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番外編
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2022-04-01公開 現パロです。
指を動かしキーボードを叩く。膝の上のノートパソコンを覗き込み、順調です、と打ち込んだ。
問題ないか? と届いた上司からのメールに返事をする。送信完了と同時に、休憩室の扉が開いた。反射的に振り返る。
「ここにいたのか、ユキ」
「お疲れ様です。すみません、もしかしてお探しでしたか?」
「いや、急用というわけではない」
赤い髪の男性が俺の隣へ腰掛ける。男性とは反対に腰を浮かそうとした俺は、すぐに手で制された。このままここに居ていいようなので、取り敢えずノートパソコンは閉じテーブルに置く。
隣に座った男性は少し前から仕事で関わっている人物だ。整った顔だち、品の良い立ち振る舞い、上等なスーツ。
まるで王子様のような男性──オーウェンは、異国の本物の王子だ。
オーウェンの国と取引する商品のために実際に王子が来日し、より良いものを作るために協力していた。
本当はチームで動いているのだが何故か俺はすぐに気にいられ、萎縮しきっているチームメンバーから王子とのやりとりを任されている。最初は俺も同じように緊張していたが何故かディナーに誘われたりしているうちに、ただならぬオーラを撒き散らすオーウェンにも慣れてきていた。
「これを食べないか?」
「え、これ、プリンですか?」
オーウェンが差し出したのは会社近くのコンビニで売っているプリンだった。何度か買ったことがある見慣れた物に驚く。俺が呆気に取られているうちに、オーウェンはふたつのプリンをテーブルに置いた。
「どうしたんですか、これ?」
「以前ユキが食べていたのを思い出してな。好んでいたように見えたが、違ったか」
「いえ、好きです……王子も、あ、オーウェン様も食べたかったんですか」
王子と口にしてしまい、すぐに言い直す。他国にいる時くらいは王子としてよりも個人として接して欲しいと言われていた。
「最近ディナーの誘いを受けて貰えないからな。これならユキも好んでいるようだし、受け取ってもらえるだろうと思ったが……」
何故、仕事とは関係ない食事に誘われるのか分からなかったが、最初の頃は異国の王子との食事に緊張しながらも浮かれていた。しかし何度かディナーに行くうちに、罪悪感のようなものも生まれてしまった。
オーウェンとの食事は、会話は多くなくても毎回楽しい。食事は俺の好みに合わせてくれるし、すべてが完璧だってわかる。しかし、完璧だからこそ、俺はしり込みするようになった。
食事する店のグレードが、俺には合わない。食事代を受け取って貰えない。するとどんどん、贅沢な食事に連れていってもらうのが居心地悪いものになった。
「……ありがとうございます。あ、たしかそこにスプーンが」
休憩室の端に行き、ウエットティッシュ等と一緒に置いてある紙スプーンを持ってくる。
スプーンとプリンの封を開ける俺に倣い、オーウェンもビリッと袋を切る。ふたりで同時にプリンを口に運んだ。
「美味いな」
「美味しいですよね。ちょうど甘いもの欲しかったので、嬉しいです」
キッチリと背筋を伸ばしプリンを食べるオーウェンに、少し微笑ましいような気持ちになる。やっぱり会話は少ないけど、オーウェンとの時間が好きだなと、自然と思っていた。
またスプーンを口に運ぶ。なめらかな食感と卵の優しい味わいに目を細めた。
指を動かしキーボードを叩く。膝の上のノートパソコンを覗き込み、順調です、と打ち込んだ。
問題ないか? と届いた上司からのメールに返事をする。送信完了と同時に、休憩室の扉が開いた。反射的に振り返る。
「ここにいたのか、ユキ」
「お疲れ様です。すみません、もしかしてお探しでしたか?」
「いや、急用というわけではない」
赤い髪の男性が俺の隣へ腰掛ける。男性とは反対に腰を浮かそうとした俺は、すぐに手で制された。このままここに居ていいようなので、取り敢えずノートパソコンは閉じテーブルに置く。
隣に座った男性は少し前から仕事で関わっている人物だ。整った顔だち、品の良い立ち振る舞い、上等なスーツ。
まるで王子様のような男性──オーウェンは、異国の本物の王子だ。
オーウェンの国と取引する商品のために実際に王子が来日し、より良いものを作るために協力していた。
本当はチームで動いているのだが何故か俺はすぐに気にいられ、萎縮しきっているチームメンバーから王子とのやりとりを任されている。最初は俺も同じように緊張していたが何故かディナーに誘われたりしているうちに、ただならぬオーラを撒き散らすオーウェンにも慣れてきていた。
「これを食べないか?」
「え、これ、プリンですか?」
オーウェンが差し出したのは会社近くのコンビニで売っているプリンだった。何度か買ったことがある見慣れた物に驚く。俺が呆気に取られているうちに、オーウェンはふたつのプリンをテーブルに置いた。
「どうしたんですか、これ?」
「以前ユキが食べていたのを思い出してな。好んでいたように見えたが、違ったか」
「いえ、好きです……王子も、あ、オーウェン様も食べたかったんですか」
王子と口にしてしまい、すぐに言い直す。他国にいる時くらいは王子としてよりも個人として接して欲しいと言われていた。
「最近ディナーの誘いを受けて貰えないからな。これならユキも好んでいるようだし、受け取ってもらえるだろうと思ったが……」
何故、仕事とは関係ない食事に誘われるのか分からなかったが、最初の頃は異国の王子との食事に緊張しながらも浮かれていた。しかし何度かディナーに行くうちに、罪悪感のようなものも生まれてしまった。
オーウェンとの食事は、会話は多くなくても毎回楽しい。食事は俺の好みに合わせてくれるし、すべてが完璧だってわかる。しかし、完璧だからこそ、俺はしり込みするようになった。
食事する店のグレードが、俺には合わない。食事代を受け取って貰えない。するとどんどん、贅沢な食事に連れていってもらうのが居心地悪いものになった。
「……ありがとうございます。あ、たしかそこにスプーンが」
休憩室の端に行き、ウエットティッシュ等と一緒に置いてある紙スプーンを持ってくる。
スプーンとプリンの封を開ける俺に倣い、オーウェンもビリッと袋を切る。ふたりで同時にプリンを口に運んだ。
「美味いな」
「美味しいですよね。ちょうど甘いもの欲しかったので、嬉しいです」
キッチリと背筋を伸ばしプリンを食べるオーウェンに、少し微笑ましいような気持ちになる。やっぱり会話は少ないけど、オーウェンとの時間が好きだなと、自然と思っていた。
またスプーンを口に運ぶ。なめらかな食感と卵の優しい味わいに目を細めた。
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