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参章 芸術の国・アーティオン

十七話、やっと醍醐味味わえたな!

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「オッドアイ…と言うんじゃったか。何と美しい事か…他の画家が嫉妬する事間違い無しじゃな」


「…良かったな、風華」


「うん」


この目は昔から気味悪がられてたからな。でも折角双子として描いて貰うなら、本当の俺達の姿でやって欲しかったんだ。俺の我儘だったけど…後悔はしてないぜ!


「そうじゃ、名前を聞いとらんかったな。儂はシュピーゲル。しがない画家じゃよ」


「俺は雷葉でこっちが風華。旅をしてるんだ」


「そうじゃろうな。お主達の目はそう言う目をしとる。色んなものを見てきた目じゃ」


んな事分かんのか!!やっぱ爺ちゃんとかって色んな事知ってるよな。年の功って言うんだっけか?


「本当に美しいのう…肖像画の中から飛び出して来たとも錯覚してしまう」


「風華可愛いよな!爺ちゃん見る目ありすぎだろ」


「それは嬉しい事じゃ。ふむ…お主達は似てはいるが全く同じ訳でもなく、しかし良く似ておる…これほど造形が整っているのも中々に珍しい…」


何か凄い褒めてくれんな。擽ったいけど、やっぱ嬉しいわ!何より風華も褒めてくれてるのが俺は一番嬉しいからな!


「もっと時代が古ければ、君達は大きく祀られた事じゃろうな」


「何でだ?」


「言ったじゃろ?この国にとって双子は吉兆なのじゃと。それにこんなにも美しい見た目をしておる。傾国でさえも夢じゃなかったろうな」


何かスケールデカいからあんま意味分かんないけど、それはそれで面白そうだな。


「この街は楽しいか?」


「んー…祭りは楽しいよ。けど…街を包んでる根本的な空気は好きじゃねえ。魔術師撲滅とかふざけんなって思ってる」


「そうじゃろうな。儂もこの空気は嫌いじゃ。キャシーが近くにいたから、より強く魔術に触れて来た。彼奴等が騒いでいる程、これは害あるものでは無い。寧ろ…美しく芸術的だと言うのに…」


…やばい、俺シュピーゲルの爺ちゃん大好きになりそう。何?全肯定してくれんじゃん。アンタが神か?


「ふむ…良し、出来たぞ」


「…!すっげぇ!風華、見てみろよ!」


「…綺麗…」


シュピーゲルの爺ちゃんが見せてくれたのは、凄く綺麗な俺達の絵だった。陽だまりみたいにあったかい感じがする。それに凄く似てる。俺ってこんな感じに見えてんのか…絵でも風華は可愛いな。


「ありがとう!爺ちゃん!」


「ありがとうございます。あの…シュピーゲルさん」


「何じゃ?」


風華が意を決したように前に一歩進んで、爺ちゃんの目を見据えた。俺は絵を持ってそれを見守る。


「このお祭りでやる魔法のショーに私も出るんです。御礼には…ならないかもしれませんが…良ければ見に来て下さい」


「…成程の。勿論じゃ。フウカ君の魔法、楽しみにしておるよ」


「…!ありがとうございます」


風華も嬉しそうだし、シュピーゲルの爺ちゃんも優しい顔してる。うんうん、やっぱ旅はこうでなきゃな!
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