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SNS=セックス・ネットワーク・サポート魔方陣
しおりを挟む一ヶ月間冒険者ギルドのアルバイトに精を出し稼いだゴールドを全部つぎ込んで購入した婚約指輪を持って村から街に行く。
街の一番大きな酒場の二人並んだカウンターに彼女と席につく。指輪を出した瞬間に……僕は振られた。
「ごめーん。わたし、実は約束した彼氏いるから……。そういうのは……ね? 申し訳ないけど、あきらめて?」
とあっさりと振られた。
……想えば、一ヶ月間あまり彼女とは会っていなかったな……。
失敗だった。そら、振られるわ……。
彼女は有名な歌姫だった。国を救った英雄たちの歌を酒場で美しい声で酒場で踊りながら演出する。
栗髪のエリルと駆け出しのころは呼ばれていた吟遊詩人だ。
いまは「救国の歌姫」という二つ名で呼ばれている。
駆け出しの頃からの付き合いだが、考えてみれば有名人と、しがない村人のオレが一緒に酒を飲み交わしていただけでも奇跡だ。
オレは農夫のアル。アっちゃんというあだ名でよく仲間からは呼ばれている。
アル爺と呼ばれることも多い。
知り合いいわく、顎のひげが貫禄があるから、そう呼んでいるんだと。
オレまだ18なんだけどな……。老けているわけじゃない……と思う。
僕は酒場を変えてやけ酒を飲んでいる。婚約指輪はたたき売った。だから金ならたくさんあるんだ!
「なぜ、兄ちゃん……ずいぶん高い酒飲んでるじゃねぇか? 若いのにたいしたもんだ……」
「ああん? なんだよ……オレは今一人で飲んでいたい……」
「そういうなよ……SNSって知っているか?」
「馬鹿にするなよ! セックス・ネットワーク・サポート魔方陣のことだろ? オレに手が届くしろもんじゃねー。オレはタダの村人だ! どうだ恐れ入ったか!」
「まあまあ……格安でこの魔方陣を書くことができる魔法のペンを譲ってやろうとおもってさ……」
「いくらだ……」
「1000ゴールド」
「それ買うと金持ちのエロエロイベントに参加できるんだろ……。ま、いいか、どうせ一晩飲み明かしたからってオレの気持ちが晴れるワケじゃねぇ……買うよ」
「まいど!」
「……おい、確かにSNSにしては安いが裏があるんじゃねーか?」
「ああ、それか……婚活SNS。つまり結婚を前提としたSNSなんだ……。あまり売れなくてな……」
つまり、エロエロイベントには参加できるが……責任はとれ……ということか。
「まあ、いいさおれも、そろそろ嫁さんもらう年だ……男として責任はとるさ……」
「……兄ちゃん……売れ残り買ってくれて悪いな! あんがとよ」
「どういたしましてだ」
婚活SNSを売りつけた行商人は、僕からゴールドを受け取るとそそくさと去っていた。
「……酒もあきたな……。村に帰るか……。試してみたいしな、このSNSを……」
オレはこのあとこの国の王女とSNSで関係がつながることになるとは思っていなかった。まして、無理矢理知りたくもない国家機密を教えられ、この国の陰の軍師になるなんて……。
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