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弐章 蒸気の国・エンジーム

十六話、なんか最近分かれる事が多い気がする

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「フウカは良かったのか?ライハと共に街の散策へ行かなくて」


「うん。私としては、散策よりもアデルバードから直接この街のことを聞きたくて。良い?」


「勿論だとも!そうだな、まずはこの街の特徴や特産物について話そう!この街には多くの職人が集う。鍛治や採掘だけでは無い。燻製や剥製、宝石に至っても様々な職人がこの街には居るんだ。燻製の食べ物、ベーコンやチーズはこの街でもかなり人気の特産物だ」


其処は聞いた通りだね。でも、宝石とかもあるんだ…てっきり石炭とかだけかと思ってたけどそうでもないんだね。


「他には食物油や機械油…オイルの生成も盛んだ。住民に人気なのはサウナだな。私も良く利用している」


「サウナ?」


「嗚呼、蒸気で高温に保った部屋の事だ。慣れない内はあまり気持ちの良いものではないが、慣れればとても良い物さ」


へぇ…そう言う施設?って言うのかな…は兄さんが凄く詳しいんだよね。私も偶に驚くくらいの知識があって、助かってる。


「後は何と言っても、この国中に溢れている機械だろう。私の美しきギルドは取り入れてはいないが、蒸気機関を利用した発明品はこの国の誇りだろう。蒸気の国・エンジームの名に恥じない技術を持っているよ」


「成程ね。国民の人達はどんな暮らしをしているの?」


「基本工場勤めか炭鉱勤めだね。他にも色々な職種があるが、主流なのはこの二つさ。資源が豊かだからこそ、沢山の工場があってその工場に出荷する為の鉱石や石炭が必要になる。勿論石油もね。一族代々工場勤めと言うのも珍しくはないよ」


工場か炭鉱…大変そうだけど、やりがいはありそうだよね。私だったら無理だけど、その現場も実際見てみたいかも。


「でも、人が多い分一人一人の働く時間は少なく済んでいてね。家族との時間は多く取れると聞くよ。女性は主に屋台を切り盛りしてる人が多いかな」


「確かに、ベーコンとか売ってくれる人、女の人が多かったかも」


「家族全員でお金を稼いでいるんだ。一見大変そうだが、それも一種の幸せだからね」


そう言えば屋台の販売補助の依頼、意外と多かったな…今度引き受けてみようかな。


「…ありがとう。かなり勉強になった」


「此方こそ、この街を知ってくれて嬉しい限りだ。それで治安回復の術は思い付いたかい?」


「まだ全然。でも、見回りは必要だよ。いつ魔獣が現れても良いように」


具体的な事はまだ全然だけど、まずは出来る事から着実にやって行かなきゃね。



【No.2・蒸気の国 エンジーム】


滞在期間 未定


特徴 最近、治安が悪くなってる。理由はイーブルギルドと活発化と魔獣の凶暴化。今は打開策を検討中。


特産物 燻製の食べ物、魔獣の剥製、宝石類


人々 一家でお金を稼いでいる家庭が多いらしい。主に男性が工場や炭鉱勤務、女性が屋台を切り盛りしてるらしいが、今は機械の補助もあり、女性も工場や炭鉱で働いてる場合もあるらしい。


記載者 彼岸風華


記載場所 エンジーム・ベレッツァのギルドマスタールーム


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