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「ああ驚いた…」
真っ赤になった顔を冷ましに中庭に出る。
秋の午後の風は少し冷たくて気持ちよかった。
こんな風に異性に好意を伝えられたのは初めてだ。キースのことは特に好きではないけど照れてしまう。
そうしていると6人ほどゾロゾロと女子生徒が近づいてきた。
ヴィオラの前に立ち並ぶ。
「あの…なんでしょうか?」
「キース様にダンスに誘われたのでしょう?」
ひとりがそう言う。
「何故それをご存じなんです?」
「私たちはキース様をお慕いしていますから、そのくらい知っています」
覗き虫魔法でも使ったストーカーと言ったところだろうか。
まあ大体何しに来たのかは察しがつく。
「それがなんだとおっしゃるの?」
「断っていただけないかしら。キース様に恋をしている生徒の代表として申し上げますわ」
そもそも受ける気はなかったが、こう言われるのは気にくわない。
「もし断ったら?」
「パーティーに出席できないようになっていただくしかありませんわ」
ヴィオラは思わず呆れる。
こんなことをしたらキースに嫌われると思わないのだろうか。
見たところ学年順位10位以内の生徒はいない。それが6人…勝率は五分五分と言ったところだ。
頭の中で戦略を練っていたとき、
「おやおや、皆さんお集まりでどうしたんです?」
ヨズキが通りかかった。
「いえ、別に…」
取り巻きの女生徒たちは目を白黒させている。ヨズキは何かを察したのか
「ルーベンス、ちょうど良いところにいましたね。少しいいですか」
と言って連れ出してくれた。
女子生徒たちには目もくれずにヨズキについて行く。
「ありがとうございます、助かりました。流石に6対1となると危ないかもしれなかったので」
「で、何をモメてたんです?」
魔力安定科の教員室の匂いにもすっかり慣れた。
「フォックスにダンスに誘われたのを断れと」
「はは、彼もモテますねえ」
「元から断る気でしたけど、あのような脅し方をされたら私も意地になってしまいます」
「なんで。誘いを受けたらよろしいじゃないですか勿体無い」
「えっ?」
いつの間にかタバコを吸い始めているヨズキはケロリとそう言った。
むしろ不思議そうな顔でヴィオラを見ている。
ふーっと煙を吹いた。
「例年のごとく高嶺の花すぎて誰も誘ってくれないんでしょう?
まあ血統はイマイチかもしれないですが学年一位だしお似合いじゃないですか」
「なっ…!」
また頭にカーッと血がのぼる。
なんなんだこの男は!いつもいつも…
…。
何故私は怒っているのだろう…。
ヴィオラは自分で首をかしげる。
「まあでもねえ、貴女が満足できないかもしれませんねえ。
若い男はガッつきますから、俺みたいに焦らしてはくれませんよ?あの雰囲気じゃあ縛ってもくれないだろうし」
ヨズキがはははと笑う。
「別に誰もそんなこと頼んでないんですけど」
「いつもあんなに喜んでるじゃないですか」
「喜んでません!」
「ふうん」
ヨズキが見下すように嘲笑う。よくヴィオラを虐めているときにする表情だ。
それを見ただけで顔が熱くなるのがわかる。
「じゃ、今週はセックスをしないでいいですかね」
「え?」
「テストも終わったしパーティーまで魔法を使う機会も少ないでしょう。
今週は我慢してください」
「ヨズキ先生、まさか私がそれをできないと思ってるんですか?」
そんなに性欲は強くない。
それどころか仕方なく行為をしているだけで性欲なんて殆んどないはずだ。
「まあ出来るとは思いますよ、貴女は我慢強いですから」
そう言いながらヴィオラの頭を撫でる。
「でも貴女、自分で思ってるより淫乱なんですよ」
悪びれることも恥ずかしげもなくヴィオラなことをそんな風に言った。
真っ赤になった顔を冷ましに中庭に出る。
秋の午後の風は少し冷たくて気持ちよかった。
こんな風に異性に好意を伝えられたのは初めてだ。キースのことは特に好きではないけど照れてしまう。
そうしていると6人ほどゾロゾロと女子生徒が近づいてきた。
ヴィオラの前に立ち並ぶ。
「あの…なんでしょうか?」
「キース様にダンスに誘われたのでしょう?」
ひとりがそう言う。
「何故それをご存じなんです?」
「私たちはキース様をお慕いしていますから、そのくらい知っています」
覗き虫魔法でも使ったストーカーと言ったところだろうか。
まあ大体何しに来たのかは察しがつく。
「それがなんだとおっしゃるの?」
「断っていただけないかしら。キース様に恋をしている生徒の代表として申し上げますわ」
そもそも受ける気はなかったが、こう言われるのは気にくわない。
「もし断ったら?」
「パーティーに出席できないようになっていただくしかありませんわ」
ヴィオラは思わず呆れる。
こんなことをしたらキースに嫌われると思わないのだろうか。
見たところ学年順位10位以内の生徒はいない。それが6人…勝率は五分五分と言ったところだ。
頭の中で戦略を練っていたとき、
「おやおや、皆さんお集まりでどうしたんです?」
ヨズキが通りかかった。
「いえ、別に…」
取り巻きの女生徒たちは目を白黒させている。ヨズキは何かを察したのか
「ルーベンス、ちょうど良いところにいましたね。少しいいですか」
と言って連れ出してくれた。
女子生徒たちには目もくれずにヨズキについて行く。
「ありがとうございます、助かりました。流石に6対1となると危ないかもしれなかったので」
「で、何をモメてたんです?」
魔力安定科の教員室の匂いにもすっかり慣れた。
「フォックスにダンスに誘われたのを断れと」
「はは、彼もモテますねえ」
「元から断る気でしたけど、あのような脅し方をされたら私も意地になってしまいます」
「なんで。誘いを受けたらよろしいじゃないですか勿体無い」
「えっ?」
いつの間にかタバコを吸い始めているヨズキはケロリとそう言った。
むしろ不思議そうな顔でヴィオラを見ている。
ふーっと煙を吹いた。
「例年のごとく高嶺の花すぎて誰も誘ってくれないんでしょう?
まあ血統はイマイチかもしれないですが学年一位だしお似合いじゃないですか」
「なっ…!」
また頭にカーッと血がのぼる。
なんなんだこの男は!いつもいつも…
…。
何故私は怒っているのだろう…。
ヴィオラは自分で首をかしげる。
「まあでもねえ、貴女が満足できないかもしれませんねえ。
若い男はガッつきますから、俺みたいに焦らしてはくれませんよ?あの雰囲気じゃあ縛ってもくれないだろうし」
ヨズキがはははと笑う。
「別に誰もそんなこと頼んでないんですけど」
「いつもあんなに喜んでるじゃないですか」
「喜んでません!」
「ふうん」
ヨズキが見下すように嘲笑う。よくヴィオラを虐めているときにする表情だ。
それを見ただけで顔が熱くなるのがわかる。
「じゃ、今週はセックスをしないでいいですかね」
「え?」
「テストも終わったしパーティーまで魔法を使う機会も少ないでしょう。
今週は我慢してください」
「ヨズキ先生、まさか私がそれをできないと思ってるんですか?」
そんなに性欲は強くない。
それどころか仕方なく行為をしているだけで性欲なんて殆んどないはずだ。
「まあ出来るとは思いますよ、貴女は我慢強いですから」
そう言いながらヴィオラの頭を撫でる。
「でも貴女、自分で思ってるより淫乱なんですよ」
悪びれることも恥ずかしげもなくヴィオラなことをそんな風に言った。
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