彼女のウソ

1週間は憂鬱から始まった

月曜日
昨日の雨が嘘みたいに晴れた。

晴れているのに、傘を持っている僕は学校に登校中だ。
周りから変な目で見られているが、しょうがない。

「池本くん、おはよ」
周りからの視線を感じていると、ちょうど、宮崎に会った。
「おはよう」
「傘、ありがと」
と宮崎に傘を返す。
これを宮崎に返すと次は宮崎が変な目で見られるだろうが、僕は視線にこれ以上耐えらる気がしなかった。
「どういたしまして」
「じゃあ、また」
「またね」
宮崎とは、別のクラスだし彼女の友人は僕以外にも沢山いる。邪魔になるし、宮崎は僕といて変な噂がおこるのは困るだろう。
だから、僕は人が大勢いるときに宮崎とは近づかないようにしている。


宮崎に傘を返し、また無事に1週間が始まると思ったが…………


そんなことは、なかった。


教室に入ると、すぐに異常事態が起きた。

”「池本くん、おはよー」”
なんと、クラスの中心人物の中村さんに挨拶されたからである。

これには、僕だけではなく他のクラスの人たちも驚いた。

（（なんで、池本に話しかけるんだ？））
（（なんで、僕に話しかけるんだ？））

「中村さん、お、おはよう」
僕はなんとか、挨拶を返すと自分の席に座る。

だが、クラスのみんなは僕をじーっと見たまま。
そんな空間に耐えられるはずがなく、僕は教室から逃げ出した。