上 下
143 / 186
肆章 氷雪の国・スノーメイル

六話、俺達ってマジで呪われてたりする?

しおりを挟む
「ん?早かったな」


「セルシウスには会えたか?」


「すみません、緊急事態です」


俺と風華が急いで宿に戻ると、せんせー達が資料と睨めっこしてるとこだった。風華の慌ててる様子に、ヴィクトールがいち早く反応して、二人分の椅子を追加した。ムカつくわあ…モテる男ってか…?


「それで、どうした」


「セルシウスに会って来ました。その時に、今は契約出来ないって。理由は災厄が来るから」


「サイヤク?」


風華は、せんせー達が使ってた資料の中から分厚い本を選んで、パラパラとページを捲っていく。そしてあるページを開くと、それをテーブルへと置いた。


「本来この時期のスノーメイルでは、雪解けが始まって、暖かくなる季節…けど、今はまだ雪が残っていて、それどころか吹雪いている地域まである」


「確かに、例年よりも雪解けが遅い…と色々な場所で聞きました。しかし、それと災厄に関係があるのですか?」


「昨日、ヴィクトールさんにこの資料を見せて貰った時、似た様なものを見た」


風華が指差したページには、一面の雪と眠ってるドラゴン、そして凍えてる人々に黒いナニカが蠢いている様な絵があった。


「約六百年前、この地を守ってる春告の竜が魔力不足で春を呼ぶ事が出来ず、スノーメイルの地は氷に閉ざされた。魔力不足の大きな理由の一つは、人々の信仰が無くなっていたから。春告の竜は、春を呼ぶ為に膨大な魔力を使う。でも、その魔力を蓄える事が出来なかった結果、スノーメイルには春は来ず、人々は飢え、その結果として、人の悪意や絶望を好む魔獣達の巣窟となった…」


「…それを、此処では災厄と呼ぶ…と言う事なのか」


「セルシウスが言ってました。最近、此処でも魔術師と非魔術師の争いが増え、魔力や魔術の象徴である春告の竜を嫌う者も出て来てしまった…その上災厄まで重なってしまえば、スノーメイルは氷に閉ざされるだけじな済まないと」


ガルムや人の悪意を好むタイプの魔獣やその他モンスターは、悪意が強ければ強い程に強くなる。通常のレベルが20くらいだとすると、悪意とか絶望が深い所だと85くらいまで跳ね上がる事もある。つまりは、負の感情が強ければ強い程彼奴等も強くなるし、数も増えるって言うヤバい連鎖が起こる。


「いや待て。そもそも春告の竜は存在するのかよ」


「するよ」


「その根拠は」


信じてないと言うか、信じられてないせんせーとヴィクトールが即答した俺に視線を向けた。まあ、そりゃそうか。竜は何方かと言えば精霊に近いし、今は姿を変えてるだろうから、分かんないよな。


「春告の竜は多分、その辺に居る魔獣に普段は姿を変えてるんだ。そんで、春を呼ぶ時だけ竜の姿に戻るんだろ。多分理由としては、此処の奴等に怖がられない様に」


「そして、ヴィクトールさん達が受けた依頼の呻き声や土地の破壊も、今の国の影響かと」


「…?どー言う事じゃ?」


「精霊とか竜とか…人の信仰とかで魔力を受け取る奴等は、人の思い込みとか恐怖とかそう言う影響をモロに受けんだよ。例えば根が優しい竜でも、半数くらいの人間が恐ろしい竜だって言えば、その通り恐ろしい竜になる」


多分今の感じだと春告の竜を恐れてる奴等が多いんだろ。だからこんな事になってる…はあ…やっと落ち着けると思ったのに、また事件か…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

辺境領の底辺領主は知識チートでのんびり開拓します~前世の【全知データベース】で、あらゆる危機を回避して世界を掌握する~

昼から山猫
ファンタジー
異世界に転生したリューイは、前世で培った圧倒的な知識を手にしていた。 辺境の小さな領地を相続した彼は、王都の学士たちも驚く画期的な技術を次々と編み出す。 農業を革命し、魔物への対処法を確立し、そして人々の生活を豊かにするため、彼は動く。 だがその一方、強欲な諸侯や闇に潜む魔族が、リューイの繁栄を脅かそうと企む。 彼は仲間たちと協力しながら、領地を守り、さらには国家の危機にも立ち向かうことに。 ところが、次々に襲い来る困難を解決するたびに、リューイはさらに大きな注目を集めてしまう。 望んでいたのは「のんびりしたスローライフ」のはずが、彼の活躍は留まることを知らない。 リューイは果たして、すべての敵意を退けて平穏を手にできるのか。

女神に冷遇された不遇スキル、実は無限成長の鍵だった

昼から山猫
ファンタジー
女神の加護でスキルを与えられる世界。主人公ラゼルが得たのは“不遇スキル”と揶揄される地味な能力だった。女神自身も「ハズレね」と吐き捨てるほど。しかし、そのスキルを地道に磨くと、なぜかあらゆる魔法や武技を吸収し、無限成長する力に変化。期待されていなかったラゼルは、その才能を見抜いてくれた美女剣士や巫女に助けられ、どん底から成り上がりを果たす。

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

死んでないのに異世界に転生させられた

三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。 なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない) *冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。 *カクヨム、アルファポリスでも投降しております

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...