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若返ったので、学園ライフをエンジョイしたい!<前編>
2:魔国学園へ入学……の手続き!
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Q:魔国学園の入学資金はどうしたのですか?
A:はい、お答えします。以下説明です!
あの珍事件の後もアルバイトは続けていて、冒険もしていないのにEランクにUP!依頼者からの評価が決め手だったみたいで、店長に感謝です。
そして、店長が『ルティの愛の賛美者になりたい』と言っていたのは本気だったようで、<銀の月は、小夜にのみ輝く>という……ルティ(銀の月)と私(小夜)がモデルの、7割くらい店長の妄想じゃないか?という、美化に美化を塗り重ね、挿絵師さんも、人気のSさんという方に依頼までして、自費出版。(挿絵師さんは担当編集者さんにしか素顔が知られていない謎めいた方らしい)
それを、大手出版社に持ち込んだら大絶賛で、そのまま作家デビューし重版出来の記録的ヒット。現在、続編を書いているらしい。続編は店長の『こうなったらいいな』と考えている、ALL妄想物語になるので、完全にフィクションである。
ちなみにペンネームは『モノクルPOL』だ。“Preacher Of Love”(愛の伝道師)の頭文字から取ったそうです。モノクルはどうしても外せないこだわりがあるらしい。
私は全く関係ないのに、謝礼金と言う名の、ものすごい大金がギルド経由で入ってきた。印税どうなっているんだろう??
もちろん、お断りに行ったんだけど、「今後もルーティエライト様との良いエピソードがあればぜひ、教えて欲しい」と言われた。情報料か……。
当のルティも自費出版の際に、検品と言いつつ読んでいて、「これは素晴らしい、傑作だ」と言い、購入していた。まぁ、フィクションの物語として読めば泣ける恋愛物ではある。
思わぬところで目標金額に到達したことをきっかけに、ルティに「いよいよ学園に通いたい」とお願いしてみた。まぁ一度じゃ説得できないだろうなと諦めていたのに、まさかの一発OK!
「そろそろ言い出すと思っていたので、どこがいいか調べておいたのですよ」と男前発言!
区切りよく春から入学となりました。
人族の学園でも良かったんだけど、ルティも一緒に入学する必要がある為に除外。
魔国学園はルティの従兄弟も春から進級するので、身内で守りやすいという理由から、魔国へ行くことに決まりました。
国立グローリア学園(略式は魔国学園)は、魔国の首都にあたる<グローリア>にある、幼稚園くらいから大学までのエスカレーター式の国立学園。
私が入学するのはその大学生のラインかな?年齢は大体20~22歳で3年制、さらに上に魔国大学院と言うのもある。名前の通り大学院みたいなもので大体23~25歳でこれも3年制。
ただ、学園では大学年齢ラインだけど、話を聞くと制服はあるし、体育祭みたいなものや、文化祭、旅行があるので高校っぽい雰囲気なのかもしれない
うっすらお気づきの方はいるだろうか?そう20歳~なんだよね。私は身分証上は18歳…なんか色々屁理屈こねてねじ込んだらしんですよね。きっと知ってはいけない話に違いない……
変化後からは一年経っていないけど、今18歳なら6月には19歳になるってことで、あとはぼんやり早生まれのように誤魔化しておけばいいかと過大解釈しています。ルティを見習ってみた
人族なので、大陸共通言語以外の言葉の壁がクリアできるのか?などのペーパーテストだけは受けましたが、言語理解だけは私はチートなのでねっ!ほぼ満点で、特別編入できたわけです。感謝永遠に!【神いいねb】をポチポチ。。。
***
そしてここは<騎竜乗り場>。規模は空港と同じくらいかな?
なんせ竜人が竜化したサイズ=小型飛行機だからね!!めちゃでかっ!!
「アオイ?なにを一人でブツブツと言っているのですか?」
「ううん。ちょっと心を落ち着ける為に、関係のないことを考えていただけ」
落ち着け~落ち着け~
心頭滅却、南無阿弥陀仏 sin cos tan、微分、積分、良い気分、HOP! STEP!! JUMP!!!は、したらあかんやろ!JUMPしたらFLYやぞ!そしてDIEやないかっ!
あばばばばばば……今回は全く落ち着く気がしない……ふ、不整脈がぁぁ~
「ふふ。アオイは相変わらず、速過ぎる・高過ぎるが苦手ですねぇ」
「いや、ぜ、絶対誰でも、こ、こわ、怖いと思うよ!」
空港で小型のプロペラ機を見たことある方、頭に思い浮かべてみましょう。
はい、スピリチュアルな音楽を流して~『想像して下さい……』
『みなさんは、あのサイズの飛行機に跨いで乗れますか?』
――って話ですよ!スリルを求める奴しかおらんのか!?
なぜ、この世界の乗り物は跨ぐのばかり好むのか……うぅっ
今回の移動手段は、以前ルティが言っていた、ユーロピアから魔国へ向かうルート。
竜人族が竜化した状態で、輸出入のついでに人も運んでもらうというもの。
しかし、過保護なルティが「物と一緒にアオイを運ぶなんてありえません」と言い、所謂チャーター竜?を手配して、二人(竜含まず)貸し切り状態でリッチな旅ではある、、、聞こえだけは。
今度という今度は、落ちる=あべしっ!からの即死!は、まず確定だ。
ルティと私はベルトで繋いでもらい、上空を飛ぶので、防寒・防風マントも二人でスッポリかぶるものにしてもらった。顔が二つのてるてる坊主みたい。
ルティはこういう時は私と逆で上機嫌なので、そのベストなコンディションを保ったまま、私をがっしりとホールドお願いします。
***
空の旅は……離陸はギリギリ、着陸は、繋いだベルトが食い込んで、危うく人間としての尊厳を失うところだった……とだけで、お察し下さい。
チャーター竜を務めて下さった、チャーリーさん(チャーターじゃないのが残念)が、到着後に竜化を解き、「お二人さん、まだ付き合い立てかい?ずーっと密着していて、オレが酔っちまいそうだったぜ」なんて冷やかしていたけど、どの辺に彼がラブラブ感を見出したのかはわからない。
私ずっと奥歯ガタガタ言わせていただけだったよね?顔なんて病的なくらい青醒めてますけど?
チャーリーさんは無駄な贅肉は一切ない筋肉質タイプ。腰まで長く伸びた、少し硬めの髪の毛は、竜化した時に見た空色の鬣と同じ色だ。この道300年の古参らしい。
定年は何歳なんでしょうか?
脳内花畑ボーイのルティは「やっぱりわかってしまいますか?すみません、片時も離れたくなくて♡」って……さらにチャーリーさんを酔わせるな。
スンってなってるじゃない!
そういう私は、付き合って五ヶ月ほど経ったとは言え、あんなに真っ赤になるくらいルティにドキドキしていたのに、もう落ち着いたの?って思われているでしょう。
落ち着いたわけではないんだけど、ルティ軍曹に鍛えられまして……。
「照れるアオイは可愛いですね」って当初は言ってたのに、私が直視できなくて逃げ回っていたら……「触れられない、目も合わせられない……これは訓練が必要ですね」ととても良い笑顔で言ってきて、即日開始。
おはよう、いってらっしゃい、おかえりなさい、ありがとう、ごめんなさい、おやすみetc……ことあるごとにキスをするよう命じられ、ごねると「では人前でしますか?」と脅される始末。(一度本当にされて瀕死に陥った)
訓練と名のつくものには鬼と化す……
ちなみに場所は顔ならどこでも可とはしてもらったけど、彼からは全て唇に来ます。
でも、私もいつまでも恥ずかしくてそばにいれないのも嫌だなって思ったから、頑張って慣れたわけです。初心者も卵からヒヨコくらいにはなれたと思う。
そして、ようやくですが、魔人族が暮らす<魔国 グローリア>に到着しました~
適当っぽい学園とはいえ、やはり居住地は必要なわけで……
そこで当面の間はルティの従兄弟のお屋敷にお世話になって、しばらくしたら広いお庭の一角を間借りして、またルティが家を作ろうか?という話になっている。
人様の庭に家を建てるってどうなのだろうかと思うんだけど、エルフ族的に言うと、逆になにが駄目なの?って返されるので、これはよく言う「エルフあるある」の一つなんだなと納得しておく。
「それにしても、ルティが言っていた通り、まだ昼過ぎくらいなのに雲が多めで鉛色の空だねぇ」
「そうですね。でも、魔国は大体こんな感じですよ。春~秋に入る前頃までは晴れの日も多いですよ」
陽が全くささないわけじゃないけど、どんよりとした雰囲気。秋の中頃~春の初め頃までは、一日中晴れる日は稀で、日中にチラッと太陽が顔を覗かせる程度が普通らしい。
う~ん、日本海側の地域みたいなものだろうか?
元の世界でいうところの北極圏付近の国のように、白夜・極夜の現象が見られる地域もあるとか。
人族が暮らすコルド国なんかも一番北に位置しているから、白夜・極夜の現象が国全体で起こるみたい。魔国の北部やコルド国でもオーロラが見れるみたいだから、いつかルティと見に行きたいなぁ。
「外がどんよりしている分、照明を随所に設置しているので、屋内施設や、家の中なんかはすごく明るいですよ」
「照明で工夫してるんだ、すごいねぇ。そういえばこれから通う学園も外に遊技場はなくて、ドームサイズの建物で運動はするんだよね?雨の日も気にしなくていいのはいいよね!走り回るような運動を最近全然していないから、カリキュラムにあるなら受けたいな」
「アオイが走る……ですか。はぁ、心配です、せめて散歩を増やすでは駄目なのですか?」
もー!!私はリハビリ患者かっ!!
「そうやって、ルティがいつも先回りして防いでくれるのは嬉しいけど、お陰で前世で身に着けた受け身ができなくなっちゃって、かえって危ないんだけど?転ぶかもしれないけど、きっと擦り傷程度で済むって~」
「はぁ……転ばない、とはならないのがアオイですよね。
いいですか?寿命が延びたといっても不老不死じゃないんですよ?人族は簡単に病気やケガで亡くなりますからね、心配するのは当然なのですよ?」
おっと……オカンモードが発動しちゃった。
「わかったから!どうせルティも一緒に入学するんでしょ?そばにいてくれるなら心配ないじゃない」
「そうですね。クラスも同じにして頂けるように、よ~くお話しないといけないですね」
と、鳥肌が…!!本当に普通の『話し合い』よね?
***
「は?どういうことです?」
やばいやばいやばい……また、乾燥注意報発令かしら?ピリピリ、パチパチと静電気がぁぁ!!
今、ルティと一緒に魔国学園へ入学手続きに来たんだけど……
私は普通に許可証が渡され、次はルティの……と思ったら、なんとルティは「入学許可できない」と言われてしまって、一触即発状態に!!
「ででででででしゅからですねぇ、ルーティエライト様はSランク級の実力者でしゅからして……魔法科にしても、武術科にしても、教えることなど、もはやないに等しいではないでしゅか!それに年齢もごまかしぇましぇんよ!!」
多少ならねじ込めても、年齢はぶっちぎってるし、顔も有名でわれてる、そして教えることがなければ、受け入れられないってことだよね……そりゃそうだ。
ルティはそれだけ魔国でも優秀で有名ってことだよね。すごい……カッコいい
でも、それよりも気になるのは、学園長先生の上の前歯が二本ないせいか、「す」が「しゅ」に変換されるせいで、話がまともに入ってこない上に、ルティが更にキレ出してしまっている!!
ちなみに学園長先生は肩くらいの長さの黒い髪を七三分けにしていて、室内だけどサングラスをしている。
金○先生とタ○リさんをミックスしたような雰囲気。目が見てみたくて気になる。
あと純粋に、なんで前歯がないのか知りたい。差し歯とかってこの世界にはないのだろうか?
ネームプレートには『スチュアート=アレキサンドライト』と立派な名前がついているが、「チュチュアートでしゅ」と名乗っていたので、私の中では「チュチュアート」で記憶されてしまった。
「ではお前は、私の最愛の恋人が、か弱き人族だというのに一人で学園生活をしろと、そう言っているのか?」
直訳すると→「貴様、消されたいのか?」と言っているよね?お願いやめて!!
「シェーー-!!こ、恋人!?あなたしゃまの?しょ、しょれは……確かに心配でしゅな……」
「そうだ。どう考えても心配しかないだろう?」
これ、多分【心配】の部分が双方違っていると思うの。
ルティはまぁ私ですけど、学園長先生は【学校とその他の生徒たち】が消されないか心配なんですよね?
それと『シェー』と叫ぶ人をリアルで初めて見ました。もはや「さ・そ」すら言えなくなってる。
「しょ、しょ、しょれでは、ルーティエライトしゃまは教員枠ではいかかでしょーか?
ちょうど、ましゃに、しゃっき!一人辞めてしまった者がおりましゅので、困っておりまして……」
その辞めた先生がどうか架空の先生であって欲しい。
強制リストラ……いや、物理的に名簿から消すことだけはやめて頂きたい!
「教員、だと?それでは意味が…」
「ルティ、先生をするの?カッコいい!!
私、ルティは絶対先生に向いていると思うもん!ルティと一緒の制服を着れないのは残念だけど、ルティには先生が着るような服が絶対似合うと思うの。
うっかり見つめちゃって勉強できるか心配だけど、ルティが先生をしてくれるなら質問もしやすいし、安心だなぁ。先生と生徒でも一緒に登校はしても大丈夫、だよね?」
お願い!もうそれで手を打とう?そもそも仮に生徒で入学しても、ルティとは多分学年違うから、それはそれで揉めそうだなって思うのよ!!
「……やりましょう。やはり、私には教師の方が向いていると思いますので。あ、その空いた教員枠は当然、彼女のクラスの担任枠、ですよね?」
「シェーーー!!しょ、しょれは……多分しょうだったと思いましゅ!!」
「では、よしなに頼む。
さぁ、アオイ行きましょう?制服もすでに従兄弟の屋敷に届いているはずですので、着て見せて下さい」
「う、うん。
チュチュアート学園長先生、これから宜しくお願い致します」
「シェッ!!こちらこしょ……」
学園長先生、本当にルティを教員にして良かったんでしょうか……?
新人教員のはずなのに、すでに上下関係が出来上がっている気がするのは、私だけでしょうか……。
ちょっと出だしは躓いちゃったけど、なんにせよ、ようやく学園に通えるのは本当に楽しみ!
その前に、ルティの従兄弟さんと初対面だよね。仲良くなれるといいなぁ~
「アオイ、ご機嫌ですね?」
「うん、すっごく楽しみで!ルティ先生頑張ってね?あ、ルーティエ先生?なんて呼ぼうかな?」
「アオイはルティ先生で。でも、二人きりの時には先生を外して下さいね?
ふふ。教師と生徒というのも、少し背徳感があっていいですね。楽しみになってきました」
「は、背徳感……?いや、普通の教師と生徒だよね?」
「それでも教師と生徒である前に、愛し合っている恋人同士ですよ?」
「うん、まぁそうなんだけど。ルティが言うとたまに違う雰囲気に聞こえるんだよねぇ。
勘ぐっちゃってごめんなさい」
いつものように、チュッとごめんなさいのキスをすると、クスクスと笑うルティ
「え、なぁに?」
「アオイ、私が教師をしている時間は、今のようにうっかり口づけしないように注意しましょうね?
まぁ私はいつでも喜んで受け入れますけど」
「~~~~っっ!!!
ぎゃーーーーーー!!!やっちゃったーーー」
やっぱりちょっと心配な学園生活になりそうです!
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