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はじまり
9歳と23歳 と7歳 ②
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アンバーが狼の耳をとても気に入ったようなのでそのままピクニックへと出掛ける。オリビアも一緒に来るようなのでどのみち二人きりではないし、耳つきマリアを見られたのでシュヤンはアンバーのことを少し許した。
シュヤンは不振に思われない程度にアンバーと遊ぶじっとマリアを見つめる。
ふわふわの銀髪の間から飛び出したこれまたふわふわの耳…。
触りたい。触ったらどんな反応をするんだろう。にぎにぎ弄り倒したい。ちょっと強くつねったら痛がるんだろうか…。
(ああ、なんでこの子はまだこんなに小さくて幼いのか。大人だったら…早く、)
容赦なく愛したい。
「なんだか微笑ましいですね」
ひとり悶々と妄想していたシュヤンにオリビアが話しかける。
「…え、なんです?」
ワンテンポ遅れて、話しかけられていたことに気がついた。
「マリア様がこんな風に年の近い子と遊ぶことってあんまりないから…あの子、弟が出来たみたいで嬉しそう」
「ああ、そうですかね」
男の子と遊んで嬉しそうなマリアなど全く微笑ましくはないが適当にそう相槌をうった。
「マリア様とシュヤン様はいつご結婚されるんでしたっけ」
「7年後です。マリアさんが16歳になったら」
「今の私と同い年ですね。そっか、7年か…長いような短いような…」
彼女は16歳にしては大人びた雰囲気の少女だ。マリアもこのくらいだったら虐めても壊れないだろうか。
「僕には長過ぎます」
「ふふ、シュヤンさんも待ちくたびれちゃいますね。…でも大変ですよね、決められた結婚だなんて。…本当のところ想う人とかいらっしゃったりしないの?」
オリビアが小さな声で聞いてきた。
シュヤンは
(は?アンバーのやつ今マリアさんのこと呼び捨てした?)
とか思いながら答える。
「僕が好きなのはマリアさんですよ」
彼女はそれを冗談や建前と捉えたのか「そうでしたね」と笑った。
「やい!この狼の魔物めこの勇者アンバーが成敗してくれる!」
「ははは!やってみよ!」
そんな芝居をしながら2人は遊びの取っ組み合いを始める。
始めはじゃれているだけだったが、どんどんヒートアップしてきた。
「こら!マリア!!」「やめろアンバー」
オリビアとシュヤンの怒った声が同時に響いたとき、マリアがアンバーに馬乗りになりその持っていた棒切れに噛みついていたところだった。
シュヤンは冷静を装いつつも大人げなくアンバーに嫉妬心を燃やす。
マリアはそんなシュヤンと目が合うと顔をカアッと赤くして急いで立ち上がり服を整える。
「ご、ごめんなさい…私耳出してるとちょっと本能的になっちゃって…」
「全く!貴女はタオニ家に嫁ぐのですよ!もっとレディらしく振る舞ってくださいな!」
オリビアがマリアを叱りつけている横でシュヤンもアンバーの腕を掴んで立ち上がらせる。
「アンバー、お前が調子に乗りすぎたんだ」
「いてて、女のクセに結構力強いんだな」
性懲りもなくそんなことを言うのでまた頭を鷲掴みにした。
「マリア様は血は薄くとも人狼、普通の子供より力は強いんです」
シュヤンはそんな情報を知り、いつか組みしくために筋トレでもしとこうかな。などと思った。
シュヤンは不振に思われない程度にアンバーと遊ぶじっとマリアを見つめる。
ふわふわの銀髪の間から飛び出したこれまたふわふわの耳…。
触りたい。触ったらどんな反応をするんだろう。にぎにぎ弄り倒したい。ちょっと強くつねったら痛がるんだろうか…。
(ああ、なんでこの子はまだこんなに小さくて幼いのか。大人だったら…早く、)
容赦なく愛したい。
「なんだか微笑ましいですね」
ひとり悶々と妄想していたシュヤンにオリビアが話しかける。
「…え、なんです?」
ワンテンポ遅れて、話しかけられていたことに気がついた。
「マリア様がこんな風に年の近い子と遊ぶことってあんまりないから…あの子、弟が出来たみたいで嬉しそう」
「ああ、そうですかね」
男の子と遊んで嬉しそうなマリアなど全く微笑ましくはないが適当にそう相槌をうった。
「マリア様とシュヤン様はいつご結婚されるんでしたっけ」
「7年後です。マリアさんが16歳になったら」
「今の私と同い年ですね。そっか、7年か…長いような短いような…」
彼女は16歳にしては大人びた雰囲気の少女だ。マリアもこのくらいだったら虐めても壊れないだろうか。
「僕には長過ぎます」
「ふふ、シュヤンさんも待ちくたびれちゃいますね。…でも大変ですよね、決められた結婚だなんて。…本当のところ想う人とかいらっしゃったりしないの?」
オリビアが小さな声で聞いてきた。
シュヤンは
(は?アンバーのやつ今マリアさんのこと呼び捨てした?)
とか思いながら答える。
「僕が好きなのはマリアさんですよ」
彼女はそれを冗談や建前と捉えたのか「そうでしたね」と笑った。
「やい!この狼の魔物めこの勇者アンバーが成敗してくれる!」
「ははは!やってみよ!」
そんな芝居をしながら2人は遊びの取っ組み合いを始める。
始めはじゃれているだけだったが、どんどんヒートアップしてきた。
「こら!マリア!!」「やめろアンバー」
オリビアとシュヤンの怒った声が同時に響いたとき、マリアがアンバーに馬乗りになりその持っていた棒切れに噛みついていたところだった。
シュヤンは冷静を装いつつも大人げなくアンバーに嫉妬心を燃やす。
マリアはそんなシュヤンと目が合うと顔をカアッと赤くして急いで立ち上がり服を整える。
「ご、ごめんなさい…私耳出してるとちょっと本能的になっちゃって…」
「全く!貴女はタオニ家に嫁ぐのですよ!もっとレディらしく振る舞ってくださいな!」
オリビアがマリアを叱りつけている横でシュヤンもアンバーの腕を掴んで立ち上がらせる。
「アンバー、お前が調子に乗りすぎたんだ」
「いてて、女のクセに結構力強いんだな」
性懲りもなくそんなことを言うのでまた頭を鷲掴みにした。
「マリア様は血は薄くとも人狼、普通の子供より力は強いんです」
シュヤンはそんな情報を知り、いつか組みしくために筋トレでもしとこうかな。などと思った。
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