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壱章 始まりの街・ステンリア

二十八話、何処の世界でも警察は緊張するよな…

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「やっほー!二人共!待ってたよ~」


「お久し振りです」


「…ども」


俺達は約束通りスタディアよりも賑わってる街の中央区に位置してるセフィロンへとやって来た。


「お茶出すね~!あ、ジュースしかないや」


「貴方はまたジュースばかり買って…はあ…すみません。お茶が良ければ僕の部屋からお持ちしますが…」


「お構い無く」


何か警察って感じしねえ…良いのか?こんな緊張感の無い感じで…


「じゃあはい!ジュースね!二人とは沢山お話してみたかったから嬉しいなあ」


「そうですか」


「そんな緊張しないで~」


うん、来て早々だけど俺はもう帰りたい。風華の表情を見るに風華も帰りたがってる。


「ま、取り敢えずこれだけは言わせて。ありがとう。キミ達二人があの暴動を最小限に留めてくれたお陰で被害が圧倒的に少なかった。上司も上機嫌だったよ。セフィロンを代表して、感謝させてね」


「僕からもお礼を。他国の暴動を見て来た僕達からしても、あの結果は最高のものであったと言えます。君達が居てくれて良かった」


「…別にそんなお礼言われる様な事じゃねぇ。俺達は依頼を達成しただけだし、最終的にあの場を収めたのはアンタ等だ。だからそんな風に頭下げなくて良い」


俺の言葉に、ルチルとミチルは驚いた様に目を見開いてたけど、すぐに笑って席に着いた。立って頭を下げられたのなんて初めてだったわ。


「でも何かお礼させてよ。何かない?困ってる事とかさ」


「んー、特には…」


「それなら」


俺が特に無いって言おうとしたのを遮って風華が声を上げた。ん?どうしたんだ?風華、何か欲しいものとかあんのか?それなら俺が買ってやるのに…!?


「…数日前、街外れの田舎町に行った時、不気味な魔獣に会いました」


「…詳しく伺っても?」


「はい。その魔獣はガルムに似ていましたが、身体に黒い靄の様な物を纏っていました。更に攻撃を受けても、攻撃を受けた部分が黒い粒子となって、無限に再生して…対魔術特性を持っているのか、私の魔法障壁も破られそうになりました」


マジで!!?風華のあの魔法障壁が破られそうになった!?聞いてないし俺風華の彼奴がかち合ったのさえ聞いてないんだけど!?風華!?


「何か証拠はある?証拠が無いと、上は動かせない」


「はい。此方に」


風華がポーチから取り出したのは小さい何か…何だあれ…虫??あ、大きくなった。棺か…吃驚した…


「この中にその魔獣を閉じ込めました。粒子状な筈なので…再生するかまでは…」


「OK、なら地下に行こう。彼処は職員の修練場になってるから、多少暴れても平気!!さ、そうと決まればいっそげ~!!」


「はあ、ミチル、走らないで下さい」


俺達は二人に続いて歩き出す。棺はちゃんと風華の後ろに浮かんで付いて行く。て言うか帰ったら尋問だぞ!?風華!!
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