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参章 芸術の国・アーティオン

三十九話、約束守ったんだからさっさと帰れ!

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「ライハ!?」


「おう、俺も混ぜろよ」


風華の転移魔法が俺達の位置を入れ替えたと同時に、群がっていた奴らを剣でブッ飛ばす。マジで風華に不利な戦況じゃん。良くやった俺。


「ライハ様…!フウカ様は…」


「中。俺達に相性悪い相手がセッティングされてたみたいだかんな。俺が頼んで風華に入れ替えて貰った。お前の差金か?デュース」


「その通りさ。良く気が付いたね。君は一見、頭が働かなさそうなのに」


おうおう、煽ってくんなお前。確かに俺は頭働かねぇけど!事実だけどな!!


「戦闘の事なら、風華並みに頭回んだよ。素早くて近接の戦い方をするお前には同じ様な戦い方で、尚且つ、攻撃力が高い俺の方が適してるし、逆もそうだ。あの…ジュダだっけ?彼奴みたいに殺意マシマシの武器をぶん回してる奴には風華みたいに頭が切れて、遠距離攻撃や中距離攻撃の不規則な攻撃が効く。それを見越してお前はこの配置にしたんだろ?俺が残るのは確信してた訳だ」


「御名答だ。この期間で、ライハが妹想いで自分に良くしてくれた人達には情が深い事は分かったからね。君なら戦えないこのギルドの面々を守り、フウカ達を先に行かせる…流石に予想外はあった。まず、フウカが此処まで戦える程強かった事、ライハがジュダと渡り合えた事、そして君達が入れ替わった事だ」


「ガキだからって舐めてるから痛い目見るんだよ馬鹿野郎」


ししょーとせんせーは、俺達に何かと手加減無しで来たから、大人の本気とか1ミリも怖くねぇよ。それに…


「お前ら濡れてんじゃん。風華の水だろ?なら俺の勝ちだわ」


「は…?」


「頼むぜヴォルト…百雷!!」


剣を上に向けると、ヴォルトの力が其処に集中して、電気が集まる。そしてそのまま、ずぶ濡れの此奴等目掛けて落ちていった。ドタドタ倒れてるけど…まあ、百雷は数は多いけどそこまで威力が無い。感電しても死にはしないだろう。風華の水に感謝だな!


「こ…れは…ッッ」


「なーんでお前は立ってんだよ」


「暗殺者だから…ね…多少は耐性があるさ」


面倒!!毒とかなら分かるけど何だ雷への耐性って!シンプルに峰打ちで気絶させるか?


「はあ…計画は上手くいかなかったか…ジュダも苦戦してるみたいだし」


「当たり前だろ。風華は強いんだから」


「本当にね」


軽口を叩きながらも、デュースは未だに少し痺れてはいる様で、ヨロヨロとしながらもナイフを構えた。まだやんのか。


「あ、言い忘れてたけど、このナイフには、高濃度の麻痺毒が塗られてるからね。一瞬でも掠ったら君は動けなくなるよ」


「掠りもしねぇよ。そういえばお前、俺の剣技見たいって言ってたよな。これから、嫌ってくらい見せてやんよ。マキア、キャシー達を守ってくれ。此奴は俺がやる」


「かしこまりました」


俺が剣を構えて、デュースがナイフを強く握った。睨み合って、何方ととも無く駆け出した。絶対に負けんからな!!
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