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参章 芸術の国・アーティオン

四十三話、疲れたし会いたくもない!!

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「ッッッしゃ!!取った!!!」


「なッ!?」


果てしない攻防の末に、俺が隙を突いてデュースのナイフを叩き落として首元に剣を当てる。やっとだ!疲れた!!


「終わりだろ。さっさと自首しろ」


「それは…御免こうむるかな」


デュースが、指をパチンと鳴らした瞬間、倒れてるイーブルギルドの奴等とデュースの足元に魔法陣が浮かんだ。これは…


「転移か!?」


「御名答。まさか、ジュダも負けたみたいだからね。本当、人は見掛けによらないよ」


流石風華。後で褒めちぎろう。って転移防がねぇと此奴等また来んじゃん!ヘルプ風華!!転移止めて!


「今回の所は御暇させて貰うよ。まだやらないといけない事もあるからね」


「逆に行かせると思ってんのか!!」


デュースに向かって剣を振り下ろすと、魔法障壁の様な物に、斬撃を弾かれた。何で!?


「これには何重にも防御魔術が重ねられているからね。無駄だよ」


「クソッ…」


「じゃあね、ライハ。また会おう」


最後に嫌なくらい爽やかな笑顔を浮かべると、さっきまで転がっていた奴等を含めて、全員が何事も無かったかの様に消え去った。


「俺は会いたかねぇよ…」


剣を鞘に仕舞って、教会の方へ歩き出す。ボロボロの教会の中には、壁に背を預けて座っている風華が居た。え、気絶してね!?


「風華!風華!!」


「……?兄さん…?」


「お前…ッ心配させんなよ…」


「あ、ごめん…魔力少なくなっちゃって…」


見た感じ、連発した感じだもんな…風華、攻撃苦手なのに、良く頑張ったよ…本当。


「良いよ、お前が無事で良かった」


「うん、兄さんも」


「大変だったけどな!」


風華にちょっと体を預けて、肩と肩をくっ付けて、壊れた天井から覗く空を眺める。うん、さっきまで乱闘してたとは思えんくらい良い天気だわ。


「フウカ様!ライハ様!」


「ん?お、マキア。お疲れ」


「お怪我はありませんでしたか?」


マキアの後ろから、レオンやエアル、キャシーにシュピーゲルの爺ちゃんの他にも、護る会の奴等が一気に教会に入って来て、俺達を取り囲む。


「んー、怪我より疲れかなあ…久し振りにあんなに殺意マシマシの戦いした」


「私も…」


俺より風華の方が重症だな…グッタリして今にも寝そう。


「教会の修復手伝いたいんだけどさ…今ちょっと厳しいかも」


「気にしなくて良い。それに元々手伝って貰う気も無かったよ」


「何で!?」


「此処はもう場所が知られてしまったからね。拠点を移そうと思うんだ」


…確かに次またいつ彼奴等が来るかも分かんないからな…じゃあ、今日でさよならか…


「アンタ達、次は何処に行くの?」


「マキア、調べ物は…」


「はい、無事に完了しております。お二人は氷雪の国、スノーメイルにいらっしゃるとの事でした」


スノーメイル…か…なら一回其処だな。早く会いたいし。


「スノーメイルなら、北だね。君達を駅まで送り届けた後、私達は新しい拠点に行くよ」


「そっか…じゃあ…少し寝て良いか?」


「一時間後に起こします。私は荷物を運んでおきますので、ごゆっくりと」


最後まで言葉を聞けずに、俺は瞼を下ろした。自分で気付かない内に、めっちゃ気を張ってたから疲れたんだろうな…
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