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肆章 氷雪の国・スノーメイル

三十九話、マジ勘弁

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雪山を走り抜けて数十分。俺を待っていたであろうセルシウスの案内のお陰で真っ直ぐに風華の所まで行けてる。多分これも風華がやっといてくれたんだろうな。


「クッソ…此処にも居るのかよ」


「燃やすか?」


「嗚呼、とっとと焼き払って進むぞ」


唸り声を上げているガルムを、俺とレオンの神力の炎が焼き払う。やっぱ神力の炎は弱点らしいな。通常魔術の炎を効くっちゃ効くらしいけど、多分こっちのが手っ取り早いし、俺もレオンも魔術は使えねえしな。


「…急ぐぞ。此処までガルムが居るって事は風華が向かったって言う洞窟の近くにも居る可能性がある」


「…フーカのお陰で、今は竜が穏やかじゃ。きっと沢山魔力を送ってくれてるんじゃな」


「だったら尚の事だ。竜に魔力を送りながらじゃ風華は反撃も防御も出来ねえからな」


レオンが頷いたのを確認すると、俺は歩くスピードを速めた。一刻も早く風華の所に行って、災厄から風華を守らないといけないからな!


「にしてもマジで彼奴等どっから湧いてんだ?俺達が箱入りって言ったって見た事ねえし…」


「コイツ等は最近急に現れた魔獣なのか呪いなのかも分からぬイブツじゃ。ちょーろーも頭を悩ませてた。だからオレサマがそれを調べに森の外へ出て来たんじゃ」


「成程な。ししょーなら何か知ってんのかなぁ…あー、本当に何処居んだよ」


こう言う時、真っ先に頼りになるのはししょーだ。きっとししょーならこう言う気が遠くなるような難しい調査も面倒だ…とか言いながらすぐに終わらせるんだろうな。


「オマエのししょーって誰だ?アレキサンダーか?」


「いや…俺と風華を育ててくれた御使だよ。親代りでもあるし、俺の剣と風華の魔術を鍛えてくれた師匠だ。少し前に、用事で出掛けてそのまま帰って来なくてさ。痺れを切らした俺達が旅ついでにししょー探してんだ」


「ふぅん…大変だな。オマエら」


「だろ。もっと敬え」


そう言うと、レオンに鼻で笑われた。何だ此奴。夕飯の肉の量減らしてやるぞ??


「でも、そのししょーを探すのはオレサマも協力してやる」


「良いのか?」


「嗚呼!カゾクは大事じゃ。コドモは親から離れたらダメだとちょーろーも、皆も言っていたからな!だって、フーカもライハもまだコドモじゃろ?」


…レオンに子供かと問われると凄い違和感なんだが…だって俺よりも凄いチビなんだぞ?そんな奴に子供じゃろと言われても、お前の方が子供だろ。


「獣人は、十年生きればもう大人じゃ。だからオレサマはもう大人なんだ。今はこんなコドモの姿じゃが、もう少し神力を使える様になれば本来の姿になれる!」


「その姿は違うのかよ」


「ミジュクゆえな!」


…何それかっこいいんだけど!?俺も早くデカくなりてえな。てか、レオンにワンチャン背を越させるって事か…?勘弁!!
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