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出会い
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宮崎を家まで送り、今来た道を引き返す。
先ほどまで二人で使っていた傘は広く感じる。
Y字路まで、戻ってくるとYのちょうど二つに分かれている部分に設置されているカーブミラーの下に黒い物体があった。
なんだろう。さっき、宮崎と来た時はなかったはずだ。薄暗いせいでよく見えない。不当投棄のゴミか何かだろうか。
恐る恐る、近づくとゴミなんかじゃないことが分かる。
人だ。
黒っぽい服と、長い黒髪のせいで分からなかったが、近くで見るとうずくまった人だと認識できる。
どうしようどうしようどうしよう。
「あっ、あのどうされました?」
聞いてから、すぐに後悔した。声をかけるべきではなかったかもしれない。
すると、その人は、のそっと動き顔をあげた。
「えっ、中村さん……?」
なんと、その顔に僕は見覚えがあった。
なぜなら、僕のクラスの中心人物で、学校一可愛いとも言われている中村さんの顔だからだ。
…………でも、あの中村さんがこんな雨の日に、ここでうずくまっているだろうか?
似てる人で見間違えたなら、謝らないと。
「もしかして、同じクラスの池本くん?」
「あっ、はい」
謝ろうとしたら僕の名前を知っている。つまり彼女は中村さんのそっくりさんではなく、本物らしい。
「恥ずかしいなー。泣いてるとこ見られちゃったじゃん」
よく見ると、中村さんの顔には涙と思われる跡がついている。
「えっと、どうしたの?」
「そこは、聞かないのがマナーってものでしょ」
「すみません」
「あはは、うそうそ。ねぇ、よかったら家まで送ってくれない?」
「えっ、別にいいけど…」
「ふぅん、絶対今、嫌だと思ってるでしょ」
「別にそんなことは思ってないと思う」
「何それ、池本くんっておもしろいね」
「はぁ。おもしろいって初めて言われた」
中村さんの、おもしろいの基準はなんなのだろうか。やっぱりこういう人達の考えていることは分からない。
「本当に?というか、別に嫌だと思ってないなら、送ってよ。いいよね?」
「………」
本当に分からない、なぜ中村さんはこんなに人に対して強引に話せるのだろう。
結局、僕はすぶ濡れの中村さんと相合傘をすることになった。
中村さんは、どことなく宮崎と似ていることが話を聞いているとわかる。
どんな言葉で返しても、話は勝手に膨らむし、中村さんに「そこ右、次の角左」と言われるまま歩いていくとあっという間に中村さんの家に着いた。
「じゃあね。送ってくれてありがと。また明日!」
そう言うと中村さんは家に入っていく。
結局、なんで中村さんがあそこにいて、泣いていたのか聞けなかったな。
先ほどまで二人で使っていた傘は広く感じる。
Y字路まで、戻ってくるとYのちょうど二つに分かれている部分に設置されているカーブミラーの下に黒い物体があった。
なんだろう。さっき、宮崎と来た時はなかったはずだ。薄暗いせいでよく見えない。不当投棄のゴミか何かだろうか。
恐る恐る、近づくとゴミなんかじゃないことが分かる。
人だ。
黒っぽい服と、長い黒髪のせいで分からなかったが、近くで見るとうずくまった人だと認識できる。
どうしようどうしようどうしよう。
「あっ、あのどうされました?」
聞いてから、すぐに後悔した。声をかけるべきではなかったかもしれない。
すると、その人は、のそっと動き顔をあげた。
「えっ、中村さん……?」
なんと、その顔に僕は見覚えがあった。
なぜなら、僕のクラスの中心人物で、学校一可愛いとも言われている中村さんの顔だからだ。
…………でも、あの中村さんがこんな雨の日に、ここでうずくまっているだろうか?
似てる人で見間違えたなら、謝らないと。
「もしかして、同じクラスの池本くん?」
「あっ、はい」
謝ろうとしたら僕の名前を知っている。つまり彼女は中村さんのそっくりさんではなく、本物らしい。
「恥ずかしいなー。泣いてるとこ見られちゃったじゃん」
よく見ると、中村さんの顔には涙と思われる跡がついている。
「えっと、どうしたの?」
「そこは、聞かないのがマナーってものでしょ」
「すみません」
「あはは、うそうそ。ねぇ、よかったら家まで送ってくれない?」
「えっ、別にいいけど…」
「ふぅん、絶対今、嫌だと思ってるでしょ」
「別にそんなことは思ってないと思う」
「何それ、池本くんっておもしろいね」
「はぁ。おもしろいって初めて言われた」
中村さんの、おもしろいの基準はなんなのだろうか。やっぱりこういう人達の考えていることは分からない。
「本当に?というか、別に嫌だと思ってないなら、送ってよ。いいよね?」
「………」
本当に分からない、なぜ中村さんはこんなに人に対して強引に話せるのだろう。
結局、僕はすぶ濡れの中村さんと相合傘をすることになった。
中村さんは、どことなく宮崎と似ていることが話を聞いているとわかる。
どんな言葉で返しても、話は勝手に膨らむし、中村さんに「そこ右、次の角左」と言われるまま歩いていくとあっという間に中村さんの家に着いた。
「じゃあね。送ってくれてありがと。また明日!」
そう言うと中村さんは家に入っていく。
結局、なんで中村さんがあそこにいて、泣いていたのか聞けなかったな。
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