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若返ったので、学園ライフをエンジョイしたい!<前編>

3:天使過ぎる兄と、涙のアフタヌーンティー~おにぎり&緑茶を添えて~

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「おお、ルーティエ!!立派になったものだなぁ~元気にしていたかい?」
「まぁ!ルーティエ、見ない間に顔つきが優しくなったんじゃない?」
「こんにちは……ルーティエ兄さん」


 少し遅くなったので急ぎ足でルティとお屋敷へ向かうと、すでにみなさん揃っていて、にこやかに出迎えてくれた。私もルティの恋人としてきちんとご挨拶しなければ!と少々力が入ってしまう


「伯父上、お久しぶりです。伯母上も、前回はゴーシェの出産祝いに立ち寄って以来でしたね。
 あぁ、赤ん坊だったゴーシェも、もう立派な青年ですね。
 これからしばらくお世話になりますのでよろしくお願いします。
 それと……彼女が私の恋人のアオイです。さ、アオイ?」

「はじめまして、アオイ=タチバナです。
 なるべくご迷惑の掛からないように努めますので、あの、宜しくお願いします!!
 あ、ゴーシェ君とは来月から一緒の学年みたいなので、学園のこととか教えてもらえると嬉しいです」


 ふぅ……なんとか挨拶ミッションは終わった!これが一番緊張するんだよねぇ
 だって……


 「君がアオイさんか!私はへ―リオス。妹のアイオライトから『義娘をヨロシクね』と言われていたんだ。本当に人族は小さくて可愛いね」


 これよ。からかうとかではなく、本当にあなたたち大きすぎるんだよね。笑顔なんだけど、大きな人たちに囲まれているだけで圧迫感があるといいますか……つくづくルティが言っていた『矮小』は合っていると感じる。ワイショウ=アオイと名乗ったろか
 
 へ―リオスさんもやっぱり2m近くあって、髪はルティと同じ肩丈くらいで、ハーフアップにしている。白っぽいけど、ほんのり黄緑が混ざったような……綺麗な色だ。
 まぁ「白って200色あんねん」理論で言えば白、だね。
 瞳は綺麗な金色に輝いていて、もう基本となっているけど美丈夫です。
 
 美人、美丈夫しか見ていないせいか、平凡な顔が懐かしい……。なんなら自分の顔見て安心するかも
 でも彼らも整形とは違うからね、「美にも色々種類があんねんな」に行きつく。みんな違ってみんないいのさ……


「私はモルガよ。アオイさん……アオイちゃんでもいい?なんて可愛いらしいのかしら!やっぱり女の子はいいわねぇ。
 うふふ。ゴーシェも子供の頃は女の子みたいで可愛かったのを思い出すわ。これからはここが自分の家だと思って、自由に過ごしてね!」


 実は一番心配していたモルガさんに、今のところは印象悪くないようで良かったぁ。
 モルガさんは(一応)種族が違う。ダークエルフって聞いていたから、感覚とかも違うかもしれないし、私なんて他人も他人だから、ビクビクしていたんだよね。
 
 それにしても、聞きしに勝るとも劣らない……きょ、、、いや爆乳?メ、メロンが二つも重力に逆らっております。同性の私でも、ついチラチラ見てしまう大きさと美しさ。エルフ族との違いがえげつない!!
 なるほど、これは見てしまう男性の気持ちがわかるかもしれない……

 モルガさんもやはり背は高く180cmくらい?
 瞳は綺麗なピンクオレンジと可愛い色味、髪は少し癖がある胸丈くらいで薄いピンク。
 色だけは可愛い色味なのに、真逆のボディとのギャップがすごいし、肌にかかる髪すらも艶めかしい。
 こういう人を美魔女って言うんだ……崇めてもいいですか?


「あ、あの……」


 おっと、美魔女に見とれすぎてて、ゴーシェくんを放置してしまった!がっつりモルガさんに向いていた身体をゴーシェ君へと向き直る


「僕は、ゴーシェナイトです……みんなからはゴーシェって呼ばれてます。
 人族の友人はいないから、仲良くなれたら嬉しいです。あの、宜しく……」


 (はわぁぁぁっ!!)


 て、天使!目の前に天使がいるっ!!さっきは足元しか見ていなかったし、うしろに隠れていたから気付かなかった!めっちゃKawaii!!シルバーさ~ん、ダイヤの原石発見でありますっ!
 
 ゴーシェ君は180cmくらいかな?モルガさんと同じくらいだけど、青年期って言っていたから、これからまだ伸びるんだろうなぁ。
 瞳はお母さん似でピンクオレンジ。髪はふわふわ柔らかそうな髪質なのに光沢のある白系……おお、天使のリングが見える。
 
 ハッ!なんてこった、私と髪型が被っているではないかぁぁぁ!!恐れ多いにも程がある!!謝罪、土下座、空気イス!
 わんこ系……し、白いポメラニアン!はぁ奇跡の天使!よし、絶対にこの天使は私が身体を張ってでも守らねば!!ふんすっ


「アオイ……?また妄想に飛んでいませんか?」


 ひぃっ!!一番バレてはいけない人に、真っ先に気付かれてしまった!!


「ゴーシェ君も一緒に学園に行こうね!お姉さんが命に代えても守ってあげるから!」


 そう、見とれてたんじゃないよ?庇護欲!そう年上として、お姉さんとして、君を守りたいだけなのっ!


「えと、僕が……守られるんですか?アオイさん、ではなく?」

「ハァ……アオイ、ゴーシェはこう見えても20歳ですよ。
 アオイはまだ18歳でしょう?むしろ守ってもらう側ですよ。そもそもアオイの命を張る意味がわかりませんし、許すわけがないでしょう」


 ノォォォォン!!私の天使は年上だったのかぁぁぁ。まぁ、そうかなとは思ったよ?私はねじ込み入学っすからね。。。
 里にいた半年の間でも、年下に出会わなかったなぁ。初めに見掛けたキャッキャしてた女の子も80歳くらいですって、やだ歳近~い。
 
 ううん、私もだいぶ感覚が若者に寄って来た気がする。いや、若いんだけどさ……
 初めの頃は脳内で50代の私と10代の私が戦っていたけど、最近は脳内で50代と10代が茶飲み友達くらいになってきているわ。協調性のある二人だ……いや長いものに巻かれたと言うべきか
 
 見た目も、年齢も年下なもんだから、年上風吹かすところなんてなかったし。それに扱いが、小さい子にするようなそれだったしさ、あっさり半年で「あー私って本当に若いんだ」って思えるように、もはや洗脳?されてしまったよ。歳上との年齢差レベルが半端ないし……
 

「グスッ。短かったけど、30秒くらいお姉さんと思わせてくれてありがとう……」
「う、うん。なんか…ごめんなさい?」
「ゴーシェは気にしなくていいですよ。度々彼女は妄想に走るところがあるので」


 ヒドイ!私の彼氏がおかしい人扱いするっ!合ってるけどさ!!


「じゃあ、弟にはなれないけど……代わりに僕の妹じゃ駄目、かな?」
「わ、私が、いいいいい妹に!?はにかみ天使の妹にっ?
 はわわ……お兄ちゃん?兄さん?アニキはありえない、拒否……あ、『ゴーちゃん』は?」


 私は『お兄様』って感じでもないし、海外のように名前呼びと考えると『ゴーシェ』になる。でも、それもちょっと恥ずかしいので、せめて愛称のように『ちゃん』付けで駄目だろうか?


「ふふふ。それでいいよ、じゃあ僕は…『アオちゃん』って呼ぼうかな。仲良くしようね」
「ゴーちゃんにアオちゃん……仲良し兄妹な感じが…イイッ!!ルティ、私一人っ子じゃなくなったよ!」


「これは……ラトが相当悔しがりそうですねぇ。
 アオイ、お茶の準備も整っていますし、そろそろ腰掛けましょう?」

「あ、そうでした!ごめんなさい!私のせいで……」

「ふふ、いいのよ。ゴーシェも一人っ子で兄弟がいるお友達が羨ましかったみたいだから、アオイちゃんさえ良ければ、兄妹として仲良くしてあげてね」

「ゴーシェは本を読んだり、小物を作ったりとインドアなところがあるから、少々面白みにかけるかもしれないけど、思いやりのある優しい息子だよ。私からも宜しく頼むよ」

「私も本を読むの大好きで、少しだけ本屋さんで働いたことがあるんです。ゴーちゃんのおススメの本とかあったら読ませて欲しいなぁ」

「ホント?アオちゃんも本好きなんだ!学園の友達はあんまり本は好きじゃないみたいで、中々語り合えないんだよ。あ、でも他国の言葉の本だったり、エルフ語のものが多いから読めないかな?」


 はい、これキターーーー!!私の唯一のドヤり場所

「ふっふっふっ!私のたった一つだけの貴重な特技は、なんでも読めて、話せて、書けるだからね!
 なんでもどんと来いだよっ!」はい、ドヤッ!

『ええ?じゃあ僕の話しているエルフ語もわかるの?』
『私のちょっと癖のあるダークエルフ語も?』
『じゃあ、私はあえて獣人族の言葉で。わかる?』

『はい。全てわかりますよ。ゴーちゃんがエルフ語、モルガさんがダークエルフ語、へ―リオスさんが獣語ですよね?』

「「「すごいっ!」」」

「これは驚きですね。さ、アオイお嬢様、未熟ながら私の入れたお茶でティータイムは如何ですか?
 お嬢様がワノ国の方の特徴に近いと伺っておりましたので、軽食はサンドではなく“オニギリ”というものをご用意させて頂いたのですが……」

「え……?今なんて……?お、おにぎりって言いました?あの、おにぎり?」

 食べたくて、食べたくて、震えたあのONIGIRI?座る、即座る、ヘイカモン!!おにぎり!

――コト……

「お茶の前に、一口だけでも……い、いただいてもいいですか?」
「構いませんよ……どうぞ」

――ぱく

 三角じゃなくて、俵型だけど、海苔までまさかのついている素晴らしさ!
 多分慣れていないからか、少し硬めに握られてはいるけど……


「おぃ…おぃふぃれすぅ~うぅっ……おいふぃ~グスッう゛ぅ゛~うれしぃぃ~」
「アオイ……良かったですね……」


 ようやく出会えた思い出の味に涙が止まらなかった。魔国の前にワノ国へルティは連れて行ってくれる予定だったのに、学校へ行きたいと言ったのは自分だったから。
 魔国にいる間に連れて行ってもらえたらラッキーくらいに思ってた。


「喜んでくれるとは思っていたが、まさか泣くほどとは……タイミングよく仕入れられて良かったなぁモルガ」

「ホントね。輸入の仕事をやっていて良かったわ。アオイちゃん、ワノ国の品は調味料とか他にもいくつか仕入れてあるから、食べたいものがあればカーモスか厨房の方にでも言ってちょうだいね。コメはまだたくさんあるし、私のも良かったら食べて」

「アオちゃん、泣かないで?僕のも食べていいよ」


「ふぐっ、ふぐぅ…夜食べれなぐなっちゃうので、ぞごまではいいれすぅぅ…でも、ありがどぉ~」
「もう、喉に詰まってしまいますよ?お茶も飲んで、はい」

「ズズッ うわぁぁぁん、緑茶ー!これ緑茶だよぉぉぉ……美味しいよぉぉ」
「あぁもう、こちらに来なさい」


 あまりにわんわんと大泣きの醜態を晒していた為、ついにはルティに抱えらえ、背中をトントンされる始末。だって一年弱ぶりに食べたから、もうリアル子泣きじじいだわ私。
 おそらくおばさんのままでも泣いたと思うから、今若くて良かったと心から思う。恥ずかしいには変わりないが……まだ、マシ。
 
 あと、へーリオスさん、飴ちゃんはいらないです。そこまで子供ではないんで。なんでポケットに入っているんですか?



「びっくりしたけど、アオちゃんが泣くほど気に入るものがあって良かったよ」
「うん。ありがとう!あ、学園ってお弁当を持参ってできるかな?食堂じゃないと駄目とかあるの?」


「食堂もあるし、買ってきたものを食べるでもなんでも自由だよ。お弁当って、ピクニックで食べるようなやつ?バスケットみたいな大きいの持って行くの大変じゃない?僕が持ってはあげるけど」

「バスケット?あ、そうか!お弁当文化がないんだ!うーん、私くらいだと、掌サイズくらいの容器におかずとご飯……コメをつめる感じかな?
 できればキッチンの隅っこでいいからたまに貸して欲しいの。故郷の味のお弁当が作りたくて……」


「アオちゃんすごいね!自分で作れるの?もちろん、自由に使っていいよ!僕は料理は全然ダメで、切ったり盛り付けたりはいいんだけど、味付けが壊滅的らしいんだよね」
「アオイちゃんが良ければ、ゴーシェの分も作ってあげてくれない?妹の作るお弁当、お兄ちゃんも食べたいわよね?」


「うん、食べたい!アオちゃん、お兄ちゃんの分もお願いしていい?」
「うん、もちろん!ルティのと二人分作る予定だったから大丈夫だよ!おいしく作れるよう頑張るね!」




 米を得た私に、怖いものなどない。他にもあるって言っていた輸入品を速攻見せてもらうと、味噌や醤油も発見!!
 厨房でも再度大泣きし、ゴーちゃんにはハンカチで涙を拭かれ、ルティに抱きかかえられて回収されてしまった……面目ない。


 その日はあまりの嬉しさから、珍しく中々寝付けなかった

 NO RICE  NO LIFE!


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