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若返ったので、学園ライフをエンジョイしたい!<前編>
4:アオイ、登校初日からやらかす
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******
「ふんふんふ~ん♪ルティ、ゴーちゃん、もう行く時間じゃない?
遅刻しない?制服は変なところない?」
学園の制服は、男女共にディープグリーンのブレザー、シングルボタンタイプでボタン、飾りボタン共にゴールド。
女子はゴールドベージュのリボンタイ、男子はネクタイだけど、着用は自由。
スカートもディープグリーンと茶系が混ざったタータンチェックのプリーツスカートで可愛い♡
ただ、ね……おそらく魔国女子事情なんだろうけど、バスト部分がキツくなるからなのか?
ブレザーの開き加減が深くて私にはちょっと合わなかったので……
その部分は調整してもらいました。
でもちゃんとした制服で良かったよ。そもそも制服があって良かった~気分もアガる!
「うん。もう少ししたら出ようか。アオちゃん制服も似合うね、可愛い」
「ふふ、本当にアオイは学園が楽しみなのですね。その質問も何度目です?
制服のアオイは……むしろ似合い過ぎて心配ですっ!なんなら体育着で過ごして頂きたいくらいですよ」
「可愛い制服があるのに、登校初日から体育着なんてヤダよ!」
「それでも、いつ人攫いに会うかもわかりませんからね。登校時は手を離さず、学園では私かゴーシェの近くにいるようにして下さいね」
「ありがとう!うん、とにかく『いかのおすし』が基本だよね?防犯の合言葉!」
イカない、ノらない、オお声を出す、スぐ逃げる、シらせる!!基本の防犯標語だ。
「『イカノオスシ』って?もしかして『おいしいひとさらです』みたいなもの?」
「え?ゴーちゃん、魔国にも標語みたいなのってあるんだ?どういう意味があるの?」
魔国は緩い気質の国民性とルティから聞いていただけに、まともに標語があるとは驚きだ。ごめんね、ちょっとだけナメてたかもしれない。
『赤信号 みんなで渡れば~』みたいなやつかな
「うん。犯罪者、人攫いをもし見掛けたら……
『オイかける、シんこきゅうして、イっきに一突き、ヒトサラいには、DETHあるのみ』だよ!
僕は幸い出くわしたことがないんだけど、友達が前に活躍して、学園でも表彰されてたよ」
は?え?警察とかそういうんじゃなくて、自分で仕留めに行く系なの?ねぇ、本当?
逃げるっていう選択肢はないの?
「二人共、絶対にそばにいてっ!!」
この腕を絶対離さないからっ!!
「大丈夫だよ。少なくとも学園内にはそんな人は侵入できないから安心して?
学園長先生に会ったでしょ?あの人、ああ見えて、学園や生徒を脅かすものは許さないタイプだからね。結構強いんだよ」
え?あのチュチュアート先生がっ!?変身するタイプだったの?戦う時はサングラスとるのかな……
「そっか、それなら学校内ではビクビクしなくて済むね。良かったぁ~!
勉強と友達作るのに専念しよっと!」
******
―――…と言ったのが、ほんの4時間前。
途中編入なので、入学式はなく、普通に教室へゴーちゃんと行って、2限目まではルティの授業を受けた。ルティーチャーは……カッコよくてちょっぴり見惚れたけど、ちゃんと真面目に授業は受けました。
やっぱりルティの授業はわかりやすい。
ゴーちゃんも「ルーティエ兄さんってなんでもできてすごいよね」と褒めていた。
「誰かいませんかー?助けて下さーい!」
私は今個室トイレの中にいる……いえね、鍵が開かないんすよ。
2限の後に、トイレに行きたくなってしまい、ゴーちゃんが一緒に行くと言ってくれたんだけど、さすがに女子トイレにまではちょっと……と思ったところで、まだ名前を覚えていないクラスの女子’Sが「アタシ達もちょうど行こうと思ってたから一緒に行こうよ」と誘ってくれた。
そんな親切な女子’Sは案内してくれた後に、教室に戻っちゃったみたいで、返事はない。
彼女たちはトイレに用はなかったのに、私の為に気を遣ってくれたのかもしれない。若いのに感心だなぁ
「どうしよっかなぁ……なんか旧校舎っぽい雰囲気だったし、誰もいなそうだよねぇ?」
こりゃ自力で上から出るしかないか?
上を見上げてみる……くそぅ!長身対応で扉が大きい!!
でも、なんとかギリギリ行けるんじゃない?やってみてから考えよう!!
ゴン!ゴツッ!ガッガッ……ビリッ「あっ!」
―――…しゅたっ!
「やったぁー!制服をちょっと引っかけちゃったみたいだけど、自力で出たー!!
私もやればできるじゃーん?うふふ。後でルティに自慢しよっと」
ルティは話し合い?の結果、クラスの担任にはなったんだけど、担任が全ての教科を受け持つわけじゃない。
今の時間は武力コースの耐育という、ちょっと思っているのとは違うような授業を受け持っている。
ルティが言うには「教師がひたすら攻撃をし、生徒がそれを正面から防御のみで受け止め、時間内ひたすら耐えるだけの簡単な授業」らしいんだけど……絶対覗かないようにしようと思う。
ドSとドМの対決のようだ……
「ところで、ここって……どこ?」
なんか複雑な道をたくさんまわって来たんだよねぇ。
広い施設なんだなぁなんて人任せに歩くから道に迷っちゃうんだよね。ええ、戻る時も彼女らについて行こうとアテにしてました……
「やっぱり館内地図を持って、自分の足でまわらないと駄目だなぁ」
オカンティが「フラフラしないっ!」って怒る姿が目に浮かぶよ……
よし、やっぱり迷子は内緒にしておこう。
「まずは屋外に出て、外から見てみるってどうかなぁ?出口もそもそもどこかって話なんだけど…あっ!」
ゴンッ!ズサァー…
「あ、痛っ!!」
あーやっぱり、ずっとルティに保護されていたから、受け身の腕がなまってるよ……
ルティも自分は日々の鍛錬は怠らないって言ってたのに、私にはさせないんだから!
こちとら転びのプロを何十年とやってんだぞ!受け身の重要性を舐めんな!
私の場合、転ばないようにするよりも、受け身を学んだ方が手っ取り早いレベル
「膝は擦りむいちゃったし、左手首も捻っちゃったなぁ……イテテ。利き腕じゃなくて良かったと思おう
はて?保健室ってどこだったかなぁ?う~ん、ルティにお願いしてもいいけど絶対お説教されるよねぇ」
普段はあんなに甘々なのに、ぷんすこモードのオカンティは正座でお説教コースか羞恥なお仕置きコースなんだよね。あー怖い!!ガクブル……
「あ……そういえば、ルティの心配じゃなくて、天使ゴーちゃんの心配だよ!
私が戻ってなかったら心配するよね?親切女子’Sが知らせてくれてるかな?
もしかして探しにきてたりとか……
まずい!ゴーちゃんに授業をサボらせるわけにはいかないよ!!」
とは言え、どっちに向かえばいいのかが全く見当もつかない……
「私って方向音痴ではなかったはずなんだけどなぁ……
だいたいなんで廊下が迷路みたいな作りなんだろう?もしかして訓練場所なのかな?
あ、また行き止まり……もうっ!!」
「おい、そこで何をしている?」
「え?誰?」
おかしい、心細いせいか、幻が見えるみたい。人が天井に逆さまで普通に立っているんですけど?蝙蝠族っているんだっけ?
それにしても顔の整った青年だけど、よく見たら瞳孔は猫目みたいに少し縦長なので、そこがさらにワイルド感を醸している。根は優しいちょい悪?みたいな風貌だ。
まぁ見た目からのただの偏見だけどね。
髪は金の中に黒が混じっている、ツーブロックの刈り上げで、やっぱり一瞬ヤンキーっぽいんだよね、彼は地毛だろうけど。でも、瞳がハチミツのようにとろっと甘そうな色なのは綺麗……琥珀色?
「アンタ見掛けない顔だな?もしかして人族か?
人族がわざわざ魔国の学園に入るなんて珍しいこともあるもんだな」
「あ、はい人族です。あの、ここってどこでしょうか?休み時間にトイレに連れて来てもらったんですけど、トイレのドアが開かなくなって、とりあえず脱出して……で、この迷路みたいな廊下で道に迷ってます。まずは迷路から出たいんですけど……」
「はぁ?教室からわざわざ一番遠いトイレに来るとは物好きだな。
今日はたまたまここでサボってたから良かったけど、オレがいなかったらアンタはいずれ、ああなるぜ」
くいっと顎先で示された方を見れば、骨の山が見えた……骨の、、、山!?
え?何の!?
「ああああああれって、ほほほほ本物じゃないですよねぇ?ですよね?」
「あ?本物に決まってるだろ?なんでわざわざフェイクなんて置く必要があるんだよ」
「本物……ぎゃーーーー!!」
「チッうるさい女だな。こっちだ、来い」
―――ドスン!
ひょいっと腕を掴まれたと思ったら、そのまま吊り上げられたまま廊下から離脱し、急に手を離される。クレーンゲームかよっ!!
「あ、いったぁ。。。お尻ぶったぁ……ってあれ?白骨迷路から出られた~!!」
「なにが白骨迷路だよ。単にオレが食べたドンタッキーのフライドターキーの骨だろうが。本気にしたのか?ハッ!人族ってのはバカなんだなぁ」
「……騙したのね?それにゴミはちゃんと捨てないと駄目じゃないの!!」
「だから、あそこがそのゴミ置き場だろうが。アンタあのままいたら廃棄場行だったぞ?」
「ひぃっ!すみません、ごめんなさい!!助けてくれてありがとうございましたー!じゃ、急ぐので!」
こんな怖いところ、さっさと出て行きたい!
―――ドンッ!!
「わぁっ!」
「おいおいおい、助けってやったってのに、アンタ礼の一つもねーの?」
「え?今、ありがとうございましたって言いましたけど?」
壁ドーン!されてるけど、これは所謂いちゃもんというやつだろうか?やはりヤンキー!?
「言葉じゃなくて、もっと良いものがあるだろう?
オマエ、なんか良い匂いがするし、案外うまそうだ……」
ヤンキー君は怪しくペロリと自分の唇を舐める。
あれだけ食べていたというのに…これが成長期というものなのか?エンゲル係数が高そうだ
「え、匂い?あ、あれかな……ぜ、全部はダメだけど、、、味見するだけなら……いいよ。でも、たくさんは……お願い、やめてね?」
あの匂いが制服にまで染みていたとは……帰ったら消臭スプレー…はないから、クリーンでいいか。
「……へぇ、随分と物分かりがイイじゃん。ルーティエ先生はいいのかよ?一応恋人なんだろ?」
「ん?ルーティエ先生?うん、先生とはお昼休憩に待ち合わせているから、その時に食べてもらうし大丈夫だよ」
ルティを差し置いてなんて、そんな恐ろしいことするわけないよ。あ、今日はゴーちゃんもいるわ!
「アンタ、何も知りませんって顔して、実は結構遊んでんだな……」
「何も知りませんって…見てやっぱりわかっちゃうもの?もんぺ感が滲み出てたかぁ。
でも私、遊んでそうかなぁ?本を読んだり、料理したり、美味しいものを探して食べまくるのは好きだけど」
食べ歩きも遊びっちゃ遊びなのかねぇ?まぁ娯楽ではあるのか
「なるほど?自ら『食う方』が趣味か……オレはあんまりそっちは趣味じゃねぇんだけどな。なぁ?今日はオレに食わせろよ。いいだろう?」
「えぇ……ルーティエ先生にバレたら怖いんだけど……絶対言わないでね?言わないならいいよ。助けてもらったし」
「よし、交渉成立、だな」
ある種の命の恩人だもん。そりゃきちんとお礼はすべき…だよね?
「ふんふんふ~ん♪ルティ、ゴーちゃん、もう行く時間じゃない?
遅刻しない?制服は変なところない?」
学園の制服は、男女共にディープグリーンのブレザー、シングルボタンタイプでボタン、飾りボタン共にゴールド。
女子はゴールドベージュのリボンタイ、男子はネクタイだけど、着用は自由。
スカートもディープグリーンと茶系が混ざったタータンチェックのプリーツスカートで可愛い♡
ただ、ね……おそらく魔国女子事情なんだろうけど、バスト部分がキツくなるからなのか?
ブレザーの開き加減が深くて私にはちょっと合わなかったので……
その部分は調整してもらいました。
でもちゃんとした制服で良かったよ。そもそも制服があって良かった~気分もアガる!
「うん。もう少ししたら出ようか。アオちゃん制服も似合うね、可愛い」
「ふふ、本当にアオイは学園が楽しみなのですね。その質問も何度目です?
制服のアオイは……むしろ似合い過ぎて心配ですっ!なんなら体育着で過ごして頂きたいくらいですよ」
「可愛い制服があるのに、登校初日から体育着なんてヤダよ!」
「それでも、いつ人攫いに会うかもわかりませんからね。登校時は手を離さず、学園では私かゴーシェの近くにいるようにして下さいね」
「ありがとう!うん、とにかく『いかのおすし』が基本だよね?防犯の合言葉!」
イカない、ノらない、オお声を出す、スぐ逃げる、シらせる!!基本の防犯標語だ。
「『イカノオスシ』って?もしかして『おいしいひとさらです』みたいなもの?」
「え?ゴーちゃん、魔国にも標語みたいなのってあるんだ?どういう意味があるの?」
魔国は緩い気質の国民性とルティから聞いていただけに、まともに標語があるとは驚きだ。ごめんね、ちょっとだけナメてたかもしれない。
『赤信号 みんなで渡れば~』みたいなやつかな
「うん。犯罪者、人攫いをもし見掛けたら……
『オイかける、シんこきゅうして、イっきに一突き、ヒトサラいには、DETHあるのみ』だよ!
僕は幸い出くわしたことがないんだけど、友達が前に活躍して、学園でも表彰されてたよ」
は?え?警察とかそういうんじゃなくて、自分で仕留めに行く系なの?ねぇ、本当?
逃げるっていう選択肢はないの?
「二人共、絶対にそばにいてっ!!」
この腕を絶対離さないからっ!!
「大丈夫だよ。少なくとも学園内にはそんな人は侵入できないから安心して?
学園長先生に会ったでしょ?あの人、ああ見えて、学園や生徒を脅かすものは許さないタイプだからね。結構強いんだよ」
え?あのチュチュアート先生がっ!?変身するタイプだったの?戦う時はサングラスとるのかな……
「そっか、それなら学校内ではビクビクしなくて済むね。良かったぁ~!
勉強と友達作るのに専念しよっと!」
******
―――…と言ったのが、ほんの4時間前。
途中編入なので、入学式はなく、普通に教室へゴーちゃんと行って、2限目まではルティの授業を受けた。ルティーチャーは……カッコよくてちょっぴり見惚れたけど、ちゃんと真面目に授業は受けました。
やっぱりルティの授業はわかりやすい。
ゴーちゃんも「ルーティエ兄さんってなんでもできてすごいよね」と褒めていた。
「誰かいませんかー?助けて下さーい!」
私は今個室トイレの中にいる……いえね、鍵が開かないんすよ。
2限の後に、トイレに行きたくなってしまい、ゴーちゃんが一緒に行くと言ってくれたんだけど、さすがに女子トイレにまではちょっと……と思ったところで、まだ名前を覚えていないクラスの女子’Sが「アタシ達もちょうど行こうと思ってたから一緒に行こうよ」と誘ってくれた。
そんな親切な女子’Sは案内してくれた後に、教室に戻っちゃったみたいで、返事はない。
彼女たちはトイレに用はなかったのに、私の為に気を遣ってくれたのかもしれない。若いのに感心だなぁ
「どうしよっかなぁ……なんか旧校舎っぽい雰囲気だったし、誰もいなそうだよねぇ?」
こりゃ自力で上から出るしかないか?
上を見上げてみる……くそぅ!長身対応で扉が大きい!!
でも、なんとかギリギリ行けるんじゃない?やってみてから考えよう!!
ゴン!ゴツッ!ガッガッ……ビリッ「あっ!」
―――…しゅたっ!
「やったぁー!制服をちょっと引っかけちゃったみたいだけど、自力で出たー!!
私もやればできるじゃーん?うふふ。後でルティに自慢しよっと」
ルティは話し合い?の結果、クラスの担任にはなったんだけど、担任が全ての教科を受け持つわけじゃない。
今の時間は武力コースの耐育という、ちょっと思っているのとは違うような授業を受け持っている。
ルティが言うには「教師がひたすら攻撃をし、生徒がそれを正面から防御のみで受け止め、時間内ひたすら耐えるだけの簡単な授業」らしいんだけど……絶対覗かないようにしようと思う。
ドSとドМの対決のようだ……
「ところで、ここって……どこ?」
なんか複雑な道をたくさんまわって来たんだよねぇ。
広い施設なんだなぁなんて人任せに歩くから道に迷っちゃうんだよね。ええ、戻る時も彼女らについて行こうとアテにしてました……
「やっぱり館内地図を持って、自分の足でまわらないと駄目だなぁ」
オカンティが「フラフラしないっ!」って怒る姿が目に浮かぶよ……
よし、やっぱり迷子は内緒にしておこう。
「まずは屋外に出て、外から見てみるってどうかなぁ?出口もそもそもどこかって話なんだけど…あっ!」
ゴンッ!ズサァー…
「あ、痛っ!!」
あーやっぱり、ずっとルティに保護されていたから、受け身の腕がなまってるよ……
ルティも自分は日々の鍛錬は怠らないって言ってたのに、私にはさせないんだから!
こちとら転びのプロを何十年とやってんだぞ!受け身の重要性を舐めんな!
私の場合、転ばないようにするよりも、受け身を学んだ方が手っ取り早いレベル
「膝は擦りむいちゃったし、左手首も捻っちゃったなぁ……イテテ。利き腕じゃなくて良かったと思おう
はて?保健室ってどこだったかなぁ?う~ん、ルティにお願いしてもいいけど絶対お説教されるよねぇ」
普段はあんなに甘々なのに、ぷんすこモードのオカンティは正座でお説教コースか羞恥なお仕置きコースなんだよね。あー怖い!!ガクブル……
「あ……そういえば、ルティの心配じゃなくて、天使ゴーちゃんの心配だよ!
私が戻ってなかったら心配するよね?親切女子’Sが知らせてくれてるかな?
もしかして探しにきてたりとか……
まずい!ゴーちゃんに授業をサボらせるわけにはいかないよ!!」
とは言え、どっちに向かえばいいのかが全く見当もつかない……
「私って方向音痴ではなかったはずなんだけどなぁ……
だいたいなんで廊下が迷路みたいな作りなんだろう?もしかして訓練場所なのかな?
あ、また行き止まり……もうっ!!」
「おい、そこで何をしている?」
「え?誰?」
おかしい、心細いせいか、幻が見えるみたい。人が天井に逆さまで普通に立っているんですけど?蝙蝠族っているんだっけ?
それにしても顔の整った青年だけど、よく見たら瞳孔は猫目みたいに少し縦長なので、そこがさらにワイルド感を醸している。根は優しいちょい悪?みたいな風貌だ。
まぁ見た目からのただの偏見だけどね。
髪は金の中に黒が混じっている、ツーブロックの刈り上げで、やっぱり一瞬ヤンキーっぽいんだよね、彼は地毛だろうけど。でも、瞳がハチミツのようにとろっと甘そうな色なのは綺麗……琥珀色?
「アンタ見掛けない顔だな?もしかして人族か?
人族がわざわざ魔国の学園に入るなんて珍しいこともあるもんだな」
「あ、はい人族です。あの、ここってどこでしょうか?休み時間にトイレに連れて来てもらったんですけど、トイレのドアが開かなくなって、とりあえず脱出して……で、この迷路みたいな廊下で道に迷ってます。まずは迷路から出たいんですけど……」
「はぁ?教室からわざわざ一番遠いトイレに来るとは物好きだな。
今日はたまたまここでサボってたから良かったけど、オレがいなかったらアンタはいずれ、ああなるぜ」
くいっと顎先で示された方を見れば、骨の山が見えた……骨の、、、山!?
え?何の!?
「ああああああれって、ほほほほ本物じゃないですよねぇ?ですよね?」
「あ?本物に決まってるだろ?なんでわざわざフェイクなんて置く必要があるんだよ」
「本物……ぎゃーーーー!!」
「チッうるさい女だな。こっちだ、来い」
―――ドスン!
ひょいっと腕を掴まれたと思ったら、そのまま吊り上げられたまま廊下から離脱し、急に手を離される。クレーンゲームかよっ!!
「あ、いったぁ。。。お尻ぶったぁ……ってあれ?白骨迷路から出られた~!!」
「なにが白骨迷路だよ。単にオレが食べたドンタッキーのフライドターキーの骨だろうが。本気にしたのか?ハッ!人族ってのはバカなんだなぁ」
「……騙したのね?それにゴミはちゃんと捨てないと駄目じゃないの!!」
「だから、あそこがそのゴミ置き場だろうが。アンタあのままいたら廃棄場行だったぞ?」
「ひぃっ!すみません、ごめんなさい!!助けてくれてありがとうございましたー!じゃ、急ぐので!」
こんな怖いところ、さっさと出て行きたい!
―――ドンッ!!
「わぁっ!」
「おいおいおい、助けってやったってのに、アンタ礼の一つもねーの?」
「え?今、ありがとうございましたって言いましたけど?」
壁ドーン!されてるけど、これは所謂いちゃもんというやつだろうか?やはりヤンキー!?
「言葉じゃなくて、もっと良いものがあるだろう?
オマエ、なんか良い匂いがするし、案外うまそうだ……」
ヤンキー君は怪しくペロリと自分の唇を舐める。
あれだけ食べていたというのに…これが成長期というものなのか?エンゲル係数が高そうだ
「え、匂い?あ、あれかな……ぜ、全部はダメだけど、、、味見するだけなら……いいよ。でも、たくさんは……お願い、やめてね?」
あの匂いが制服にまで染みていたとは……帰ったら消臭スプレー…はないから、クリーンでいいか。
「……へぇ、随分と物分かりがイイじゃん。ルーティエ先生はいいのかよ?一応恋人なんだろ?」
「ん?ルーティエ先生?うん、先生とはお昼休憩に待ち合わせているから、その時に食べてもらうし大丈夫だよ」
ルティを差し置いてなんて、そんな恐ろしいことするわけないよ。あ、今日はゴーちゃんもいるわ!
「アンタ、何も知りませんって顔して、実は結構遊んでんだな……」
「何も知りませんって…見てやっぱりわかっちゃうもの?もんぺ感が滲み出てたかぁ。
でも私、遊んでそうかなぁ?本を読んだり、料理したり、美味しいものを探して食べまくるのは好きだけど」
食べ歩きも遊びっちゃ遊びなのかねぇ?まぁ娯楽ではあるのか
「なるほど?自ら『食う方』が趣味か……オレはあんまりそっちは趣味じゃねぇんだけどな。なぁ?今日はオレに食わせろよ。いいだろう?」
「えぇ……ルーティエ先生にバレたら怖いんだけど……絶対言わないでね?言わないならいいよ。助けてもらったし」
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