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魔族の特別な能力……魔物への変身能力
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「そうだ。私は魔王だ。魔族の王様ということになる」
「……堂々といわれても困るな、魔族と人間は対立している」
「そうだな……300年前は少なくともそうだった……」
「今は違うとでも?」
「そうだ……具体的に我々が人間になにかしたというのか?」
「それは……確かに魔物の大群が攻めてくるなんてことはないようだけれども」
「そもそもだ。なぜ、君たちは魔族をそんなに嫌う?」
「魔族は魔物に変身する。魔物が恐ろしいものである以上は……敵対せざるえない」
「では、なぜ今、レンよ? お前は私に切りかかってこないのだ」
「曲がりなりにもひとの姿をしている……からな、話は通じそうだ」
「そう、それが言いたいことだ」
「でもお前は魔王で魔族なんだろ?」
「ああ、そうだな」
……いったい皇帝ベイザー、魔王は何を言おうとしているのだろうか?
「魔族がどういう種族か……人間の君は……詳しくないだろうな?」
「知る必要はない」
「そういわずに聞くべきだと思うぞ」
王女がその時古めかしい書類を持ってきた。いつの間にか、席をたっていたようだ。そして書庫から、それを持ってきたのだろう。
「アルさん……」
「なんですかリファイア王女さま」
「勇者レンとイリス姫は魔王とある契約を交わしたのです。300年前のことですが。これをご一読ください」
おれはその書類に目を通す。古めかしい言葉……どこか、懐かしい言葉でその書類は書かれていた。ああ、オレはやっぱり勇者レンなのか……。と確信できた。現在の人間にはこの文書を完全に解読することは難しいだろう、それができる自分が特別であることは間違いない。
「おっ、気が利く。ありがたいね。リファイア王女殿下」
と皇帝ベイザーは言った。
「ま、目を通してよ……」
書類にはこう書かれている。
魔王は300年の間眠りにつく……。
レンとイリスも同様に300年後に、自身に時間停止の魔法をかけて行く。
ただし、完全に時間を停止することは難しく、若返るということが書いてある。
ここまではわかっている。しかし、いったいなんのために?
その後に魔王への謝罪文が書いてある、レンとイリスのだ。
魔物の格好をしている魔族を襲って悪かったと書いてあるのだ。
お互いの種族の憎しみをなくすために時間が必要と書いてある。
いったい……どういうことだ?
「魔族は、人間の言葉で言う家畜と同じ格好に変身できる……」
「だが、魔王よ! 我々は断じて魔族の家畜ではないぞ!」
「……いいかたが悪かったかな。友好関係をむすぶために、魔族は相手の姿に変身するのだ」
「なぜ?」
「同じ姿をしたものを攻撃する種族は、いないからだ」
……それは確かにうなづけるかもしれない。確かにいま人間の格好した魔王をオレはすくなくとも、問答無用には襲っていないのだから。
「じゃ、もっと早く人間の格好になればよかっただろうに!」
「……それができればな。300年近い時が必要だったのだ」
「なぜ?」
「種族の個体の数が多かったり、力が強いほど、変身するために要する労力が大きくなる……のだよ。魔族の変身能力は強力だが、それなりに代償も必要なのさ」と魔王である皇帝ベイザーは言った。
「……悪かったのは人間ということか?」
「いや、魔族も人間を襲ったのだ。恐ろしかったからね」
「なぜ?」
「考えてみろ。君たち人間ほど、凶暴な魔物が他にいるかな?」
「人間は魔物ではない……」
「……魔物だよ。動物たちから、あれほど恐れられているのに自覚がないのか」
……めちゃくちゃなことを最初言っているようにも思えたが筋は通っているきはした。
「オレが勇者レンだとして……なぜ300年後に来る必要があったのだ。それも知りたい」
「契約相手に死なれては困るからな、契約の履行があやぶまれる」
「あいにくだが、オレは勇者レンだとしても、その記憶がない。契約の履行を求められてもな……」
「……記憶ならちゃんと魔王である私が保管してある……。それを謝罪の証として、また、悪意がなかったことの証として、勇者レンとイリス姫は記憶をすべて私に差し出したのだ……。だから、わたしは本来彼らの封印の魔法には抵抗できたのだが、300年封印されることに甘んじたのだよ」
「しかし、オレがそれを見れるわけではないだろう……」
「……いや、お前に記憶を戻すことは可能だ……」
……なんだって!
「しかし……。オレはアルだ。勇者レンだったとしても、いまさら勇者レンになる気はないぞ」
「では魔王である私をせめて、信じてもらいたいな。勇者レンとイリス姫と私魔王ベイザーは、お互いに謝罪しあい。争わないことを誓った仲なのだから。たとえ300年の歳月が必要だったとしても、だ」
めちゃくちゃだ。魔族を倒そうと戦争していたのは、無駄な争いとでもいうのか?
「それでもだ、魔族を滅ぼしたほうが禍根がなくなると、人間が考えない理由がどこにある?」
そうだ。やっと魔王を弱体化させたのだ。もう……時間稼ぎをさせる理由もないだろう……。このままこいつを倒せばすべては確実に終わるのだから。
魔王ベイザーはその問いかけに、応える。それを聴いて、自分は良かったとおもった。すくなくとも問答無用にこの魔王を倒さなくて良かったと。
「……堂々といわれても困るな、魔族と人間は対立している」
「そうだな……300年前は少なくともそうだった……」
「今は違うとでも?」
「そうだ……具体的に我々が人間になにかしたというのか?」
「それは……確かに魔物の大群が攻めてくるなんてことはないようだけれども」
「そもそもだ。なぜ、君たちは魔族をそんなに嫌う?」
「魔族は魔物に変身する。魔物が恐ろしいものである以上は……敵対せざるえない」
「では、なぜ今、レンよ? お前は私に切りかかってこないのだ」
「曲がりなりにもひとの姿をしている……からな、話は通じそうだ」
「そう、それが言いたいことだ」
「でもお前は魔王で魔族なんだろ?」
「ああ、そうだな」
……いったい皇帝ベイザー、魔王は何を言おうとしているのだろうか?
「魔族がどういう種族か……人間の君は……詳しくないだろうな?」
「知る必要はない」
「そういわずに聞くべきだと思うぞ」
王女がその時古めかしい書類を持ってきた。いつの間にか、席をたっていたようだ。そして書庫から、それを持ってきたのだろう。
「アルさん……」
「なんですかリファイア王女さま」
「勇者レンとイリス姫は魔王とある契約を交わしたのです。300年前のことですが。これをご一読ください」
おれはその書類に目を通す。古めかしい言葉……どこか、懐かしい言葉でその書類は書かれていた。ああ、オレはやっぱり勇者レンなのか……。と確信できた。現在の人間にはこの文書を完全に解読することは難しいだろう、それができる自分が特別であることは間違いない。
「おっ、気が利く。ありがたいね。リファイア王女殿下」
と皇帝ベイザーは言った。
「ま、目を通してよ……」
書類にはこう書かれている。
魔王は300年の間眠りにつく……。
レンとイリスも同様に300年後に、自身に時間停止の魔法をかけて行く。
ただし、完全に時間を停止することは難しく、若返るということが書いてある。
ここまではわかっている。しかし、いったいなんのために?
その後に魔王への謝罪文が書いてある、レンとイリスのだ。
魔物の格好をしている魔族を襲って悪かったと書いてあるのだ。
お互いの種族の憎しみをなくすために時間が必要と書いてある。
いったい……どういうことだ?
「魔族は、人間の言葉で言う家畜と同じ格好に変身できる……」
「だが、魔王よ! 我々は断じて魔族の家畜ではないぞ!」
「……いいかたが悪かったかな。友好関係をむすぶために、魔族は相手の姿に変身するのだ」
「なぜ?」
「同じ姿をしたものを攻撃する種族は、いないからだ」
……それは確かにうなづけるかもしれない。確かにいま人間の格好した魔王をオレはすくなくとも、問答無用には襲っていないのだから。
「じゃ、もっと早く人間の格好になればよかっただろうに!」
「……それができればな。300年近い時が必要だったのだ」
「なぜ?」
「種族の個体の数が多かったり、力が強いほど、変身するために要する労力が大きくなる……のだよ。魔族の変身能力は強力だが、それなりに代償も必要なのさ」と魔王である皇帝ベイザーは言った。
「……悪かったのは人間ということか?」
「いや、魔族も人間を襲ったのだ。恐ろしかったからね」
「なぜ?」
「考えてみろ。君たち人間ほど、凶暴な魔物が他にいるかな?」
「人間は魔物ではない……」
「……魔物だよ。動物たちから、あれほど恐れられているのに自覚がないのか」
……めちゃくちゃなことを最初言っているようにも思えたが筋は通っているきはした。
「オレが勇者レンだとして……なぜ300年後に来る必要があったのだ。それも知りたい」
「契約相手に死なれては困るからな、契約の履行があやぶまれる」
「あいにくだが、オレは勇者レンだとしても、その記憶がない。契約の履行を求められてもな……」
「……記憶ならちゃんと魔王である私が保管してある……。それを謝罪の証として、また、悪意がなかったことの証として、勇者レンとイリス姫は記憶をすべて私に差し出したのだ……。だから、わたしは本来彼らの封印の魔法には抵抗できたのだが、300年封印されることに甘んじたのだよ」
「しかし、オレがそれを見れるわけではないだろう……」
「……いや、お前に記憶を戻すことは可能だ……」
……なんだって!
「しかし……。オレはアルだ。勇者レンだったとしても、いまさら勇者レンになる気はないぞ」
「では魔王である私をせめて、信じてもらいたいな。勇者レンとイリス姫と私魔王ベイザーは、お互いに謝罪しあい。争わないことを誓った仲なのだから。たとえ300年の歳月が必要だったとしても、だ」
めちゃくちゃだ。魔族を倒そうと戦争していたのは、無駄な争いとでもいうのか?
「それでもだ、魔族を滅ぼしたほうが禍根がなくなると、人間が考えない理由がどこにある?」
そうだ。やっと魔王を弱体化させたのだ。もう……時間稼ぎをさせる理由もないだろう……。このままこいつを倒せばすべては確実に終わるのだから。
魔王ベイザーはその問いかけに、応える。それを聴いて、自分は良かったとおもった。すくなくとも問答無用にこの魔王を倒さなくて良かったと。
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