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私を監禁し、妻の座を奪おうとする意地悪な姉ですが…ついに罰を受ける事になりました!
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仕事の為に、王都へ出かけて行った夫。
彼は、私を家に残す事を心配していたが…私は彼を心配させたくなくて、笑顔で見送った。
でも…やはり私は、あなたが居ないと駄目みたい─。
「まだゴミが落ちてるじゃない、掃除もまともにできないの?今まで、よく彼の妻をやって来れたわね?」
まさかまた、この人…姉に苦しめられる事になるとは─。
彼が家を出た直後…離縁されたと言い、突然姉がこの家に戻って来たのだ。
「夫の世話をしなくていいなら、代わりに私の為に働きなさい!家の掃除が全部終わるまで、食事は抜きよ!」
そして、それからも姉の虐めは続き…私は毎日、涙して過ごした。
「あなたの部屋…あそこを、私の趣味の部屋に使いたいのよ。」
「それは…私を追い出すという事ですか?私は、この家で彼を待つと約束してるんです。どうかそれだけは─」
「だったら、外にある物置に住んでよ?そこにある物は、全部あなたの好きにして良いわ。どうせ、ゴミ屑ばかりだろうし。」
例え物置でも、屋根があるだけマシ…彼が帰ってくるまであと少しだから、何とか耐えられるわ─。
そう思い、物置に入ったのだが─。
「まんまと引っかかったわね!あなたは、そのままここで飢え死にしなさい!」
「ど、どういう事です!?」
「どうもこうも…あなたは、もう彼の妻では居られないの。何故なら…彼は私の夫になるのだから。私…前から彼の事素敵だなって、あなたにはもったいないなと思ってたのよ。彼だって…内心は、私みたいな美人を妻に迎えたいと思ってるはずよ。」
私は必死にドアに体当たりしたが…それはびくともしなかった。
「無駄よ。この入り口は、私の魔力で塞いでしまったから。あなたは魔力が無いものね…。もう、決してそこから出る事は出来ないわ。」
そして、姉は声高らかに笑い…やがてそれは遠ざかって行った─。
あれから、何日が過ぎただろう…。
私は、気力体力共に限界を迎えていた。
このままでは…彼の顔を二度と見る事無く、この世を去る事に─。
その時…物置の中で、うすぼんやりとした光が見えた。
あの光は…一体何かしら。
何だか、とても温かく…そして、優しい─。
※※※
「あら、お帰りなさい!」
「君、どうしてここに…?俺の妻は、どこに居るんだ?」
「それが…あの子ったら、あなたが居ない間に男を連れ込んで…。それを咎めた私に怒り、その男とこの家を出て行ってしまったの。」
私の言葉に、彼は目を見開き…信じられない物を見るような顔をしている。
「ほら、ここに置手紙だってあるわよ?あなたの事がもう嫌いになった…私を残して家を空ける夫など、要らないって。」
私と妹は、字がそっくりだからね…。
彼ったら、まんまと騙されて居るわ。
「そんなに悲しい顔をしないで?あんな薄情な子の事は忘れ、私を妻にしない?私もね、丁度離縁して来たばかりで─」
「姉の言ってる事は嘘です…騙されないで下さい!」
「あ、あなた…どうしてここに?どうやってあそこを出たのよ!?」
「あそこを出た…?おい、それはどういう意味だ?」
「そ、それは…あの…。」
※※※
彼の追及に、姉はしまったという顔をして焦っている。
まぁ、無理もないでしょう。
もうとっくに死んでしまい、絶対にあそこから出る事が出来ないはずの私が、こうして元気な姿で現れたんですから。
「…お姉様に閉じ込められたあの物置で、私はこれを見つけました。」
それは、この国に一つしかない教典だった。
何でも、遠い昔この国を守った大聖女様が、肌身離さず持って居たとか─。
「そ、そんなお宝が、あの物置に!?」
「物置って…何て所に妻を閉じ込めてくれたんだ!」
事実を知った彼は、ますます姉に対し怒りを向けた。
「この経典の聖なる力で、私の弱っていた身体は元気になり…そしてこの経典の力は、お姉様の魔力を上回っていた。だから、中から扉を打ち破る事が出来たんです。」
「そ、そんな…。」
「実の妹に…俺の愛する妻に、何て非道な仕打ちを…!この家を出て行く時、二度と妹を虐めないと、そう誓い出て行ったのは嘘だったんだな!」
「そ、そんな事言ったかしら…忘れちゃったわ!」
「お姉様…あなたみたいな悪女は、罰を受けなければいけません。嘘つきな女を、この経典は許しはしないでしょう。」
私は、教典を開き…そこに書かれていた、ある呪文を読み上げた。
すると、姉の身体が光に包まれ…姉は甲高い悲鳴を上げた。
そして光が消えると…そこには、シワだらけで痩せ細った、みすぼらしい女が居た─。
※※※
「あなたの魔力と生命力を奪いました。これは、罪を犯した者を罰する呪文の一つのようです。これを持ってらした大聖女様も、こうして罪人を裁いたと書かれて居ますよ。」
「こんな醜い姿になったら…私はもう再婚どころか、生きていけないわよ!お願い、私を妻にしてよ!あの子じゃなく、私を─」
姉は、涙を流し彼に縋ったが…彼はそんな姉を突き放し、冷たい目でこう言った。
「誰が、お前など妻にするか!お前の噂は、王都で耳にしたぞ?夫が居る身でありながら、家に愛人を呼び…近く離縁されそうだと。まさか、もう離縁されこの家に戻ってきているとは…。お前には、監禁罪で罪を償って貰わねば。」
「ま、まだ罰を受けるの!?もう、許してよ─!」
その後姉は、駆けつけた憲兵に捕らえられ、牢に送られた。
そして、厳しい拷問を受ける事になったのだが…そんな体じゃ、さぞや辛いでしょうね─。
「帰って来るのが遅くなり、本当に済まない。」
「いいの…こうして、あなたに再び会えただけで私は…!」
彼は、王都で私に似合う髪留めを探して居て、予定より帰りが遅くなったらしい。
差し出されたそれは、とても美しい髪留めで…また一つ、私の宝物が出来たわ。
実は…あの物置の中にはあの教典の他にも、金銀財宝が隠されていたのだ。
物置の中の物は私の好きにして良いと…そう姉は言っていたわね。
ならば…これまで虐められた慰謝料として、その宝は全部私が貰います。
それで良いと言ったのは、あなただもの…文句は言えないでしょう─?
彼は、私を家に残す事を心配していたが…私は彼を心配させたくなくて、笑顔で見送った。
でも…やはり私は、あなたが居ないと駄目みたい─。
「まだゴミが落ちてるじゃない、掃除もまともにできないの?今まで、よく彼の妻をやって来れたわね?」
まさかまた、この人…姉に苦しめられる事になるとは─。
彼が家を出た直後…離縁されたと言い、突然姉がこの家に戻って来たのだ。
「夫の世話をしなくていいなら、代わりに私の為に働きなさい!家の掃除が全部終わるまで、食事は抜きよ!」
そして、それからも姉の虐めは続き…私は毎日、涙して過ごした。
「あなたの部屋…あそこを、私の趣味の部屋に使いたいのよ。」
「それは…私を追い出すという事ですか?私は、この家で彼を待つと約束してるんです。どうかそれだけは─」
「だったら、外にある物置に住んでよ?そこにある物は、全部あなたの好きにして良いわ。どうせ、ゴミ屑ばかりだろうし。」
例え物置でも、屋根があるだけマシ…彼が帰ってくるまであと少しだから、何とか耐えられるわ─。
そう思い、物置に入ったのだが─。
「まんまと引っかかったわね!あなたは、そのままここで飢え死にしなさい!」
「ど、どういう事です!?」
「どうもこうも…あなたは、もう彼の妻では居られないの。何故なら…彼は私の夫になるのだから。私…前から彼の事素敵だなって、あなたにはもったいないなと思ってたのよ。彼だって…内心は、私みたいな美人を妻に迎えたいと思ってるはずよ。」
私は必死にドアに体当たりしたが…それはびくともしなかった。
「無駄よ。この入り口は、私の魔力で塞いでしまったから。あなたは魔力が無いものね…。もう、決してそこから出る事は出来ないわ。」
そして、姉は声高らかに笑い…やがてそれは遠ざかって行った─。
あれから、何日が過ぎただろう…。
私は、気力体力共に限界を迎えていた。
このままでは…彼の顔を二度と見る事無く、この世を去る事に─。
その時…物置の中で、うすぼんやりとした光が見えた。
あの光は…一体何かしら。
何だか、とても温かく…そして、優しい─。
※※※
「あら、お帰りなさい!」
「君、どうしてここに…?俺の妻は、どこに居るんだ?」
「それが…あの子ったら、あなたが居ない間に男を連れ込んで…。それを咎めた私に怒り、その男とこの家を出て行ってしまったの。」
私の言葉に、彼は目を見開き…信じられない物を見るような顔をしている。
「ほら、ここに置手紙だってあるわよ?あなたの事がもう嫌いになった…私を残して家を空ける夫など、要らないって。」
私と妹は、字がそっくりだからね…。
彼ったら、まんまと騙されて居るわ。
「そんなに悲しい顔をしないで?あんな薄情な子の事は忘れ、私を妻にしない?私もね、丁度離縁して来たばかりで─」
「姉の言ってる事は嘘です…騙されないで下さい!」
「あ、あなた…どうしてここに?どうやってあそこを出たのよ!?」
「あそこを出た…?おい、それはどういう意味だ?」
「そ、それは…あの…。」
※※※
彼の追及に、姉はしまったという顔をして焦っている。
まぁ、無理もないでしょう。
もうとっくに死んでしまい、絶対にあそこから出る事が出来ないはずの私が、こうして元気な姿で現れたんですから。
「…お姉様に閉じ込められたあの物置で、私はこれを見つけました。」
それは、この国に一つしかない教典だった。
何でも、遠い昔この国を守った大聖女様が、肌身離さず持って居たとか─。
「そ、そんなお宝が、あの物置に!?」
「物置って…何て所に妻を閉じ込めてくれたんだ!」
事実を知った彼は、ますます姉に対し怒りを向けた。
「この経典の聖なる力で、私の弱っていた身体は元気になり…そしてこの経典の力は、お姉様の魔力を上回っていた。だから、中から扉を打ち破る事が出来たんです。」
「そ、そんな…。」
「実の妹に…俺の愛する妻に、何て非道な仕打ちを…!この家を出て行く時、二度と妹を虐めないと、そう誓い出て行ったのは嘘だったんだな!」
「そ、そんな事言ったかしら…忘れちゃったわ!」
「お姉様…あなたみたいな悪女は、罰を受けなければいけません。嘘つきな女を、この経典は許しはしないでしょう。」
私は、教典を開き…そこに書かれていた、ある呪文を読み上げた。
すると、姉の身体が光に包まれ…姉は甲高い悲鳴を上げた。
そして光が消えると…そこには、シワだらけで痩せ細った、みすぼらしい女が居た─。
※※※
「あなたの魔力と生命力を奪いました。これは、罪を犯した者を罰する呪文の一つのようです。これを持ってらした大聖女様も、こうして罪人を裁いたと書かれて居ますよ。」
「こんな醜い姿になったら…私はもう再婚どころか、生きていけないわよ!お願い、私を妻にしてよ!あの子じゃなく、私を─」
姉は、涙を流し彼に縋ったが…彼はそんな姉を突き放し、冷たい目でこう言った。
「誰が、お前など妻にするか!お前の噂は、王都で耳にしたぞ?夫が居る身でありながら、家に愛人を呼び…近く離縁されそうだと。まさか、もう離縁されこの家に戻ってきているとは…。お前には、監禁罪で罪を償って貰わねば。」
「ま、まだ罰を受けるの!?もう、許してよ─!」
その後姉は、駆けつけた憲兵に捕らえられ、牢に送られた。
そして、厳しい拷問を受ける事になったのだが…そんな体じゃ、さぞや辛いでしょうね─。
「帰って来るのが遅くなり、本当に済まない。」
「いいの…こうして、あなたに再び会えただけで私は…!」
彼は、王都で私に似合う髪留めを探して居て、予定より帰りが遅くなったらしい。
差し出されたそれは、とても美しい髪留めで…また一つ、私の宝物が出来たわ。
実は…あの物置の中にはあの教典の他にも、金銀財宝が隠されていたのだ。
物置の中の物は私の好きにして良いと…そう姉は言っていたわね。
ならば…これまで虐められた慰謝料として、その宝は全部私が貰います。
それで良いと言ったのは、あなただもの…文句は言えないでしょう─?
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