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肆章 氷雪の国・スノーメイル

四十二話、嗚呼、安心する…

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痛い、気持ち悪い、体が怠い。そんなありとあらゆる体調と精神の不調が今の私に襲いかかってる。瘴気を取り込んでいるのに、それを浄化する為の魔力はどんどん減って行く一方。だから私の体が完全に蝕まれるのも時間の問題になっている。


(もう、意識を保つのがやっとなのに…まだ…浄化し切れて無い…)


大量の魔力をずっと送り続けても尚根を張っている瘴気に、どれだけの苦悩に竜が耐えていたのが分かって胸が痛む。


(少しでも瘴気が残っていれば、そこからまた広がって行く…だから一回完全に元を断たないと…でも、このままじゃ…ッッ)


師匠やヴィクトールさんから、どんなに魔力が多いと言って貰えていても、神聖な竜に匹敵する魔力は無い。しかも、その竜を変えてしまうくらいの瘴気を断てる魔力なんて…でも、私が何とか繋がないといけない。此処で倒れたら、竜が堕ちて…この国が______


「全く…無茶をする」


呆れている様な口ぶりの…でもとても優しい声色が私の耳に入った。閉じ掛かっていた瞳を強引に押し上げ、声の方を見ると、其処には顔色の悪い私の先生が居た。


「ヴィ、クトール…さん」


「喋らなくて良い。此処までの瘴気を良く一人で浄化した。此処からは俺も手伝う」


言い終わる前に、ヴィクトールも私と同じ様に竜に魔力を流してくれる。大分体の負担が減った様な気がするが、まだ油断は出来ない。


(もっと、もっと魔力を送らなきゃ…護らないと…私が_____!)


『フウカは、自然の魔力を知っているか?』


「______!?」


師匠の声がした。いや、これは過去の記憶だ。弟子入りして少し経った時、こんな会話をした様な気がする。だけど…自然の魔力…?


『自然は空気内に存在する魔力を吸収して育つんだ。だから、極稀に自然から魔力を貰い受けられる魔術師が存在する。もしかしたら、フウカもその恩恵を受けているかもと思ってな』


(そう、だ。自然の魔力…今まで魔力が枯渇しても尚使い続けなきゃいけない事が無くて…試せないでいたっけ…でも今は…今こそが…)


朦朧とする意識で体勢を整え、意識を空気に、洞窟内に育っている植物に、水に集中させる。助けて欲しい。大事な人達を護る為に。


(皆、お願い。力を貸して欲しいの)


縋りの様な祈りの様な私の声が心に響く。でもその言葉は確かに_______


「…ありがとう。やってみせるからね」


私に抗って護る力をくれた。透き通る様な、綺麗で優しくて…それでも大きな魔力が私の中に入って来るのが分かる。ヴィクトールさんも居るし…これなら絶対に助けられる!
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