上 下
9 / 10

第8話 薬で誤魔化せ!

しおりを挟む



屋敷の地下には、何と女の子が4人も閉じ込められていた。

こいつの記憶には、感情が伴う事はすっぽり抜けている。俺には、初対面の子達だ。

最後の部屋の子が、うめき声をあげていたようだ。年齢は18歳前後、とても綺麗な子だった。

「君、何処か具合が悪いの? 」

「く、薬、薬を下さい、何でもしますから~~」

どうやら薬物切れの禁断症状がでているようだ。

(俺、何やらかしてんだよーー!)

とにかく、ここは、不衛生だ。

こんなところにいたら、治るものも治らない。

俺は、その子を背負い、そして、残りの子達も俺の寝室に来るように告げる。

背中に背負っている子は、苦しそうだ。

薬と言っても、どの薬やら検討もつかない。

それに、新たに薬を与えても良いものなのか?

よくドラマとかでは、薬を抜き為に手足を縛り、薬が切れるまで時間をかけて抜く方法が放映されてた。

同じようにすれば、この禁断症状は、治るものなのか?

女の子を寝室のベッドに寝かせて、他の子達に様子を見させた。

俺は、その間に、もう一度地下に降りて、薬を探す。

(無い……)

書斎には、そんなものはなかった。

寝室でも見たことない。

(くそーー、どこにあるんだ? )


いろいろ屋敷を探していると、例のせむし男が帰ってきた。

俺は、

「地下にいた者達も屋敷の手伝いに回す。それと、薬はどこにある? 」

「ま、まさか、あいつらを屋敷で使うつもりでやんすか? 」

「そうだ。これからは、そう言った楽しみ方をしたい」

「そうでやんすか、旦那様も新しいプレーに挑戦するわけでやんすね。わかりやした。このジギー、協力いたしやす」

「お前の協力は、いらない。せっかくのお楽しみが無くなるからな。それより、薬漬けにしてある女だ。あのままでは、楽しめない。何か、症状を治す薬はあるか? 」

「ありやすよ。回復治療薬なら、旦那様の寝室の金庫に入っているはずでやんすけど、もう、なくなってしまいやんしたか? 」

「この間、大分使ってしまったからな。悪いが街で買ってきてくれ」

「ヘイ、かしこまりました」

せむし男は、また、大急ぎで街に戻った。

そうか、確か、ベッドの脇に金庫みたいな家具があったっけ……

俺は、急いで寝室に戻り、その金庫を開ける。

中には、回復治療薬と思わしき薬が数本入っていた。

「さぁ、これを飲め」

俺は、ベッドで苦しそうにしてる女の子を抱え、薬を飲ませる。

すると、さっきまでの苦しみが嘘のように無くなっていくのか、急に穏やかな感じになった。

「ここで、少し、休んでいろ。それと、君達も少しやすみなさ」

「は、はい。男爵様」

俺がここにいたら休めないだろう。俺は、隣の書斎に行くことにした。



(さて、どうするか?)

(マジ、薬漬けなんて、カタギの人間がやる事じゃないよ~~)

(それに、1人、獣人の子もいたようだし、何やってんだよ。俺……)

でも、このままでは、俺が、俺で無いことがバレる可能性がある。
あの、胸の痛みは、正直、キツい。

「何かよう方法は、無いか……。そうだ。薬だ。嘘も方便だよ」

俺は、女の子達には、薬で性格が凶暴になっていたと説明しよう。
それを治す薬を購入したのだが、とても高価で、あの、せむし男にバレると、大変な目にあう。だから、協力してくれないか、とね。

(ダメなら、違う手を考えよう……)

俺は、せむし男が帰って来る前に、もう一度寝室に行き、さっきの作り話を女の子達に言って聞かせた。

何か、言いたそうだったが、少しは、納得してるようだ。
胸の痛みに襲われないのが、その証拠だ。

時間がある時にでも、事情を聞いて、家のある者には、支度金を渡して帰らせようと思っている。

(あ~~これでは、しばらく、逃げられそうもないな……)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

異世界で俺はチーター

田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。 そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。 蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?! しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米
ファンタジー
会社をクビにされ自信も喪失し毎日をただダラダラとゲームをして過ごして居た主人公の榊 隼人 ある日VRMMORPGゲームのサモンズキングダムオンラインにログインするとそのままログアウトが出来なくなって居た。 だが現実世界に未練の無い隼人はゲームの世界に来れた事を少し喜んで居た。 だがそれと同時に向こうの体が衰弱死する可能性の恐怖に怯える。 その時アルラ・フィーナドと名乗る元NPCの部下が隼人の前に姿を現わす。 隼人は彼女に言われるがままついて行くと着いたのは神殿だった。 神殿には地下が存在し、何層ものダンジョンの形をした地下王国となって居た。 そのダンジョンには過去に召喚したキャラクターが守護者として存在し、国を守って居た。 自身が王の国があり、部下も居る、そして圧倒的な強さを誇るアルセリスと言う自分自身のキャラ……この状況に榊はゲーム時の名であるアルセリスとして生きる事を決意した。 この物語は元社畜の榊事アルセリスがゲームだった異世界に飛ばされその世界を統べる為にガチャをしながら圧倒的な力で世界征服を進める物語。 この作品は某作品に影響を受けたオマージュです なろうとカクヨムにも投稿してます 2022年3月25日に完結済みです

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

処理中です...