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弐章 蒸気の国・エンジーム

八話、初めて会う人種だけど関わりたく無い!

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「ラストオオオ!!!」


突っ込んでくるボアに峰打ちかまして退場させた。これで…何体目だ?五十から数えんの辞めたんだよな…


「帰ろ帰ろ。風華は調べもんだっけか」


今日は確かジャックと通信繋いでマキアと風華の三人で気になる事を調べるらしい的な事を言ってたよな。風華も修行付き合ってくんないかなあ…風華の援護魔法にいつか俺が激突しそうで怖い。


「いやあ、素晴らしかったよ」


「何だお前」


俺が帰ろうと踏み出した瞬間、何処からか変な男が拍手しながら出てきた。無駄にイケメンなの腹立つな此奴。


「嗚呼、私の名前が気になるのかい?ふふ、いいだろう。特別に教えてあげても…」


「いやいいわ。俺帰るし」


「待ちたまえ。折角この私が直々に声を掛けたんだ。もう少し感動で打ち震えるものだよ」


知るか。お前の顔初めて見たし。てかあれか。お前ナルシストか?俺の全ての勘が言ってる。此奴に関わると碌な事がねえって。


「…ワースゴイナー」


「棒読みなのは許すとしよう。君の素晴らしい強さに免じて…ね?」


うわキッモ!!ウインクなんかして来やがったんだけど!?鳥肌が…!!


「…話し掛けたって事は俺に用だろ?悪いけど手短に頼むわ。妹が宿で待ってんだ」


「妹思いなのも実にビューティフル!いいね。君の事気に入って来たよ」


「気に入らなくて良い。何にも無いなら帰るぞ俺は」


踵を返した俺の肩をナルシ野郎が引っ掴んで来た。んだコイツ!!力強!?


「話とは単純だ。君を私のギルドに勧誘しに来たのさ」


「無理。話は終わりだな」


「まあまあ聞きたまえ。我が美しいギルドは今戦力を欲しているんだ。だが、最近の旅人は貧弱者ばかり。私が直々にこう出向いても満足する結果は得られない…だが」


ナルシ野郎の目がギラっと光ったと思ったら鼻先まで顔を近付けて来た。は?近い近い近いわボケ!!


「君は良い。強いし生意気だ。調きょ…んん、仲良くしがいがあるってものだ」


調教って聞こえたんだけど?て言うか此奴と風華は絶対合わせちゃ駄目だわ。それにやっぱ碌な事なさそうだし。


「所で妹が居るんだったね。どんな子なんだ?君と同じ様に剣技を扱うのかい?」


「…魔導師だよ」


「魔導師!?それはまた素晴らしい!!是非実力を拝見したいものだ…それはそれとして、ギルドには入ってくれるだろう?」


此奴鳥頭か?さっき無理って拒否ったよな俺…


「無理だっての。俺達は旅をしてんだ。一つの場所には留まれない」


「まあ、何と言っても君には拒否権はないんだけれどね」


「は?」


相変わらず無駄に良い顔で笑ってる其奴の手にはが握られていた。


「返せやコソ泥!!」


「人聞きが悪いな。これを返して欲しければギルドに入ると良い。私直々の誘いだ。断れる筈がないからね」


「断るわボケ」


だが剣は困る。せんせーから貰ったやつだし、あれ無いと神力でしか戦えなくなるし。めっちゃ困る。


「…ではこうしよう。明日、君と君の妹君でベレッツァと言うギルドに訪ねておいで。そこで決闘をしよう。戦うのは私と妹君だ」


「勝手に決めないでくんない!?」


「それでは、アディオス」


「話を聞けやおい!!!!」


俺の声が平原に木霊した。取り敢えず…助けて風華!!!!
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