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弐章 蒸気の国・エンジーム

十九話、取り敢えずは決まりかな

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「まだかな~」


「ギルドマスター同士の話し合いでしょ。長くて当たり前」


「そうだけどさ」


あれからすぐに兄さんが帰ってきて、マキアに事情を説明して、今は通信結晶越しのジャックとアデルバードが協力体制について話し合ってる。私は兄さんが買ってきてくれたカップケーキを食べてる。美味しい。


「美味いか?店の人にオススメされたカップケーキなんだ」


「うん。美味しい」


ふわふわのケーキの中に苺のジャムが入ってて凄く美味しい。今度寄る機会があれば買おう。兄さんはチョコのカップケーキを食べてる。さっき一口貰った。


「フウカ様、ライハ様。話し合いが終了致しました」


「お!やっとか!ありがとな、マキア」


「いえ、どうぞ此方へ」


残りのカップケーキを口に入れると、マキアの後を着いて行く。うん、雰囲気から察すると上手くいったみたいだね。安心安心。


「来たか!フウカの助言通り、我らがベレッツァはステンリアのギルド、スタディアとの協力体制を敷く事となった!」


「詳細はボクから説明するね。まず、エンジームの街と魔獣の生息地の境界にボクらが作った感知システムが搭載された結界を張ってもらいたいんだ。その感知システムは魔獣のみを感知する様に今急ピッチで仕上げてるよ。その魔獣データを今は代理でマキアを通してベレッツァやボクらのスタディアへと情報を流す。そしてその反応が感知された場所に最も近い戦闘人員が居るギルドに要請を出す…ザッとこんな作戦だよ」


「成程ね。でも、あまり大きい物はマキアを介して此処には送れないよね?」


あの変な石…片手サイズの物なら、マキアに搭載されてるシステムで送受が出来るけど、大きいものは難しいんじゃ…


「それは心配いらないさ。何せ此処は蒸気の国だよ?蒸気機械なんて此方で基本用意出来るとも」


「こっちで用意するのは簡易システムだよ。それをベレッツァが用意してくれた蒸気機械に取り付けるんだ。この簡易システムはコンパクト化してるから、ちゃんと送れるよ」 


「すっげえじゃん!」


うん、本当に期待通りだね。こんな良い作戦になるとは思って無かったけど…これは案外良い方向に転びそう。


「じゃあまたシステムが出来たら連絡するよ。あの石の事はもう少し待ってて!もう少しで解析出来そうだから!じゃあまたね!マキアも体調に気をつけるんだよ~」


「はい。ジャック」


「分かった。ジャックも気を付けて」


ジャックが笑顔で手を振ると、通信結晶が光を失った。通信終了だね。さてと…取り敢えず待ちだけど、一歩前進って事でいいのかな。
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