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肆章 氷雪の国・スノーメイル

三十七話、平和な旅はねえのか!

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「本当にこっちか!?」


「オマエは待ってろ!足ケガしたんじゃろ!」


「気合いでどうにかすんだよ!」


こうして走っているのは、凄く複雑な理由はないが、ちゃんと理由はある。事の発端は、さっき宿に駆け込んで来たレオンだ。









「大変じゃ!!」


「どうした。全く、アレキサンダーはどうしたんだ」


「それどころじゃない!」


レオンの顔は、さっきよりも青く血の気が引いていた。一緒に外に出た筈のせんせーが居ないのも理由がありそうだ。


「大変じゃ!時間がない!」


「落ち着けよ。何があった」


「サイヤクが来る!」


災厄!?確かに吹雪とかは多くなってたけどこんな短期間で急激に進展するものか?セルシウスだって何とか対策してたみたいだけど…


「竜の魔力はもう普通の竜種よりも弱い!こんなちっぽけな魔力じゃ春は呼べぬ!その所為で災厄がもっと力を付けて、イヤな感じがする魔物を引き連れて来た!」


「おい、それってガルムじゃねえか?黒い瘴気みたいなの纏った…」


「それだけじゃない。不気味なヤツらがこの国に集まって来てる!」


マジかよ…フェイクガルムとかだけでも退けるのに苦労したのに…このメンバーでなら躊躇無く神力使えるから楽っちゃ楽だけども!


「…兎に角アレキサンダーを待つぞ。その後にマキアに連絡を入れて情報を共有する」


「待ってられっか!風華が危ないかもしれねえんだぞ!?」


「お前は今足が使えないだろう!」


使えるし!無理したらまたボキっと行くけど!それに…災厄が来るんだったら山に居る風華はもっと危ねえだろが!


「今は国を守る事も大切だ。此処には身を守る術を持たない者が多い。俺とアレキサンダーだけでは捌き切れん。ライハ。これは一つの作戦に過ぎないが、フウカはきっとこのまま竜の元へ行くだろう」


「だろうな。此処で戻って来る様な奴じゃねえし」


「ならフウカにはこのまま竜の元へ行って貰い何とか竜に魔力を戻してもらう。その間俺達は国の防衛だ」


「待った。その竜の魔力は何処から調達すんだよ」


風華の魔力だけじゃ補えねえよ。確かに膨大な魔力持ってるらしいけど、そのまま動けなくなって山から降りられなくなる。しかも魔力を使い果たしても竜の魔力が全回復して元に戻るって言う確証も無い。


「だが、フウカは戻る気は無さそうだぜ」


「せんせー!?」


「ライハ様!フウカ様より伝言が!」


振り返った先に居たせんせーが口を挟み、一緒に居たマキアが早口で俺に風華からの伝言を伝えた。…マジでやる気じゃねえかよ。


「…オレサマが行く」


「俺も行く。せんせー、国頼んだ」


「もう魔獣が降りて来始めてる。倒しつつ行けよ。そんで早く戻って来い。俺達三人じゃ無理だ」


せんせーの言葉を聞いた瞬間俺達は走り出して冒頭に戻る。って事で全力疾走!!!!
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