異世界労働者貴族

7

「なんと！あのお方はシェルファ様ではありませんか！ガイラム様まで！

みなさまこちらにご注目ぐたさい！

ここに居られるお二方こそ、魔光を世に広め世界の繁栄と平和をもたらした、八神はっしん！

70年前世界を瞬く間に支配した闘神です！
帝国をたったの7日で無力化し、世界の頂点に立ったのです！

大魔光師のシェルファ様！
剛腕無双のガイラム様！

「私もお目にかかるのは初めてであります！なんと幸運でしょう！」観光で集まった人々がぞろぞろと3人を囲った。

「本物?」

「なんと美しい姿」

「でか」

「どのぐらい強いの？」

「飛べるんですかー？」
あまり緊張感のない声が飛んでくる。


「やっほー」
陽気に手をふるシェルファ。
ガイラムは腕を組んで沈黙している。

さらに人だかりが増える。

「シェルファ様、この子に祝福を」

「うちの子にも」

「この子に魔光のご加護を」
民衆が殺到する。

「でけー」
子供がガイラムの足元に集まり蹴ったり殴ったりする。

ガイラムは微動だにせず足元を一瞥する。

大人たちはあわててやめさせる。
謝る大人たち。

「よい。子供のすることだ。気にされるな」

ガイラムはしゃがみ込むと少年たちを手招きしする。

駆け寄る子供に語りかける。
「なぜ蹴る？なぜ殴る？」

「強くなりたいから」
子供はなんの悪びれもなく答えた。

「そうか。君は？」
怒られるのではないかと怯えていた少年に尋ねるガイラム。

「その、みんながやってたから・・」

「そうか。」
ガイラムは立ち上がると少年の頭をわしゃわしゃとかき乱した。

「子供というものは正直でおもしろいですね」いかつい体格からは想像できない言葉遣いに大人たちは驚いている。

「寛大な御心に感謝いたします」
大人達はそう言って頭を下げた。


シェルファは魔光を使って花火の様な光を巻いた。

昼間でも明るい光に皆が目を輝かせた。

その光に集まる民衆に身動きができなくなり、シェルファは羽を生やして飛び上がる。

ルモアを抱えると空高く飛び上がり手を離した。

叫びながら落ちるルモアを民衆の頭上スレスレでキャッチして飛び去っていった。