18 / 19
改めて伝えさせてくれ
しおりを挟む
「うなじを噛んで欲しいんです」
「っ!」
形の良い唇からこぼれた言葉に驚き、息を飲む。
俺と結月はαとΩだし、もちろん考えたことは何度かあった。この関係が続いていけばいつかはと期待もしていた。
しかし結月から提案されるのはまったく予想していなかった。嬉しいことだし、以前ならすぐに喜んでいただろう。けれど今の状況では、戸惑いが頭を占める。
「それが何を意味するか、わかってるんだよな」
「はい。何度も考えました。考えて考えて出した僕の答えです。トキオさんと番になればこの前みたいなヒートもなくなるし、僕がΩであることで生まれる不安も少なくなります」
「それは、そうだけど……」
「不安が少なくなれば、僕もトキオさんと同じように事務所にお世話になれますよね?」
確かに結月の言う通り、番になれば不安が少なくなり社長の提案を受けられるし、一番上手くいくのかもしれない。しかし俺は首を縦に振れなかった。大事なところが抜け落ちている。
「結月がよく考えた結果だってことはよくわかった。でも、必要になったから番になるのは、俺は嫌だ。それに無理やり事務所に入っても結月が辛いだけだと思う」
結月のことを信頼してるけど、焦りや不安から番になることを選びたくなかった。この世界に入ると決まったら、今までの生活もがらりと変わるだろう。好きでも無いことのために結月が傷つくのも嫌だった。
「ごめんなさい、大事なことを言ってなかったですね……僕はトキオさんが大好きだから、番になりたいんです。事務所に入るのも無理やりじゃありません。実はトキオさんのお仕事を見学した時に、少し惹かれていたんです。プロフェッショナルな人たちと作り上げるお仕事ってすごいなって……口にするのもおこがましくて、言えませんでしたけど。挑戦できるのなら、してみたい」
俺を安心させるように柔らかく微笑む結月。しかし真っ直ぐ俺を見る瞳は真剣で、本気なのだと伝えてくる。
結月が本心から俺と番になりたくて、挑戦してみたいと言うのなら俺から言うべきことはひとつだった。
自分の気持ちをちゃんと伝えてくれた結月に向き合い、俺も息を吸う。
「……わかった。それなら俺からも改めて伝えさせてくれ。結月、俺と番になってほしい。俺を結月の番にしてくれ」
今度は結月が息を飲んだ。堪えるように眉根は寄るのに、口元は幸せそうな弧を描く。
今までも何度も思ってきたのに、俺はまた強く、結月が好きだと思った。好きで幸せなのに、胸は切なく軋む。喉が熱かった。
「ありがとうございます、トキオさん」
「俺の方こそ、ありがとう……じゃあ、チョーカー、外すな」
「はい」
うなじを噛むのなんて初めてだし、緊張する。
おずおずとタートルネックのセーターをずらし、チョーカーを晒す。ベージュ色のそれは結月の肌と馴染んでいた。
震えそうな指先を後ろに持っていき、留め具を掴む。ゆっくりとチョーカーを外し、左手に収めた。右手で何も纏わないうなじを優しく撫でる。
「結月」
「トキオさん……っん」
うなじを撫でていた手を後頭部に置く。自然と俺は結月に顔を寄せていた。啄むように何度も唇を触れ合わせる。
「結月、触りたい」
「ん、っあ」
柔らかな唇を堪能しながら、セーターの中へ手を滑り込ませる。裾を押し上げる手は腹を這い、胸へと行き着く。
手のひらが先端をかすめると、結月の肩がビクッと跳ねた。
「気持ち良いか……?」
「んっ、はぁっ……きもちい、です」
恥ずかしそうにしながら体を火照らせる結月。そんな姿を見てしまえば、俺も更に熱が宿る。
チョーカーをテーブルに置くと俺は結月をベッドに倒した。早くと急いでしまう気持ちを抑え、自分の服を脱いでいく。下着だけになると、次は結月の服に手をかけた。
肌触りの良いセーターを脱がせ、パンツと下着も下ろし、足から抜きとる。キスでぼうっとした結月の腰に右手を持っていく。左手はさっきと同じように胸の先端を撫で付けた。
「っ、んん、あっ」
左手の指で胸の先端を挟み、刺激する。それと同時に右手は熱に這わせゆるく動かした。
「あ、あっ……はぁっ」
どんどん息を乱す結月。促されるように俺の息も荒くなる。俺の手で乱れる結月を見ているだけで体の熱は昂っていた。
右手をそえている結月の熱も大きく、硬くなっていく。そろそろもっと強い刺激が欲しいだろうかと、扱くスピードを速めた。
「ん、んんっ、っあ」
順調に熱を大きくしていく結月。俺も我慢ができなくなって、下着をずらした。自分のものと結月のそれを擦り合わせる。
「あぁっ、はぁっ、ん」
「っ、結月」
荒く熱い息が混じり合う部屋。気持ち良さそうに体をくねらせる結月も、もれる甘い声も、すべてが卑猥だった。擦る度にビリビリと頭が痺れる。
「っ!」
形の良い唇からこぼれた言葉に驚き、息を飲む。
俺と結月はαとΩだし、もちろん考えたことは何度かあった。この関係が続いていけばいつかはと期待もしていた。
しかし結月から提案されるのはまったく予想していなかった。嬉しいことだし、以前ならすぐに喜んでいただろう。けれど今の状況では、戸惑いが頭を占める。
「それが何を意味するか、わかってるんだよな」
「はい。何度も考えました。考えて考えて出した僕の答えです。トキオさんと番になればこの前みたいなヒートもなくなるし、僕がΩであることで生まれる不安も少なくなります」
「それは、そうだけど……」
「不安が少なくなれば、僕もトキオさんと同じように事務所にお世話になれますよね?」
確かに結月の言う通り、番になれば不安が少なくなり社長の提案を受けられるし、一番上手くいくのかもしれない。しかし俺は首を縦に振れなかった。大事なところが抜け落ちている。
「結月がよく考えた結果だってことはよくわかった。でも、必要になったから番になるのは、俺は嫌だ。それに無理やり事務所に入っても結月が辛いだけだと思う」
結月のことを信頼してるけど、焦りや不安から番になることを選びたくなかった。この世界に入ると決まったら、今までの生活もがらりと変わるだろう。好きでも無いことのために結月が傷つくのも嫌だった。
「ごめんなさい、大事なことを言ってなかったですね……僕はトキオさんが大好きだから、番になりたいんです。事務所に入るのも無理やりじゃありません。実はトキオさんのお仕事を見学した時に、少し惹かれていたんです。プロフェッショナルな人たちと作り上げるお仕事ってすごいなって……口にするのもおこがましくて、言えませんでしたけど。挑戦できるのなら、してみたい」
俺を安心させるように柔らかく微笑む結月。しかし真っ直ぐ俺を見る瞳は真剣で、本気なのだと伝えてくる。
結月が本心から俺と番になりたくて、挑戦してみたいと言うのなら俺から言うべきことはひとつだった。
自分の気持ちをちゃんと伝えてくれた結月に向き合い、俺も息を吸う。
「……わかった。それなら俺からも改めて伝えさせてくれ。結月、俺と番になってほしい。俺を結月の番にしてくれ」
今度は結月が息を飲んだ。堪えるように眉根は寄るのに、口元は幸せそうな弧を描く。
今までも何度も思ってきたのに、俺はまた強く、結月が好きだと思った。好きで幸せなのに、胸は切なく軋む。喉が熱かった。
「ありがとうございます、トキオさん」
「俺の方こそ、ありがとう……じゃあ、チョーカー、外すな」
「はい」
うなじを噛むのなんて初めてだし、緊張する。
おずおずとタートルネックのセーターをずらし、チョーカーを晒す。ベージュ色のそれは結月の肌と馴染んでいた。
震えそうな指先を後ろに持っていき、留め具を掴む。ゆっくりとチョーカーを外し、左手に収めた。右手で何も纏わないうなじを優しく撫でる。
「結月」
「トキオさん……っん」
うなじを撫でていた手を後頭部に置く。自然と俺は結月に顔を寄せていた。啄むように何度も唇を触れ合わせる。
「結月、触りたい」
「ん、っあ」
柔らかな唇を堪能しながら、セーターの中へ手を滑り込ませる。裾を押し上げる手は腹を這い、胸へと行き着く。
手のひらが先端をかすめると、結月の肩がビクッと跳ねた。
「気持ち良いか……?」
「んっ、はぁっ……きもちい、です」
恥ずかしそうにしながら体を火照らせる結月。そんな姿を見てしまえば、俺も更に熱が宿る。
チョーカーをテーブルに置くと俺は結月をベッドに倒した。早くと急いでしまう気持ちを抑え、自分の服を脱いでいく。下着だけになると、次は結月の服に手をかけた。
肌触りの良いセーターを脱がせ、パンツと下着も下ろし、足から抜きとる。キスでぼうっとした結月の腰に右手を持っていく。左手はさっきと同じように胸の先端を撫で付けた。
「っ、んん、あっ」
左手の指で胸の先端を挟み、刺激する。それと同時に右手は熱に這わせゆるく動かした。
「あ、あっ……はぁっ」
どんどん息を乱す結月。促されるように俺の息も荒くなる。俺の手で乱れる結月を見ているだけで体の熱は昂っていた。
右手をそえている結月の熱も大きく、硬くなっていく。そろそろもっと強い刺激が欲しいだろうかと、扱くスピードを速めた。
「ん、んんっ、っあ」
順調に熱を大きくしていく結月。俺も我慢ができなくなって、下着をずらした。自分のものと結月のそれを擦り合わせる。
「あぁっ、はぁっ、ん」
「っ、結月」
荒く熱い息が混じり合う部屋。気持ち良さそうに体をくねらせる結月も、もれる甘い声も、すべてが卑猥だった。擦る度にビリビリと頭が痺れる。
51
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる