ひとりじめ

たがわリウ

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本編

どこまでも甘く

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「ぅっ、っ」

 ベッドに寝かされた俺は、身体中を舐められていた。それとともに、硬くなってきた熱の中心をゼンさんの手で緩く握られている。
 ゼンさんの手は触れているが、ほとんど刺激は与えられない。体を舐める舌も胸の先端はわざと避けているみたいだった。
 熱い舌が体を這うのはそれだけでも気持ち良い。けれど物足りない刺激で、俺の体はただじんじんとした熱を持て余している。

「ゼンさん」

 顔を上げたゼンさんにもっと強い刺激がほしいと視線で訴える。伝わったのか、ゼンさんは頷くと顔を下に持っていった。
 下腹部に触れていた手が離れて、あれ、と思っていると感じたことのないざらざらとした熱が触れて思わず体が震える。視線を向けると、そこにゼンさんが顔を埋めて長い舌を俺のものに巻き付けていた。

「あぁっ、ん、あつい、っきもちい」

 熱くてざらざらとした舌がねっとりと全体を這う。触れるゼンさんの息さえ気持ちよくて腰が浮いた。

「んっ、ぅっ、……あっ、あっ、」

 俺の反応を楽しむかのように、俺をどこまでも甘やかすように行為はひどくゆっくり進められる。いつもは俺もゼンさんもお互いを求め合うように激しく、時間をかけないことが多かったため、いつもとの違いに戸惑ってしまう。

「昨日のお返しだ。気持ち良いか?」

 快感に耐えながら小さく頷く俺に、ゼンさんは満足そうに目を細めた。

「んっ……も、いいです」

 気を抜いたら達してしまいそうだ。もういい、と首をふる俺に、ゼンさんは舌をしまい顔を離す。

「はぁっ、はやく、ゼンさんが、ほしい」

 素直な欲求をそのまま言うとゼンさんは目を大きくしたあと、困り顔で微笑む。その顔は嬉しさと切迫感を滲ませていた。

「わかった」

 ゼンさんは俺の足を広げると腰を少し持ち上げる。そしてゼンさんのものが押し付けられると、ゆっくり俺のなかに入ってきた。

「ん……」

 しかしいつもとは違い、すぐには奥まで進まない。入口のあたりの浅いところで止められると、もっと奥までほしいとさらに体が疼いた。動いたらすぐに抜けてしまいそうな焦れったさに熱い吐息がもれる。

「ゼン、さん……」

 俺の声に応えるかのように切ないくらいゆっくり腰が進められる。大きな刺激ではないというのに、それでも俺は喜びで体をくねらせた。

「春樹」
「あっ」

 ようやく根元までおさまると決して激しくはない小さな動きが始まる。小刻みに動く腰は少しずつ俺の熱を昂らせていく。

「あっ、あっ、ん」

 小さな快感が積み重なって体を震わせる。このまま続けていれば限界を超えることもできそうだ、と思っている俺の熱が手のひらで包まれた。

「っ、ぜんさん、ぁっ」

 腰の動きは緩やかなのに、俺のものを包んだ手は激しく上下に動かされた。突然襲われる強い快感に驚きながらなんとか耐える。

「んんっ、やぁっ、なんかいつもと、ちがう」
「春樹っ」

 ゆっくりゆっくり責め立てられ、いつもは感じる暇のない、いきたい、という欲求を満たすために耐える体。痺れるように頭も体もじんじんとして、辛いのに、体の奥深くまでゼンさんに味わられてる感覚がする。
 初めての感覚に、少しの恐怖に襲われる。そういえば初めてゼンさんに抱かれた時も、気持ちよすぎてこんな恐怖を感じていた。

「んっ、んっ、あっあぁっ」
「好きだ、春樹」

 あまりにも緩やかな絶頂に、自分がいっているのだと気づかなかった。体が震えて、熱が集まったところから溜まってたものが吐き出される。

「おれ、いった、の?」
「あぁ」

 そうだ、と目を細めるゼンさんの視線から愛しいという想いが伝わってくる。今日はなんだか俺に向けられるすべてがひどく甘ったるい。

「ゼンさんは?」

 俺が聞くとゼンさんは困り顔で息を吐いた。その顔で答えを知った俺は、息を整えると自分で腰を揺らした。ゼンさんは声にならない息を吐き出し、その様子に俺は嬉しくなる。
 ゼンさんが俺を気持ち良くしたいと思うのと同じように、俺だってゼンさんを気持ち良くしたい。

「んっ、ん」
「はぁっ」

 ゼンさんも腰を動かし始める。さっきのような緩やかさはなくなって、いつものように俺を求めて激しく打ち付けられた。

「あぁっ、ぜん、さんっ、んん、あっ」
「春樹、春樹っ」

 激しい動きにベッドは軋んだ音を響かせる。
 ゼンさんとの行為はもう何度も繰り返しているのに、気持ち良さが薄れることはない。それはきっと、これからもそうなんだろう。
 お互いの熱い吐息が混ざりあって、ふたりだけの部屋に溶けていった。
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