コワモテαの秘密

たがわリウ

文字の大きさ
上 下
8 / 19

好きだ

しおりを挟む
「指、入れるな」
「はい……」

 棚から取ったのはローションだった。結月とは恋人になったんだし、いつかのために用意しておいた物だ。使うのはもう少し先になるだろうと思っていたけど、一応用意しておいた自分に感謝する。
 開いた足の先を指で探る。ローションを使い滑りを良くしてから、ある一点を押し込んだ。

「っ、んん」
「少し入った。痛いか?」
「痛くはない、です……んっ」

 指先が結月の中に入る。痛そうにはしないことに安心するが、結月の様子を見ながら少しずつ押し込んでいった。

「あっ……っ、はぁっ」
「結月、辛いか?」
「んっ、大丈夫だから……動かして、みてください」

 痛みがないよう、辛くないよう優しくしたいのに、あまりに艶やかな結月を見るとすぐにでも一つになりたいと思ってしまう。
 しかし指一本でも精一杯な様子の結月にそんなことはできない。俺は狭い中を解すようにゆるく指を動かした。

「あ、あっ……っん」
「ちょっとずつ、ゆっくりな」
「んんっ、はぁっ」

 指を動かす度にいやらしい音がもれる。さっき達した結月もどんどん熱が戻ってきているのがわかり、俺はまた喉を鳴らす。

「指、増やしたけど、大丈夫そうか?」
「あぁっ、ん、なんか、じんじんしますっ……体があつくて、きもちいいっ」
「っ」

 俺の心配に反して結月は気持ち良さそうに吐息をもらした。これなら大丈夫なのではないかと指の動きを激しくする。抜き差しするスピードを速めた。

「あっ、あっ、あぁっ」
「結月、そろそろ……大丈夫そうか?」
「んぅっ……はい、大丈夫だから、ときおさんをくださいっ」

 懇願するような声。そんな声でそんな言葉を聞いてしまっては、もう我慢なんてできなくなる。
 俺は指を引き抜くと、急いでローションと一緒に取っておいたコンドームを付けた。興奮と期待と緊張で息が荒くなる。

「入るぞ、結月」
「はい、ときおさん、入れてください……」

 指で解したそこに硬くなった熱を押し付ける。一度息を吐き、愛しい結月を見つめる。熱っぽく微笑む結月も俺を見た。見つめ合いながら、結月の中へと入っていく。

「あぁっ、はいって、くる……はぁっ」
「結月……好きだ」

 自然と「好きだ」とこぼれていた。俺の事を必死に受け入れる結月に、俺は「好きだ」と何度も繰り返す。結月の中を押し広げ、ゆっくりすべてをうずめた。

「はっ、結月、全部入った」
「ん、はぁっ……僕は大丈夫だから、うごいてください」
「いや、でも……」
「うごいてほしいんです……トキオさんと、気持ち良くなりたいから」
「っ」

 ねだるような視線。俺はたまらずに、奥を目指して腰を動かした。少し動いただけでビリビリと頭が痺れる。

「あっ、あぁっ」
「結月っ」
「ときおさん、ときおさんっ」

 奥を目指して押し付け、かと思えば浅い所まで引き抜く。そしてまた中へいっきに押し込んだ。

「んんっ、あっ、あぁっ」
「気持ち良いよ結月……すげぇ嬉しいのに、まだまだ足りないっ」
「あぁっ、ふ、ぅっ」

 余裕なんて持てない俺は、結月を求めて腰をふる。はじめてはもっと気遣って優しくしたいと思っていたのに、何も考えられなかった。
 結月も息と声をこぼし、懸命に気持ち良さを受け止めている。

「あ、あっ、ときおさんっ、ぼくまた……っ」
「っ、結月、そのまま……我慢しなくて大丈夫だ」
「んんっ、あ、あっ、またきちゃうっ、ときおさんっ」
「あぁ、大丈夫だ」

 ビクンと跳ねる結月の体。また限界が近づいているのだとわかる。それは俺も同じで、体中の熱が結月に埋まったところに集まっていた。
 お互いを促すみたいに俺はもっと激しく結月の中を擦る。荒い息を吐きながら奥を突いていると、結月はぎゅうっとシーツを握った。

「あ、あぁっ、んんーっ」
「くっ」

 結月の体が震え、熱が飛び散る。そんな結月を見ながら俺も限界を迎えた。

「はぁっ、はぁっ……ん」
「はっ」

 ぼんやりとして上手く頭が働かない。幸せなのに胸が苦しくて、俺はたまらず結月を抱きしめた。きついくらいに腕の力を強める。

「結月、好きだ、大好きだ」
「はぁっ……トキオさん、ぼくも、大好きです」

 結月も俺の背へと腕をまわす。大好きな人と同じ気持ちでいられることはなんて幸せなんだと涙が出そうになる。
 べとつく肌で密着した俺たちは、そのまましばらく抱きしめあっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

運命の息吹

梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。 美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。 兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。 ルシアの運命のアルファとは……。 西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。

英雄の帰還。その後に

亜桜黄身
BL
声はどこか聞き覚えがあった。記憶にあるのは今よりもっと少年らしい若々しさの残る声だったはずだが。 低くなった声がもう一度俺の名を呼ぶ。 「久し振りだ、ヨハネス。綺麗になったな」 5年振りに再会した従兄弟である男は、そう言って俺を抱き締めた。 ── 相手が大切だから自分抜きで幸せになってほしい受けと受けの居ない世界では生きていけない攻めの受けが攻めから逃げようとする話。 押しが強めで人の心をあまり理解しないタイプの攻めと攻めより精神的に大人なせいでわがままが言えなくなった美人受け。 舞台はファンタジーですが魔王を倒した後の話なので剣や魔法は出てきません。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

処理中です...