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思春期のはじまり
12歳と26歳 ①
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12歳になったマリアは、ついに普通の学校に通うことになった。
そしてそこでカルチャーショックをうける。
マリアは赤ちゃんのときには既に許嫁がいた。マリアの周りには両親とシュヤン、そしてオリビアという未婚を貫く誓いを立てた修道女しかいなかったので、それが当たり前だと思っていた。
しかし、みんなには許嫁なんてものはいないのだ。
思春期の学友たちは興味を示し、根掘り葉掘り聞いてきた。
そして何故か、別の1人の男子生徒から恋文を渡された。
ひとり部屋で、それをペラリと開いて読む。
『許嫁のことを知ってショックでした。でも、貴女を諦めることができません。学校に通っている間だけでもお付き合いすることはできないでしょうか?
せめてあなたの昔の恋人という想い出になりたいのです』
そんな風に書いてあった。
別に好きでも嫌いでもない男子だ。顔は整っていて、正義感の強い人だ。
マリアは頬杖をついてその手紙をまた読み返す。
マリアも例に漏れずに思春期なので、異性に興味がないわけではないし、そこそこカッコいい男子なので悪い気はしない。
…シュヤンがこのことを知ったらどう思いどんな顔をするのだろう。怒るのだろうか。
ぼんやりとしていると、
「マリアさん、入るよ?」
とシュヤンが入ってきた。慌てて手紙を折って背中に隠す。
「ええ?!シュヤンさん!びっくりした…!」
「…。
声はかけたんだけど」
「ごめんなさい、ぼーっとしてて。今日いらっしゃるなんて珍しいですね」
「仕事が急に休みになったからさ」
「そうなんですね」
マリアは立ち上がりながら手紙をポケットに押し込んだ。
「お茶淹れてきますね」
シュヤンはそう言って部屋から出ようとするマリアの腕を掴んでベッドに座らせると、左隣に座った。
「今、何隠したの?」
シュヤンはいつもと同じようににこにこ微笑んでいて、マリアには彼が何を考えているのかわからない。
「いえ、何も隠してないです…」
「嘘、右のポケットに何か入れたよね。見せてよ」
スルリと腰に手を回し、そのままポケットまで伸ばすのでそれを両手で掴んで止めた。
ごつごつした大人の男性の手だ。思わずドキドキとしてしまう。
「ね、お願い。内緒にするから」
「あ、あの!!」
必死にそらす話題を考える。
「ん?」
「ロリコン…って、なんですか?」
ふと、シュヤンのことを話したときに言われた「ロリコンじゃん」という言葉を思い出したので聞いてみた。
「…。誰から聞いたの?そんな言葉」
「えっと…学校の友だちから…」
そう言えばこの手紙をくれた子だった気もする。
「マリアさんみたいな可愛くて幼い女の子が好きな人のことだよ」
顔を寄せ、耳元でそう囁く。マリアは顔が熱くなった。こんなに密着するのは初めてだ。
沸騰寸前の脳みそでなんとか質問を続けようと試みる。
「シュヤンさんは…そう言う人なの…?」
「んー…マリアさんのことは大好きだけど、幼いから好きなんじゃないよ。むしろ早く大人になって欲しいくらいだ。こんなに年が離れてるのが恨めしいよ」
大好きと言われて思わず黙る。熱くて熱くて首からつーっと汗が流れるのがわかった。
シュヤンは何を思ったのか、突然首筋を舐める。
「ひゃ?!」
思わず手を離すと、その隙にポケットの中身を取られてしまった。
「あ!ダメ!…うぅ…やだもう…」
マリアは顔を手で覆って隠した。
シュヤンは手紙を読んでしまうと、「へえ」と独り言を言ってマリアの肩を抱く。
「で、これどうするの?」
「どうするって…」
「受けるの?断るの?」
彼は先程からずっと変わらずにこにこしているが目が笑っていない。それだけはわかる。
「わかんないけど…」
「わかんないの?」
「…」
こんな怖いシュヤンは初めてだった。
そしてそこでカルチャーショックをうける。
マリアは赤ちゃんのときには既に許嫁がいた。マリアの周りには両親とシュヤン、そしてオリビアという未婚を貫く誓いを立てた修道女しかいなかったので、それが当たり前だと思っていた。
しかし、みんなには許嫁なんてものはいないのだ。
思春期の学友たちは興味を示し、根掘り葉掘り聞いてきた。
そして何故か、別の1人の男子生徒から恋文を渡された。
ひとり部屋で、それをペラリと開いて読む。
『許嫁のことを知ってショックでした。でも、貴女を諦めることができません。学校に通っている間だけでもお付き合いすることはできないでしょうか?
せめてあなたの昔の恋人という想い出になりたいのです』
そんな風に書いてあった。
別に好きでも嫌いでもない男子だ。顔は整っていて、正義感の強い人だ。
マリアは頬杖をついてその手紙をまた読み返す。
マリアも例に漏れずに思春期なので、異性に興味がないわけではないし、そこそこカッコいい男子なので悪い気はしない。
…シュヤンがこのことを知ったらどう思いどんな顔をするのだろう。怒るのだろうか。
ぼんやりとしていると、
「マリアさん、入るよ?」
とシュヤンが入ってきた。慌てて手紙を折って背中に隠す。
「ええ?!シュヤンさん!びっくりした…!」
「…。
声はかけたんだけど」
「ごめんなさい、ぼーっとしてて。今日いらっしゃるなんて珍しいですね」
「仕事が急に休みになったからさ」
「そうなんですね」
マリアは立ち上がりながら手紙をポケットに押し込んだ。
「お茶淹れてきますね」
シュヤンはそう言って部屋から出ようとするマリアの腕を掴んでベッドに座らせると、左隣に座った。
「今、何隠したの?」
シュヤンはいつもと同じようににこにこ微笑んでいて、マリアには彼が何を考えているのかわからない。
「いえ、何も隠してないです…」
「嘘、右のポケットに何か入れたよね。見せてよ」
スルリと腰に手を回し、そのままポケットまで伸ばすのでそれを両手で掴んで止めた。
ごつごつした大人の男性の手だ。思わずドキドキとしてしまう。
「ね、お願い。内緒にするから」
「あ、あの!!」
必死にそらす話題を考える。
「ん?」
「ロリコン…って、なんですか?」
ふと、シュヤンのことを話したときに言われた「ロリコンじゃん」という言葉を思い出したので聞いてみた。
「…。誰から聞いたの?そんな言葉」
「えっと…学校の友だちから…」
そう言えばこの手紙をくれた子だった気もする。
「マリアさんみたいな可愛くて幼い女の子が好きな人のことだよ」
顔を寄せ、耳元でそう囁く。マリアは顔が熱くなった。こんなに密着するのは初めてだ。
沸騰寸前の脳みそでなんとか質問を続けようと試みる。
「シュヤンさんは…そう言う人なの…?」
「んー…マリアさんのことは大好きだけど、幼いから好きなんじゃないよ。むしろ早く大人になって欲しいくらいだ。こんなに年が離れてるのが恨めしいよ」
大好きと言われて思わず黙る。熱くて熱くて首からつーっと汗が流れるのがわかった。
シュヤンは何を思ったのか、突然首筋を舐める。
「ひゃ?!」
思わず手を離すと、その隙にポケットの中身を取られてしまった。
「あ!ダメ!…うぅ…やだもう…」
マリアは顔を手で覆って隠した。
シュヤンは手紙を読んでしまうと、「へえ」と独り言を言ってマリアの肩を抱く。
「で、これどうするの?」
「どうするって…」
「受けるの?断るの?」
彼は先程からずっと変わらずにこにこしているが目が笑っていない。それだけはわかる。
「わかんないけど…」
「わかんないの?」
「…」
こんな怖いシュヤンは初めてだった。
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