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弐章 蒸気の国・エンジーム

三十八話、修行の回数が増えるな!

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「んー!やっぱ空気が美味いな」


「そうだね。シルフも機嫌良い」


「なーなー、オマエタチは何するんじゃ?」


そう言えば言ってなかったな。ただ森行く!って言っただけだし。


「ノームって言う地の精霊に会いに行くんだ。ちょっと前に魔獣に襲われてたからな」


「ほへ~」


精霊達の情報網は不思議で、一人にあった事が数日で精霊界全体に伝わってたりする。だから実際に被害あったのは、ステンリアのノームだけど、一応現状をこっちのノームに聞いとこうと思ってな。


「あ、兄さん、居たよ」


「お!おーい!ノーム!」


「兄さんとレオンはちょっと待ってて、話してくるから」


俺達を見つけて歓迎モードのノームの方へと風華が走って、何か話し始めた。


「…?フーカは何してるんじゃ?」


「精霊と話してんだよ。ちゃんとしっかり話せんのは俺じゃ無くて風華だかんな」


「オマエダサいな」


んだと貴様。確かに俺は風華みたくは理解出来んが軽くは!!軽くは理解出来んだよ!!!ったく…此奴俺と風華との扱いの差が天と地なんだよ…


「兄さん!レオン!来て良いって!」


「了解!お前、大人しくしとけよ」


「分かっとる!」


はしゃぐレオンと一緒に俺はノームのさとへと足を踏み入れた。


「よっ、元気か?…そうか、あっちも落ち着いてるなら何よりだよ。礼なんか良いって!俺等がやるべき事をやっただけだよ」


「こっちは被害無くて良かった。皆無事みたいで」


「むー??何言ってるか分からん…」


俺達が話してる横では、レオンが首を捻っていた。は!!俺の事言えねぇじゃんか!!


「ん?何だノーム。え?俺にか?」


「良いんじゃない?兄さんなら扱えると思う。それに、出来る事も増えるよ」


「そうだけど…」


ノームが俺に力を貸してくれるらしい。でも…何で俺?確かにあの時俺助けたけど、傷治したりしたのは風華だぜ?


「きっと兄さんに適性があるんだよ。私も嬉しいよ?力を貸してくれる子達が増えるのは」


「…風華、良いのか?」


「勿論」


精霊は、契約者は変えられない。つまり、精霊は違う人間二人と契約が出来ないと言う事。つまり、俺が契約してしまうと、風華はノームとは契約出来なくなる。軽く力を貸して貰う事は出来ても、完全な力は使えない。


「…もー、良いんだよ。兄さん。兄さんはノームに認められたんだから。私は嬉しいんだってば。それに…ほら、ノームだって兄さんを待ってるよ」


「…そうか…ノーム、俺で良いか?」


ノームは俺の問いに大きく頷いた。そうか…ありがとうな…


「分かった。これからよろしくな、ノーム」


俺がノームに触れると、ノームは光の結晶になって、俺の中へと吸い込まれていった。これが契約完了の合図だ。うん、この力もしっかり使えるように、修行しないとな!!応援してくれた風華の為にも!!
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