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決意、行動
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数日後、キルケは集められるだけの書物を集めてくれた。
私はそれらを担ぎ込み、部屋にこもって何日も書けて読み漁った。
書物を読んで、私はつくづく己の無知さを恥じた。
聞いてきたことは嘘だらけだ。
国外では戦争なんて殆ど起きていない。50年も前に世界平和協定が結ばれていたのだ。
そんな世界で、時折不審な権力者やテロリストの死が起こる。
…。
国外逃亡するなら、ウェドゥトゥ共和国が適切だろう。
移民を多く受け入れているし、ヨモリギ王国ほどではないにしろ魔法使いも多い。
問題は移動手段だ。
国外に出るには国王陛下の特別な許可状が必要だ。国を取り囲むように張られた結界によって無断出国は例え魔法を使ってもすぐにバレてしまう。
私は頭を抱える。
こんなのまるで何もしらない幸せな家畜じゃないか。
コンコン、とノックされた。
振り替えると、そこにはヨルアがいた。
「リコ…」
不安げな暗い顔だ。
「ずっと部屋にこもってどうしたのですか…?
やっぱり僕のことが嫌いに…」
「違うのです」
慌てて否定して彼に駆け寄る。
「私、少し調べものを」
「調べもの?」
「逃げましょう、ヨルアさん。
遠くの国へ、あなたが嫌な仕事をしなくて済む場所へ」
「えぇ?!」
彼は仰天のあまり大きな声を出した。
「ウェドゥトゥ共和国は移民を多く受け入れている国のようです。
どうにかして亡命しましょう。そして、ふたりで温かい家庭を築きましょう」
「そ、そんな…あなたは王の恐ろしさを知らないからそんなことが簡単に言えるんです…!
そんなことがバレて捕まったら…どんな目にあうか…」
「そんな人の側で働いていたら、ヨルアさんはいつまでも幸せになれないわ」
その言葉に黙ってしまった彼の頬に手を添える。
「私、あなたと一緒に幸せになりたいんです。
ここで耐えていても、その日はきっとやってこない」
「…でも…、国外に行くことは簡単じゃない…」
「その通り。だから何か策を練らなくては」
私は机に向き直り、頭を掻く。
「ここにある資料じゃ足りませんね。
もっともっとキルケさんにに集めてもらいましょう。今度は国外のものでなく、この国についてのものを」
どこかに必ず抜け穴はあるはずだ。
飼い慣らされた平和ボケした家畜を囲うのに頑丈な柵は必要がない。
私が以下のことを発見したのは2か月後のことだ。
まず、流石に私たち国民一人ひとりに発信器のようなものがついているわけではなく、人間が結界に触れさえしなければバレないということ。
その結界は海面から垂直に300メートルほどの高さで張られているということ。
つまり、海底を通るか飛び越すかすれば結界に触れることなく国外に出られるのである。
そして、その結界を張っているのは純白の魔法使いユヒア・エデンピトであること(彼女とは何かしらの因縁があるようだ)。
「いける…」
これなら準備さえすれば逃げられる。
私は早速、キルケに頼みごとをすることにした。
「キルケさん、この家にある値打ちのあるもの全て売るのを手伝ってください。
そして、そのお金でこのリストのものを」
「かしこまりました。
あの…奥様…」
キルケがもじもじと何か言おうとしている。
こんな態度は珍しい。
「どうしたのです?」
「私も、連れていってもらえるのでしょうか…?」
「当然ですよ!あなたも家族です!」
そう言うととびきりの笑顔を見せてくれた。
私はそれらを担ぎ込み、部屋にこもって何日も書けて読み漁った。
書物を読んで、私はつくづく己の無知さを恥じた。
聞いてきたことは嘘だらけだ。
国外では戦争なんて殆ど起きていない。50年も前に世界平和協定が結ばれていたのだ。
そんな世界で、時折不審な権力者やテロリストの死が起こる。
…。
国外逃亡するなら、ウェドゥトゥ共和国が適切だろう。
移民を多く受け入れているし、ヨモリギ王国ほどではないにしろ魔法使いも多い。
問題は移動手段だ。
国外に出るには国王陛下の特別な許可状が必要だ。国を取り囲むように張られた結界によって無断出国は例え魔法を使ってもすぐにバレてしまう。
私は頭を抱える。
こんなのまるで何もしらない幸せな家畜じゃないか。
コンコン、とノックされた。
振り替えると、そこにはヨルアがいた。
「リコ…」
不安げな暗い顔だ。
「ずっと部屋にこもってどうしたのですか…?
やっぱり僕のことが嫌いに…」
「違うのです」
慌てて否定して彼に駆け寄る。
「私、少し調べものを」
「調べもの?」
「逃げましょう、ヨルアさん。
遠くの国へ、あなたが嫌な仕事をしなくて済む場所へ」
「えぇ?!」
彼は仰天のあまり大きな声を出した。
「ウェドゥトゥ共和国は移民を多く受け入れている国のようです。
どうにかして亡命しましょう。そして、ふたりで温かい家庭を築きましょう」
「そ、そんな…あなたは王の恐ろしさを知らないからそんなことが簡単に言えるんです…!
そんなことがバレて捕まったら…どんな目にあうか…」
「そんな人の側で働いていたら、ヨルアさんはいつまでも幸せになれないわ」
その言葉に黙ってしまった彼の頬に手を添える。
「私、あなたと一緒に幸せになりたいんです。
ここで耐えていても、その日はきっとやってこない」
「…でも…、国外に行くことは簡単じゃない…」
「その通り。だから何か策を練らなくては」
私は机に向き直り、頭を掻く。
「ここにある資料じゃ足りませんね。
もっともっとキルケさんにに集めてもらいましょう。今度は国外のものでなく、この国についてのものを」
どこかに必ず抜け穴はあるはずだ。
飼い慣らされた平和ボケした家畜を囲うのに頑丈な柵は必要がない。
私が以下のことを発見したのは2か月後のことだ。
まず、流石に私たち国民一人ひとりに発信器のようなものがついているわけではなく、人間が結界に触れさえしなければバレないということ。
その結界は海面から垂直に300メートルほどの高さで張られているということ。
つまり、海底を通るか飛び越すかすれば結界に触れることなく国外に出られるのである。
そして、その結界を張っているのは純白の魔法使いユヒア・エデンピトであること(彼女とは何かしらの因縁があるようだ)。
「いける…」
これなら準備さえすれば逃げられる。
私は早速、キルケに頼みごとをすることにした。
「キルケさん、この家にある値打ちのあるもの全て売るのを手伝ってください。
そして、そのお金でこのリストのものを」
「かしこまりました。
あの…奥様…」
キルケがもじもじと何か言おうとしている。
こんな態度は珍しい。
「どうしたのです?」
「私も、連れていってもらえるのでしょうか…?」
「当然ですよ!あなたも家族です!」
そう言うととびきりの笑顔を見せてくれた。
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