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肆章 氷雪の国・スノーメイル

十四話、頼りにされるって良いね

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「フウカ様、ヴィクトール様。聞こえていらっしゃいますか?」


「うん、大丈夫」


「此方も問題無い」


私とヴィクトールさんは春告の竜の捜索隊としてマキアのナビゲートを受けてる。耳に小型の通信結晶を取り付けて指示を貰う感じ。マキアは宿で情報を整理しつつ、兄さん達の方にも指示を出すみたい。


「フウカ、改めて編成を確認するぞ」


「はい」


「春告の竜を探すのがお前を主軸とした俺、又はアレキサンダーだ。其処は今日の成果を踏まえてどの形が良いかまたアレキサンダーと話し合う」


そう、私が竜を探すのは決定してるんだけど、同行してくれるのがアレキサンダーさんかヴィクトールさんかって言うのがまだ決まってないらしくて…取り敢えずの様子見で今日はヴィクトールさんが同行してくれてる。


「そしてこれまで通り依頼を解決しつつ災厄に繋がりかねない魔獣の討伐、そして出現の警戒を行うライハ主軸の班だ。此処には今、アレキサンダーが同行している」


兄さん達は、今ヴィクトールさん達が調査してる件を調べつつ、他の依頼を受けながらガルムとかの魔獣がいないか警戒するらしい。そしてマキアが前に起こった災厄を調べてくれてて、其処に記されてる魔獣と、此処に生息してる魔獣を比較して、該当する魔獣を追い払ったりする役割。


「マキアは情報収集及び指示、レオンはイーブルギルドの警戒と街の防衛…人数が少ないから些か不安はあるがな…」


「頑張らないとですね」


「嗚呼。この班はフウカが要だ。俺もアレキサンダーも頼りにしているぞ」


頼りにしている。その言葉に私の口角が上がるのが分かった。そう、私は兄さんが頼られてるのが羨ましかったりする。色んな国で兄さんが人に頼られてるのを見て、密かに羨んでいた。だから、今私は嬉しい。


「春告の竜が居たとされる洞窟はこの近くだ。何か感じるか?」


「…でも、此処からでも大きな魔力があるのは分かります。しかも数日前には此処を離れてる筈ですから…竜の姿になっている時はかなりの魔力を放出する筈…でも私も兄さんも一度も気が付いていない…」


こんな大量の魔力が流れれば嫌でも気が付く筈なのに一体何故…春告の竜の特性か何か?でもそんな話聞いた事も…


「取り敢えず、魔力の感じは覚えました。でも少し可笑しいですね」


「可笑しい?」


「はい。清らかで、精霊達と似たものを感じます。でも…少し悪いモノが混ざっている感じがして…」


悪意とかそう言ったものも此処から感じる…もしかして、既に人の感情が竜の魔力を侵しているのかもしれない…だったら早く見つけないと…
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