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鬼の女の子
五百年ぶりの勃起
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一
いつの時代かわからぬけれども、とにかく、人と妖怪とが共存する時代があった。そんな時代であるから、人と妖怪とで夫婦になることも珍しくはなかった。
これは、そんな時代の小さな里で起きた、でかい女の寝取られ物語である。
里には「剣康道場」という名の道場があった。欲無という仙人が場長であったが、小さな里ということもあって、弟子は二人しかいなかった。二人は幼馴染、歳も同じで今年で十八になる。男のほうは名を庄吉と言い、背丈は五尺ほど。普段は優しいが、追いつめられると男気を捨てた振舞をするのが悪いところである。女の方は名を一代と言い、鬼族である。その証明に、頭頂部にはたくましい一本角が屹立している。彼女は所謂捨て子で、山中にて、布に包まれ泣いていた当時赤ん坊の彼女を、庄吉の父が拾って来たのだ。以来、二人は姉弟のように育てられ、今日に到るという訳なのである。
一代は勝気で男勝りなところがあって、女らしくするのを嫌った。口調などは庄吉よりも男らしい。けれども、からだのほうは健やかに、丸みを帯び、やわらかに成長した。特に、背丈、乳房、尻の成長は凄まじかった。十の歳まではほとんど庄吉と同じ背丈であったが、十一からはぐんぐん伸び、十八になった今では六尺ほどもある。乳房はまるで西瓜が二玉胸に実ったようで、晒しを巻かずに動くと、着物越しであっても乳房の揺れるのがはっきりわかった。尻もおおきく、腰からゆるやかにふくらみながらも、きゅっと締まっている。またからだをよく動かし、よく眠るから、全体の筋肉と、女特有の脂肪の纏わりが頗る綺麗で、肉感的だ。
加えて一代は美貌である。肌色はきめ細かに白く、長い睫毛に蒼い瞳と、ちょっとつり上がった目じり。鼻はつんと高く、唇はぷにぷにそうに血色がよい。夕陽の如く紅い髪を馬の尻尾のように結わえている。
一代と庄吉は、幼い頃から仲がよかった。二人とも、互いを本当の兄弟として、大切におもっていた。しかしこの頃、大人へ近づくにつれて、これまでとは異なる感情が、二人のあいだで芽生えつつあった。紛れもない、恋愛の感情であった。けれども距離が近過ぎて、どうにも照れくさく、互いに素直になれない。
二
欲無はその名がとおり、欲の無い仙人であった。具体的に言うと、性欲が皆無なのだ。これは彼の幾百年の修行の成果……ではなく、ただ単に神からの天罰によるものであった。欲無は遡ること五百年前、性の達人として名を馳せていた。達人と言うと聞こえは良いが、詰まるところ助平だったのだ。それも頂上知らずの助平だ。その時分は、数多くの女が彼の毒牙にかかった。欲無のよくなかったのは、人の女であっても見境なく、好みなら構わず声を掛けてしまう点であった。当時は色男で、背も縮んでおらず、もてたのだ。
困ったのは、彼に女房や交恋人を寝取られた男どもであった。男達は結集し、力を合わせて神に祈りを捧げた。神は願いを聞き届け、欲無に天罰を与えたのだ。それは「五百年の間、勃起力と、性欲を奪う」というものであった。罰は償ってこその罰であるから、必ず期限を設けなければならず、かといって寝取られた男達の怒りも相当で、困った神は「人間の寿命はたかが八十年、五百年もあれば十分だ」と考えたのである。けれども、欲無は死ななかった。性欲を奪われてからは廃人となりかけたが、かと思うと妙に悟りを開いて山に籠もり、人の域を超越した仙人となったのである。
そして今日、とうとう……五百年目を迎えた。早朝、欲無はむっくり体を起こすと、勃起しているのに気づいた。実に五百年ぶりの勃起であった。
「な、なんじゃこりゃあ!?」
欲無は思わず叫んだ。そうして、少しづつ、記憶から薄れていた五百年前のことを思い出した。彼は先ず、自分に天罰を与えた神を恨み、次に仙人となってから出会った女達のことを考えた。綺麗な女は山ほどいた。ああ、何と悔しいことか。誰一人として交われず。
「わしは、ただ、ふぉっふぉっふぉって、如何にも仙人らしく微笑んでいただけじゃった!」
欲無はあまりに悔しいから蒲団の上で地団駄踏んだ。
「いや、女なら居るではないか」
玄関を出て、家のすぐそばに建つ「剣康道場」に目を向ける。
「一代のからだは、あれは素晴らしい。昨日まではただの子供にしか見えなかったが、ひひひ」
ち〇ぽが、ぴくり。
昼になって、一代と庄吉がいつものように道場へやって来た。道場の奥、座布団の上に欲無は正座している。三人は、祖父と孫のような間柄であるから、挨拶も簡単に済ます。そうして一代と庄吉も欲無の前に正座した。ここから、瞑想を行うのが日課である。けれども、欲無は昨日とはもう別人、まったく集中できない。というのも、勃起が収まらないのだ。一代のからだの線を見るだけで、むくむくしてしまった。くそっ。欲無はそっと目をひらいた。当然瞑想中であるから、一代と庄吉は目をとじている。一代の胸をぐっと見つめる。
※ 身長についての表記を補足いたします。調べたところ、一尺は約30.3センチメートルだそうです。そういう訳で、一代の身長は約181センチ、庄吉の身長は約151センチとなります。
いつの時代かわからぬけれども、とにかく、人と妖怪とが共存する時代があった。そんな時代であるから、人と妖怪とで夫婦になることも珍しくはなかった。
これは、そんな時代の小さな里で起きた、でかい女の寝取られ物語である。
里には「剣康道場」という名の道場があった。欲無という仙人が場長であったが、小さな里ということもあって、弟子は二人しかいなかった。二人は幼馴染、歳も同じで今年で十八になる。男のほうは名を庄吉と言い、背丈は五尺ほど。普段は優しいが、追いつめられると男気を捨てた振舞をするのが悪いところである。女の方は名を一代と言い、鬼族である。その証明に、頭頂部にはたくましい一本角が屹立している。彼女は所謂捨て子で、山中にて、布に包まれ泣いていた当時赤ん坊の彼女を、庄吉の父が拾って来たのだ。以来、二人は姉弟のように育てられ、今日に到るという訳なのである。
一代は勝気で男勝りなところがあって、女らしくするのを嫌った。口調などは庄吉よりも男らしい。けれども、からだのほうは健やかに、丸みを帯び、やわらかに成長した。特に、背丈、乳房、尻の成長は凄まじかった。十の歳まではほとんど庄吉と同じ背丈であったが、十一からはぐんぐん伸び、十八になった今では六尺ほどもある。乳房はまるで西瓜が二玉胸に実ったようで、晒しを巻かずに動くと、着物越しであっても乳房の揺れるのがはっきりわかった。尻もおおきく、腰からゆるやかにふくらみながらも、きゅっと締まっている。またからだをよく動かし、よく眠るから、全体の筋肉と、女特有の脂肪の纏わりが頗る綺麗で、肉感的だ。
加えて一代は美貌である。肌色はきめ細かに白く、長い睫毛に蒼い瞳と、ちょっとつり上がった目じり。鼻はつんと高く、唇はぷにぷにそうに血色がよい。夕陽の如く紅い髪を馬の尻尾のように結わえている。
一代と庄吉は、幼い頃から仲がよかった。二人とも、互いを本当の兄弟として、大切におもっていた。しかしこの頃、大人へ近づくにつれて、これまでとは異なる感情が、二人のあいだで芽生えつつあった。紛れもない、恋愛の感情であった。けれども距離が近過ぎて、どうにも照れくさく、互いに素直になれない。
二
欲無はその名がとおり、欲の無い仙人であった。具体的に言うと、性欲が皆無なのだ。これは彼の幾百年の修行の成果……ではなく、ただ単に神からの天罰によるものであった。欲無は遡ること五百年前、性の達人として名を馳せていた。達人と言うと聞こえは良いが、詰まるところ助平だったのだ。それも頂上知らずの助平だ。その時分は、数多くの女が彼の毒牙にかかった。欲無のよくなかったのは、人の女であっても見境なく、好みなら構わず声を掛けてしまう点であった。当時は色男で、背も縮んでおらず、もてたのだ。
困ったのは、彼に女房や交恋人を寝取られた男どもであった。男達は結集し、力を合わせて神に祈りを捧げた。神は願いを聞き届け、欲無に天罰を与えたのだ。それは「五百年の間、勃起力と、性欲を奪う」というものであった。罰は償ってこその罰であるから、必ず期限を設けなければならず、かといって寝取られた男達の怒りも相当で、困った神は「人間の寿命はたかが八十年、五百年もあれば十分だ」と考えたのである。けれども、欲無は死ななかった。性欲を奪われてからは廃人となりかけたが、かと思うと妙に悟りを開いて山に籠もり、人の域を超越した仙人となったのである。
そして今日、とうとう……五百年目を迎えた。早朝、欲無はむっくり体を起こすと、勃起しているのに気づいた。実に五百年ぶりの勃起であった。
「な、なんじゃこりゃあ!?」
欲無は思わず叫んだ。そうして、少しづつ、記憶から薄れていた五百年前のことを思い出した。彼は先ず、自分に天罰を与えた神を恨み、次に仙人となってから出会った女達のことを考えた。綺麗な女は山ほどいた。ああ、何と悔しいことか。誰一人として交われず。
「わしは、ただ、ふぉっふぉっふぉって、如何にも仙人らしく微笑んでいただけじゃった!」
欲無はあまりに悔しいから蒲団の上で地団駄踏んだ。
「いや、女なら居るではないか」
玄関を出て、家のすぐそばに建つ「剣康道場」に目を向ける。
「一代のからだは、あれは素晴らしい。昨日まではただの子供にしか見えなかったが、ひひひ」
ち〇ぽが、ぴくり。
昼になって、一代と庄吉がいつものように道場へやって来た。道場の奥、座布団の上に欲無は正座している。三人は、祖父と孫のような間柄であるから、挨拶も簡単に済ます。そうして一代と庄吉も欲無の前に正座した。ここから、瞑想を行うのが日課である。けれども、欲無は昨日とはもう別人、まったく集中できない。というのも、勃起が収まらないのだ。一代のからだの線を見るだけで、むくむくしてしまった。くそっ。欲無はそっと目をひらいた。当然瞑想中であるから、一代と庄吉は目をとじている。一代の胸をぐっと見つめる。
※ 身長についての表記を補足いたします。調べたところ、一尺は約30.3センチメートルだそうです。そういう訳で、一代の身長は約181センチ、庄吉の身長は約151センチとなります。
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