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弐章 蒸気の国・エンジーム

十四話、話を聞けよお前は!!!

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「風華、大丈夫か?」


「恐らく魔力切れだろう。寧ろ、良く今まで意識を保っていられたものだ」


「暫く休息を取れば目を覚まされる筈です。ご安心を」


あの石をジャックに送ると風華が糸が切れた様に倒れて、意識を失ってた。半端パニックだった俺をジャックとマキアが宥めて、風華を休ませる為にナルシ野郎のギルドへ向かってる。本当焦った~~…いきなり倒れたんだもん…マジで心臓止まるかと思った…!!


「だが、年齢と魔力が比例していないな。この年齢で彼処まで高度な魔術を使える者は私も初めて見た」


「俺の妹は最強だかんな。コントロール力がずば抜けてんだ。ししょーが言うには、もっと成長すれば、無尽蔵に近い魔力になるらしい」


「片鱗は感じたさ」


俺は魔力云々分かんねえけど、風華が凄えってのは分かる。後守んなきゃいけないって事も。やっぱ軽いんだよな…風華…集落にいた時よりかは重くなったけど、それでも何処かに消えちゃいそうだ。ししょーに拾われてすぐの頃は、俺達に兎に角食いもん与えてたなあの人。服?布脱いだ俺達が皮と骨状態だったからだろうけどさ。


「所で後ろの彼女は?」


「ん、嗚呼、マキアだ。俺達の旅仲間だよ」


「魔導人形のマキアと申します」


あ、ナルシ野郎が目を見開いて立ち止まった。はい嫌な予感~帰りたい~


「ま、魔導人形だって!?ライハ、彼女を何処で…!」


「前に行った国の奴らに託されたんだよ。此奴に色んな景色を見せてやって欲しいって」


「そのお礼として、私達はお二人の旅のサポートをしております」


唖然と突っ立っているナルシ野郎を置いてマキアの案内に沿って進む。早く風華を休ませてやりたいからな!良く頑張ったよ本当に。あのサイズだったんだ。どんだけ大変だったんだろうな…


「…ライハ、やはり君達一行は私のギルドに入るべきだと思うのだが」


「入らねえ言ってんだろ。俺達は世界を見る為に旅をしてんだ。全部見て回ったら考えてはやるよ。今は無理一択だ」


「ふむ…ではいつか入ってくれると言う事か!嬉しいぞ」


此奴…変なとこ死ぬほどポジティブだよな。頭のネジ絞めてやれよ誰か。


「入るとは言ってねえ。考えるだけだ」


「ふふ、私直々に何度も誘われてるからと、何もそんなに照れる事ないだろうに。恥ずかしがり屋なのかい?」


「お前マジで耳付いてるよな?」


こんなに話聞かねえ奴珍しいだろ絶対。予想の直角くらい違う所来るんだけど。


「では、君達の旅が終わるまで、席をしっかりと確保しておかなくてはな」


「しなくていいわ」


「ふふ、服も調達しておこう」


お前は!!話を少しくらい聞けや!!
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