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弐章 蒸気の国・エンジーム

三十六話、そんな来られても無理だが!?

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「それでは、エンジームの平和を祝して!!乾杯!!」


「「「「乾杯~!!!!」」」」


ナルシ野郎の音頭に合わせて、その場に居た全員がグラスを合わせた。今はベレッツァの広間で宴会中だ。あのボアを倒してから、潮が引いたみたいに、国中の魔獣の凶暴化が止まったんだと。やっぱ風華とジャックの予想は当たってたみたいだな。


「お手柄だったな、風華」


「兄さんのお陰。最後兄さんが来てくれなかったら私死んでたし」


「本当にな!!気を付けてくれよ!」


マキアに運んで貰ったら目の前に潰されそうになってる風華居て本当にビビった。マジで光の速さで助けに行ったもん俺。


「なーなー、コイツ等何やってるんじゃ?」


「お祝いだよ。あのボアを倒した事で、もう危険が無くなったから」


「へー、呑気なもんだな!」


此奴もちゃっかり風華の隣占領しやがるし…んー、此処にはあと数週間って所だな。まだ復興の手伝い残ってるし、森にも行きたいんだよ。ノームが居る気配したからさ。用事が全部終わり次第次の国だな。何処にしよー。


「ねえねえ!君達が噂の旅人かい?!」


「え?」


「何だ?」


食べ物を食ってた俺達に声を掛けたのは、カメラを構えた奴とメモを持って目をキラキラさせてる集団だった。マジで何?


「是非取材をさせて貰えないかな!!君達の活躍は国中の注目の的なんだ!!怪物の親玉まで倒してしまうなんて!嗚呼!明日の朝刊が楽しみだよ!」


「ちょッ!眩しいって!」


シャッターを焚かれて、思わず目を瞑る。俺達は良いって一言も言ってねぇかんな!?


「親玉はどうやって倒したの?!」


「…妹が魔術で援護して俺と此奴が切った」


「切り裂いたのだ!」


多分此奴等答えないと一生話し掛けてくんだろうからな…それは面倒すぎる。


「魔術か!凄いね!所で君達は何でベレッツァに協力しようと思ったんだい?」


「…私達も、被害に遭った事あるから、見過ごせなくて?」


疑問系だな風華。俺も答えたらそうなってた。被害っちゃ被害だけど、本当の被害者ノームだしな。


「もう少しいいかな?」


「いやー…」


俺達が目を逸らして言葉を濁してると、目の前をムカつく背中が遮った。


「この二人への質問なら私が受け付けよう!何せ、この二人を最初に見つけ出したのはこの私だからね!何でも聞いてくれ給え!」


「本当ですか!?では此方へ!」


「分かった。二人とも、私は少し外すが、楽しんでおくれ」


ナルシ野郎はウインクをすると、記者達と一緒に奥のテーブルへと歩いて行った。


「助けられちゃったね」


「不服だけどな。後で礼くらい言わねぇと」


そう言えば、マキアは上に居る。何でも今回のデータをいち早く確認したいらしいジャックが慌ててマキアを回収?ってか呼び出してた。まあ、嵐も去ったし、取り敢えず食うか!!
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