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魔物
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部屋に戻るとオレは宿代に足りるぐらいの路銀を部屋の机にわかるようにおいた。そして、荷造りだ。鏡をうまく背負わなくてはならない。
と荷造りをしていたとき、部屋の窓にガンガンと衝撃がはしる。
「急いでアルくん……階段をおりて!」
あわてて鏡を背負い、そして階段を降りる。エリルも僕の後ろからついてくる。宿の一階は酒場になっているが、深夜のため、営業していない。
ドアを出るそして、オレたちがいた部屋の方を見上げると。月が恐ろしい魔物を照らし出していた。人通りはあたりまえだが、ない。
空を飛んでいるのは怪鳥だった。怪鳥は僕らを見つけると、急降下しそして、行く手を遮るように地面に降りる。驚くべきことにその鳥は、人間の言葉でオレたちに話しかけてきた。
「その女と鏡をおいていけ……」
その醜いしわがれた声とは対照的な美しい歌声でエリルが歌い始めた。
魔法語の歌!
瞬間、怪鳥はオレにおそいかかる。ダメか? だが戦闘訓練をうけたことすらない村人のオレは、その攻撃を軽いステップだけで回避する。
歌が続いている。これは……。
断片的に意味がとれる……。これは雷の魔法だ。月明かりのなか、やがて閃光がはしり、怪鳥を撃つ。
怪鳥はあっさり、丸焦げになる。
「倒したか……」
「手応えありね」
「よかった」
「アルくん。よくあの攻撃を回避できたね……」
「あ、ああ」
「……本当にただの村人なの?」
「そう思っていたけどな……いこう!」
「そうだね」
オレたちは走って帝都の外につづく、門のところまできた。帝都は城壁で囲まれいている。門番をやり過ごさない限り、王都に帰ることはできないのだ。時間がない……どうすればいい?」
「ね、アルくん?」
「なんだ?」
「いいアイディアがあるの」
「……女装しろとかはなしだぞ……」
さっきの髪飾りの件でからかわれたのをなんとなく思いだしてしまい、そういった。
「ちがうって」
「じゃ、なんだ?」
「わたしが男装するのよ?」
「あ、ああ。でも男二人組はおかしくないか?」
若干不自然だよな……。門番はカンがいいやつが多いから止められたらやっかいだ。
「愛があることにしてよ?」
……それは、どうなんだ? まぁ仕方ないか……。
「女装よりは、ましだ……やろう」
オレたちの偽装はうまくいき、門の門番を上手くやりすごせた。なんてことはない。
オレたちは帝都を脱出した。
篝火と人影が、振り返っても小さくみえるようになった。
「さて、このあたりでいいかしらね?」
「ん?」
「もう一度、鏡を通りましょう」
「え? あ、ああそうか、王宮で寝たほうが疲れもとれるしな」
「それだけじゃないよ? アルくん。密偵はわたしだけじゃないの……つまり、人を交代させることもできるわ……」
「なるほど……僕らと本当に別人がこのあとを引き継ぐって寸法か」
「うん、そのほうが多分安全じゃないかしら?」
「よし……」
おれは古代魔法語を唱えた。鏡の扉が開き、王宮で王女たちが、なにやら話しているのが向こう側に見える……。
「長旅につかれているから……安心できるところで今夜眠れるの嬉しいね」
とエリルは言う。
「ホントだな……さていくか」
オレたちは王宮に空間を超えてまた戻った。
豪華な客室で二人仲良く寝ると、朝を迎えることになる。
朝、代わりの覆面をした人員を4人鏡から送り出した。
不審に思ったが、エリルによると密偵の顔を割ることは密偵同士でも避けるそうだ。
ひとしごと終えたところで、王女とエリルとオレはランチを一緒にとることになった。ゆっくり話せなかったから、今後のことを相談したいとのことだった。
と荷造りをしていたとき、部屋の窓にガンガンと衝撃がはしる。
「急いでアルくん……階段をおりて!」
あわてて鏡を背負い、そして階段を降りる。エリルも僕の後ろからついてくる。宿の一階は酒場になっているが、深夜のため、営業していない。
ドアを出るそして、オレたちがいた部屋の方を見上げると。月が恐ろしい魔物を照らし出していた。人通りはあたりまえだが、ない。
空を飛んでいるのは怪鳥だった。怪鳥は僕らを見つけると、急降下しそして、行く手を遮るように地面に降りる。驚くべきことにその鳥は、人間の言葉でオレたちに話しかけてきた。
「その女と鏡をおいていけ……」
その醜いしわがれた声とは対照的な美しい歌声でエリルが歌い始めた。
魔法語の歌!
瞬間、怪鳥はオレにおそいかかる。ダメか? だが戦闘訓練をうけたことすらない村人のオレは、その攻撃を軽いステップだけで回避する。
歌が続いている。これは……。
断片的に意味がとれる……。これは雷の魔法だ。月明かりのなか、やがて閃光がはしり、怪鳥を撃つ。
怪鳥はあっさり、丸焦げになる。
「倒したか……」
「手応えありね」
「よかった」
「アルくん。よくあの攻撃を回避できたね……」
「あ、ああ」
「……本当にただの村人なの?」
「そう思っていたけどな……いこう!」
「そうだね」
オレたちは走って帝都の外につづく、門のところまできた。帝都は城壁で囲まれいている。門番をやり過ごさない限り、王都に帰ることはできないのだ。時間がない……どうすればいい?」
「ね、アルくん?」
「なんだ?」
「いいアイディアがあるの」
「……女装しろとかはなしだぞ……」
さっきの髪飾りの件でからかわれたのをなんとなく思いだしてしまい、そういった。
「ちがうって」
「じゃ、なんだ?」
「わたしが男装するのよ?」
「あ、ああ。でも男二人組はおかしくないか?」
若干不自然だよな……。門番はカンがいいやつが多いから止められたらやっかいだ。
「愛があることにしてよ?」
……それは、どうなんだ? まぁ仕方ないか……。
「女装よりは、ましだ……やろう」
オレたちの偽装はうまくいき、門の門番を上手くやりすごせた。なんてことはない。
オレたちは帝都を脱出した。
篝火と人影が、振り返っても小さくみえるようになった。
「さて、このあたりでいいかしらね?」
「ん?」
「もう一度、鏡を通りましょう」
「え? あ、ああそうか、王宮で寝たほうが疲れもとれるしな」
「それだけじゃないよ? アルくん。密偵はわたしだけじゃないの……つまり、人を交代させることもできるわ……」
「なるほど……僕らと本当に別人がこのあとを引き継ぐって寸法か」
「うん、そのほうが多分安全じゃないかしら?」
「よし……」
おれは古代魔法語を唱えた。鏡の扉が開き、王宮で王女たちが、なにやら話しているのが向こう側に見える……。
「長旅につかれているから……安心できるところで今夜眠れるの嬉しいね」
とエリルは言う。
「ホントだな……さていくか」
オレたちは王宮に空間を超えてまた戻った。
豪華な客室で二人仲良く寝ると、朝を迎えることになる。
朝、代わりの覆面をした人員を4人鏡から送り出した。
不審に思ったが、エリルによると密偵の顔を割ることは密偵同士でも避けるそうだ。
ひとしごと終えたところで、王女とエリルとオレはランチを一緒にとることになった。ゆっくり話せなかったから、今後のことを相談したいとのことだった。
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