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~おまけ小話集~

アテンション!アオイ×聖女(予)魔王養うの2作品コラボ小話:○○しないと出られない部屋part2~アオイ×ルーティエ&セーラ×マオ~

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☆新作の「聖女にされる予定だった私、召喚を阻止した魔王を現実世界で養う」が完結したので、コラボさせてみたものです。part1はアテンション本編に、part2がアテンション続編に投稿しています。
☆アオイ×ルーティエと新作の主人公セーラ(聖良)×マオ(魔王)の四人が登場。視点は全てアオイです。


******


「ルティ、度々ごめんね」
「……アオイ、あの日の反省は全く生かしきれていなかったようですね」


 どういうわけか、前回はポップだった扉が、今回はラーメン屋の暖簾を下げた扉となって現れたのだ。元日本人で、ラーメン好きならば『大将! 醤油ラーメン、ネギ増し、脂少な目で!』とか言って開けたくなっちゃうじゃない!


「確かによく考えてみたら、店構えがなく扉だけっていうのはおかしかったけどさ」
「不審なところしか見つかりませんよ。私のスライディングが間に合わなかったらどうするつもりだったのですか! 全く、アオイはこれだから――」


 またも、パネルには【○○しないと出られない部屋】と書かれているけど、その【○○】部分が隠されたままでわからない。このパターンは前回と同じだろうか?


「今回は私のせいじゃないですからね! マオさんも家電点検も行き過ぎればこういうこともあるって覚えておいた方がいいと思う!!」
「むう……。しかし前回はセーラだったのだ、此度の件は相殺せぬか? あれは点検ではなく、時計の電池交換をする為に開けたのだ。よもや、そのフタが時空の狭間に繋がっているとは、予想できぬことであろう?」


 嘘でしょ!? 時計の電池交換のフタでも来れるの? 不幸としか言えないでしょ。

 っていうか、やはり今回も聖女召喚に巻き込まれたけど、魔王が阻止したお陰で助かった聖良せいらさんと、うっかり日本に転移してきちゃった、マオさん(元魔王)ですね。


「あ! やっぱりいた!! アオイさん、ルーティエさん、お久しぶりです……って言うのも変かしら? お互い、また巻き込まれちゃったわね」
「はい、今回もブレずに私のせいで彼は巻き込まれたんですけどね」

「では、さっさと脱出できるように早速お題を見てみましょう」
「うむ。四人揃ったのならば映るのではないか?」


 【○○】だった部分がぐにゃりと変化し、お題が浮かび上がった。


「「お互いの好きな所、良い所を合計20個言う!?」」


 ヒドイ……。前回の【嫉妬】も少し気まずく思ったと言うのに、一緒にご飯を食べた仲とはいえ、まだまだ知人の域を出ない人の前で、いわば惚気ろと言っているのよね? なんという拷問!!



「今回はサービス回でしょうか。私達なら一瞬で終わるのではないですか? 僭越ながら私から……」


 本当にトップバッターを勝手に名乗り出ただけあって、10秒で10個言い終わった。そして勝手に指名打者の如く二番アオイとされてしまい、ルティからは『お前ならホームラン打てる!』と期待されているかの如く、いつでも惚気ボールをキャッチする気満々でバッチコーイの構えである。

 諦めて試合終了とさせてもらうのは有りだろうか? 無理なので、諦めることを諦めた。


「え、っと……ルティは、か、顔が整っていて……、案外着やせするのか細マッチョで……、あとは、え~っと、なんだろ? よく私を見ていて(監視)、色んなものから守ろうとしてて(束縛)、心配性でいつもそばにいようとして(執着)、ちょっと視力悪いみたいで(盲目)、怖いほど強くて(鬼軍曹)、頭が良くて(策士)、嫌味なほど器用で、こんな変な私でも好きだと言ってくれる奇特な人ってところかな」

「……セーラ、念の為確認なのだが……あれは【良い所】を述べていたのだな?」
「あ~、多分? 「視力悪い」っていうの以外は良い所なんじゃないかな?」

「アオイ、私からも大事な一点、確認させて頂けますか? 私のことは好き、なのですよね?毎回この手の話になると、愛を疑わざるを得ない解答になるのはなぜですか?」
「え? 10個も言ったのに伝わらなかったの? 好きだよ」


 全く。公開告白の如く、ルティの特徴を言ったのに、どうして伝わらなかったんだろう? 聖良さん達からも特に冷やかしの言葉もないけど、きっと大人な対応をしてくれているのだろう。
 それに次は彼らの番だしね。


「では、マオさんが最後がいいと言うので……。う~ん、顔が整ってる、低めの声が落ち着く、優しくて紳士的、いつも冷静、調理家電売り場に行くと目が輝くところが可愛……ゴホン、楽しそうで良い、努力家、家事力が高い、煮魚が絶品、出汁巻卵は出汁から手作りで美味しい、家でタンポポオムライスが食べられる、最近は中華にも力を入れていて、麻婆豆腐が絶品で、あと――」


「途中までは長所だったと思うのですが、後半はメニューを読み上げられているような気すらしますね」
「でも、いいなぁ。お腹減っちゃう」

「フッ、我の出汁巻は簡単便利なめんつゆでは出せぬ味。気に入っているのなら作り甲斐もあるというもの。嬉しいことを言ってくれるの、セーラ」


 どうやら、マオさんの作る好きなおかずランキングのような長所は、本人にもきちんと褒め言葉として伝わっているらしい。っていうか、無性に麻婆豆腐が食べたい。


「じゃあ、最後はマオさんだけど……私のなんて、ある?」
「当然だ。まず健康であること、そしてセーラがセーラであることだ」

「健康って大事だもんね。聖良さんが聖良さんでっていうのは、自分らしくあればいいってこと? 大人発言!」
「しかし、二つしか言っておりませんが?」


 ルティが尤もな疑問を口にした途端、赤かったランプが青に変わり、帰還の為の扉が現れた。え? 10個言ってないよね?


「特に互いに10個ずつとは書かれておらぬであろう? セーラが7個の良い所と、11個の好きなメニューを言っておったのでな。残り2つで事足りると思ったのだ」
「そういうことだったのね! 残念、残り8個もあるのなら聞いてみたかったな……」


 またもお互いに別れの挨拶を交わし、扉の前に立った。あちらは電池のフタサイズしかないけど。

 あのフタサイズの扉でどうやってと気になって見ていたら、なにやらマオさんが聖良さんの耳元に顔を寄せて話しているようだった。もちろん私には聞こえない……が、隣の聴力オバケのルティには聞こえているようで、クスリと笑っていた。


 そして、また光に包まれるように吸い込まれ、私達の家へと戻って来た。


「ねぇ、ルティは聞こえたんでしょ? マオさんはなんて言ってたの?」
「ああ。あれは、ご夫人が残り8個を聞きたがっていたので『それは二人きりの時に教えよう』と言っていたのですよ」

「えぇ~すごい! やっぱり甘酸っぱい!!」
「……そうですね。ところで、アオイ。無事戻って来たことですし、触るな危険のなんたるかの話と、好きな所とはどういったことを指すのか、こちらも二人きりになったことですし、しっかり話をしましょうか」


「えぇ!! 終わったんじゃないの!?」
「終わっておりません。理解するまで、話合いましょうね」

 


 ルティのお説教と講義はまだまだ続く……。


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