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私とは真逆の、美人でお金持ちの令嬢に走った婚約者ですが…今はそれを後悔しています。
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ある日突然、私は婚約者に別れを告げられた。
「実は俺には、密かに付き合って居る美しい女が居てな…。しかも彼女は、俺に裕福な暮らしをさせてくれると約束してくれた。だから…俺と婚約破棄してくれ。」
何と彼は、すぐにでもその令嬢の屋敷に住むという約束までしたと言う。
「あなた…正気ですか?そんな事言ってますが、彼女は─」
「言っておくが、俺を引き留めようとしても無駄だ。もう、気持ちは固まっているんだから。それに、彼女の事を悪く言ったとしても、不美人の貧乏令嬢のお前では、ただの僻みにしか聞こえんな。」
私の話を遮り、醜い笑みを浮かべ不美人だの、貧乏だのと私を見下す婚約者─。
…だったら、勝手にすれば?
そんなふうに笑っていられるのも、どうせ今だけだわ─。
※※※
俺は婚約者と別れ、大喜びでこの家にやって来たのだが…どうも、約束と違う気がする。
俺に裕福な暮らしをさせると言った割には、食事も質素でマズいし…今飲んでいる酒も安物だ。
それに俺に用意される服も、まるで誰かのお古のような…。
これらの事を使用人に言おうものなら、黙って食事を下げられてしまうし、着る物も用意されなくなってしまった。
一体…何がどうなってるんだ?
彼女に聞いても、まともな答えは返って来ない。
彼女は、名家のご令嬢のはず。
そんな彼女は、俺に裕福な暮らしを約束してくれた。
だからあいつを捨て、彼女を選んだのに…これでは、話が違うではないか─!
その時だった。
部屋の外で、使用人の女たちが話して居る声が聞こえて来た。
「あの男…お嬢様が連れて来た奴隷の一人よね?なのに、どうしてあんなに態度が大きいのよ…。」
「ただでご飯を食べさせて貰えて、着替えが置いてあるだけマシと思わないのかしらねぇ。」
ど、奴隷って…そんなの俺は聞いてないぞ─!?
※※※
「どうかもう一度、俺をここに住まわせてくれ!」
「…裕福な暮らしは、どうなさったんです?」
「あんなものは嘘だった!彼女は、気に入った男が居ると上手い事を言って家に連れ込み、奴隷のように扱うのが好きな悪女だったんだ。それを知った俺は、命からがら逃げだして来て…。でもそんな俺を見て、父は呆れて俺を勘当すると言うし…家にはもう弟が居て、俺の居場所がないんだ!」
「だから、ここに来たと…。彼女は、表向きは裕福な家の令嬢ですが、裏では男たちを弄ぶ悪女だった。前々からそんな噂があり、この地の男たちは用心していたのですよ?それで私も、あなたに忠告をと思いましたが…あなたはろくに人の話に耳を貸さないから…。」
「なぁ…俺たち、もう一度やり直さないか?もう一度、俺と婚約を─」
「それは無理だ。彼女はもう、俺と結婚する事になっている。」
そう言って、部屋に一人の青年が入って来て…私の隣に座った。
「こ、こいつは誰だ!?」
「彼は、私の幼馴染です。彼は婚約破棄された私の事を心配し、これまで随分支えてくれたわ。おかげで私の家の事業も好調で…あなたに貧乏令嬢と見下された事が嘘のような…そんな優雅な生活が遅れる様になったの。私たちは、今はこうして一緒に住んでいて…とても幸せに暮らして居るわ。」
「そ、そんな…。」
「だから、この家にあなたの居場所は無いの。むしろ、あなたの居場所は…ほら、そろそろお迎えが来たようね。」
「え…?」
「見つけたぞ!」
「お前は…彼女の家に居た使用人!?」
「お嬢様がお待ちだ。奴隷が主人の許可なく外出するなど…お前には罰を与えねば。早く来い!」
「離せ、俺は奴隷だなんて…そんな事したくない!おいお前、見てないで助けろ!」
「あなたは生粋の女好きだから、その生活が丁度いいんじゃないですか?立派な奴隷になり、一生彼女に尽くして下さい。そうして、二度と私たちの前に顔を出さないで下さいね─。」
※※※
私を捨て、金持ちの美人令嬢に走った婚約者。
私の事を貧乏で不美人の令嬢と嘲笑う彼だけど…笑っていられるのは今だけよ。
だって…あなたはもうすぐ、奴隷に身を落とすもの。
そうなってから、私を頼っても遅いわよ?
もう私は…幼馴染の彼と、この家で幸せな生活を送っているんだから─。
「実は俺には、密かに付き合って居る美しい女が居てな…。しかも彼女は、俺に裕福な暮らしをさせてくれると約束してくれた。だから…俺と婚約破棄してくれ。」
何と彼は、すぐにでもその令嬢の屋敷に住むという約束までしたと言う。
「あなた…正気ですか?そんな事言ってますが、彼女は─」
「言っておくが、俺を引き留めようとしても無駄だ。もう、気持ちは固まっているんだから。それに、彼女の事を悪く言ったとしても、不美人の貧乏令嬢のお前では、ただの僻みにしか聞こえんな。」
私の話を遮り、醜い笑みを浮かべ不美人だの、貧乏だのと私を見下す婚約者─。
…だったら、勝手にすれば?
そんなふうに笑っていられるのも、どうせ今だけだわ─。
※※※
俺は婚約者と別れ、大喜びでこの家にやって来たのだが…どうも、約束と違う気がする。
俺に裕福な暮らしをさせると言った割には、食事も質素でマズいし…今飲んでいる酒も安物だ。
それに俺に用意される服も、まるで誰かのお古のような…。
これらの事を使用人に言おうものなら、黙って食事を下げられてしまうし、着る物も用意されなくなってしまった。
一体…何がどうなってるんだ?
彼女に聞いても、まともな答えは返って来ない。
彼女は、名家のご令嬢のはず。
そんな彼女は、俺に裕福な暮らしを約束してくれた。
だからあいつを捨て、彼女を選んだのに…これでは、話が違うではないか─!
その時だった。
部屋の外で、使用人の女たちが話して居る声が聞こえて来た。
「あの男…お嬢様が連れて来た奴隷の一人よね?なのに、どうしてあんなに態度が大きいのよ…。」
「ただでご飯を食べさせて貰えて、着替えが置いてあるだけマシと思わないのかしらねぇ。」
ど、奴隷って…そんなの俺は聞いてないぞ─!?
※※※
「どうかもう一度、俺をここに住まわせてくれ!」
「…裕福な暮らしは、どうなさったんです?」
「あんなものは嘘だった!彼女は、気に入った男が居ると上手い事を言って家に連れ込み、奴隷のように扱うのが好きな悪女だったんだ。それを知った俺は、命からがら逃げだして来て…。でもそんな俺を見て、父は呆れて俺を勘当すると言うし…家にはもう弟が居て、俺の居場所がないんだ!」
「だから、ここに来たと…。彼女は、表向きは裕福な家の令嬢ですが、裏では男たちを弄ぶ悪女だった。前々からそんな噂があり、この地の男たちは用心していたのですよ?それで私も、あなたに忠告をと思いましたが…あなたはろくに人の話に耳を貸さないから…。」
「なぁ…俺たち、もう一度やり直さないか?もう一度、俺と婚約を─」
「それは無理だ。彼女はもう、俺と結婚する事になっている。」
そう言って、部屋に一人の青年が入って来て…私の隣に座った。
「こ、こいつは誰だ!?」
「彼は、私の幼馴染です。彼は婚約破棄された私の事を心配し、これまで随分支えてくれたわ。おかげで私の家の事業も好調で…あなたに貧乏令嬢と見下された事が嘘のような…そんな優雅な生活が遅れる様になったの。私たちは、今はこうして一緒に住んでいて…とても幸せに暮らして居るわ。」
「そ、そんな…。」
「だから、この家にあなたの居場所は無いの。むしろ、あなたの居場所は…ほら、そろそろお迎えが来たようね。」
「え…?」
「見つけたぞ!」
「お前は…彼女の家に居た使用人!?」
「お嬢様がお待ちだ。奴隷が主人の許可なく外出するなど…お前には罰を与えねば。早く来い!」
「離せ、俺は奴隷だなんて…そんな事したくない!おいお前、見てないで助けろ!」
「あなたは生粋の女好きだから、その生活が丁度いいんじゃないですか?立派な奴隷になり、一生彼女に尽くして下さい。そうして、二度と私たちの前に顔を出さないで下さいね─。」
※※※
私を捨て、金持ちの美人令嬢に走った婚約者。
私の事を貧乏で不美人の令嬢と嘲笑う彼だけど…笑っていられるのは今だけよ。
だって…あなたはもうすぐ、奴隷に身を落とすもの。
そうなってから、私を頼っても遅いわよ?
もう私は…幼馴染の彼と、この家で幸せな生活を送っているんだから─。
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