帝国の守護者の名に相応しいのでは…?」
と、言ったのはカルチェーダ男爵令嬢だった。
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